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コラム

たまたま立たせてもらっているステージ

今日は講演でした。アンケート結果などはまだいただいていませんが、反応は悪くなかったような気がします、たぶん。初めてのテーマで話すというのは心身ともに刺激的で、準備を入念にしたのもあって、しっかりと疲れてしまいました。

たまたま立たせてもらっているステージ

こうして日々、仕事をもらえていると、それを当たり前のことと勘違いしてしまいがちです。本当にありがたいことなのに。ふとした時に頭によぎるのは「一度は社会人人生が詰んだ身である」ということ。私は江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡せざるを得なくなり、14代目で京都の茶わん屋を縁もゆかりもない人に手放すことになってしまいました。単純に失敗経営者です。

その私がご縁をいただいて中小企業支援家に転身。事業者と取り組んだ事例がメディアに取り上げられるなどして、それなりに地域で認められる存在になることができました。家業の代表取締役を退任した後には食べるのにも困る状況になってもおかしくなかったのに、当時より時間も生活も余裕を持てているのはなんだか不思議な感覚です。さらに今日のように人前で話す機会をもらえて、人によっては「岡田先生」などと呼んでくれるようになると(先生と呼ばれるのは好きではないですが)、何か変な夢でも見ているのではないかと思うこともあります。

この10年間くらいの歩みは自分の努力で切り拓いてきたものではなくて、多くの人に与えられたもの。私はたまたま立たせてもらっているステージで踊っているだけで、いつか幻と消えてしまうのではないかとも考えるのです。

現在地に安住しないで挑戦し続ける

中小企業支援家として活躍できるステージを与えられているありがたみを忘れてはいけないと思っていて、だからこそ現在地に安住することなく前進し続けなければいけません。

私が最初に手を上げて転職したポジションは公募によるものでした。150人以上の中から選んでもらえたということは約150人の悔しい思いを背負っているということ。立ちたくてもこのステージに立てなかった人の存在を忘れてはならず、またこの機会を逃したら二度と同じようなチャンスはやってこないという思いを胸に取り組んでいます。

事業相談窓口の責任者になりたい

中小企業に貢献したい

取り組み内容をメディアに取り上げてもらいたい

講演の仕事したい

顧問契約をしてもらいたい

社外取締役に就きたい

などなど、今の私が実現できていることも多くの人にとってはこの先挑戦したいことであるかもしれないのです。

同じように私も現在地に満足することなく挑戦しつづけないと、いつの間にか賞味期限切れになってしまわないかと心配になります。今日の講演は率直に言ってだいぶ準備に手間が掛かりました。それでもお受けしたのは新しいテーマで話すことができる機会だから。現在地に安住していると、安住どころかいつのまにか衰退してしまうというのは身にしみていることです。骨は折れますが、新しいことには貪欲に取り組み続けたいと考えています。

ステージ上の照明

5時間話したので疲れました

自分が幸せであることを自覚する

家業を倒産させた時点で破綻していてもおかしくなかった私の人生。奇跡のようにご縁に恵まれ続けていることを当たり前のこととせずに、きわめて幸せな状態にあることを自覚したいといつも考えています。

禍福はあざなえる縄のごとしとは良く言ったもので、まさに私の人生は禍福の連続。今はたまたま穏やかな日々を送れていたとしても、それが永続することは保障されていません。今できることを後悔しないようにやり切って日々を過ごすことが明日に繋がるわけで、またいつか苦労する時が訪れたとしても静かに受け入れたいと思っています。

一度、地方中小企業の経営者を務めてしまうと、世の中の大抵のことでは驚かなくなってしまいます。ましてや業績が窮境に陥って事業譲渡を余儀なくされた経験など、そう多くの経営者が経験することではありません。

何かトラブルが起きても「お、来たな」という感じ。もちろん、できるだけややこしい状況にならないように日頃から立ち回っているわけですが、それでもすべてをコントロールできるわけではありません。そうした時にトラブルや困難に立ち向かっていくような胆力(らしきもの)は、家業でバタバタした経験が今の自分に生きているのだと思います。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

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