地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

会社が存続するのは当たり前のことではない

かつてのお取引先が裁判所から破産手続き開始決定を受けていることを知りました。インターネット版官報を眺めていて、たまたま旧知の会社を見つけた時の驚きといったら。創業は誰でも簡単にできますが、事業を畳むのはかなりエネルギーを必要とすることです。

破産手続き開始決定

かつてのお取引先が裁判所から破産手続き開始決定を受けたことを知りました。検索してみると少し前から廃業に関する報道がされていて、スポンサーを探していたものの調整がつかなかったようです。家族で見学に行ったことがありますし、代表取締役としても出向いたことがあるお取引先。たしか祖父とも行ったことがあったような。かつての仕入先の1社が経営破綻したので、すでに業界を離れて8年が経過していますが、その会社の人々の顔が思い浮かんできてなんとも寂しい限りです。

家業はメーカー機能を持たず、全国各地の商社・メーカーさんに製造を委託していました。そのため特定のアイテムや技術に強みを持つ仕入先から商品の供給を受けることは家業の生命線で、私も代表取締役に在任中は彼ら彼女たちとの関係性構築に腐心しました。

聞くところによると私が退任してから複数社が廃業しているそう。私にとって家業の代表取締役を退任したのはついこの間の出来事ですが、そうした知らせを耳にする度に時の流れを思い知らされます。

お金さえ回っていれば会社は存続できる

ある経営者とお話しした時のこと。その会社では6ヶ月毎に取引先の信用調査を実施し、その都度、取引条件を見直しているそうです。多くの会社と取引をしているからこそ、取引先の置かれている状況については常にアンテナを張っているそう。表に出ている部分だけ見ていると業績は拡大を続けていて攻める一方の印象がありますが、その裏では守るべきことをしっかりと守って地に足を着けた商売を行っているのです。

他の専門家らしき人が書いた個別の中小企業に関するレポートを読んでいると、売上高総利益率がどうとか、自己資本利益率がどうとかそれらしい指標を並べ立てて終わっていることが多いです。指標はあくまで指標。その指標から何を読み取って、どう考えるかが最も重要なこと。もちろん最後は資金繰りさえ回っていれば問題はないわけで、そうした小難しいレポートを書く人に限って、商売の本質的なお金の流れについて理解がないように感じます。

私が個別の中小企業について調べる場合、真っ先に見るのが事業性。そもそもの商品・サービスの可能性について見に行きます。経営者と従業員にどんなに熱意があったとしても、また手元の資金が厚かったとしても、商品・サービスが消費者に受け入れられない低いレベルのものではどうにもなりません。

次に見るのが手元の資金。事業の規模に見合った現金を用意できているかを確認します。状況によっては資金繰り予測表を提出してもらうことも。お金さえ回っていれば会社は存続させることが可能。私が窮境に陥っていた家業の代表取締役を務めていた当時も日々、確認していたのは資金繰り予測表でした。資金ショートすることがなければ事業は存続するのです。

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会社は存続を前提としているけれどいつか必ず役割を終える時が来る

ある会社の経営者とお話ししていた時のこと、事業譲渡等の選択肢を模索したものの思うような承継先を見つけられていないと言います。それでも自分の手で会社を畳むことなどはまったく考えていないとのことで、まだまだ頑張るつもりだと力強く語っていました。それから間もなく、その会社が税金を滞納していたことが明らかに。その他の状況を照らし合わせても、実質的に事業は破綻しているようです。

会社は事業を営み続けることを前提としていますが、残念ながら永続できる確約はどこにもありません。人に寿命があるように、事業にも寿命があるはず。20年とも30年とも1世代とも言いますが、始まりがあるなら終わりが必ずあるのです。

地方中小企業の経営者であるならば、絶対に避けなければいけないのが突発的な破綻を引き起こして、関係者に迷惑をまき散らすこと。近い将来の破綻が不可避と冷静に見極めたのであれば、いかに軟着陸させるかに注力すべき。必要以上に事業を存続させることにしがみついてしまうと、軟着陸させるタイミングを逃してしまうことになりかねません。


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