地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

士業マーケティング AIを前にして、しなやかに変化し続ける者だけが生き残る

当事務所の屋号は「社会保険労務士岡田事務所」としていますが、社会保険などの手続きや給与計算代行などのいわゆる定型業務はほとんど行っていません。じゃあ何をしているのかというと、経営者と対話して「今より良くなる」ための知恵とアイデアを提供しています。この中小企業支援家の仕事は今後どうなるのでしょうか?

本執筆もAIで効率化できる

本執筆にAI、2カ月半で完成
日本経済新聞 電子版 2023/11/8
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75923600X01C23A1H21A00/

今日の日経MJに掲載されていた記事。構想段階から生成AIを活用することで、ある本の執筆を「企画から完成までに通常は半年から1年程度かかるとされるが、今回は約2カ月半で完成させた」と紹介しています。

そのうち、過去に執筆した文章などを豊富に用意しておけば、AIが作者に成り代わってそれらしい本を書いてくれるような時代がやってくるのでしょう。となるとAIが参照する元データ、つまり生身の人間が文章を大量に書いておくことが重要になります。このところビートルズの新曲が流れていますが、これも過去のデモ音源からAIを活用して仕上げたそう。デモ音源があったからこそ完成させることができたわけです。

こうして毎日ブログを書いていると文字数だけは相当蓄積できています。ざっと1,700文字・日だとすると、すでに85万文字くらいを書いているはず。すべてに目を通してもらえているのであればAIはもちろん人間にも、相当程度、私の考え方などを理解してもらうことができそうです。

ポッドキャストの収録中に考えたこと

先日配信したポッドキャストでは「中学生から質問されたこと」というテーマでお話ししました。途中でアシスタントのにしべさんから、ある事柄について「岡田さんならこのように返事するのではないか?」といった感じで、私が考えそうなことをずばり探り当てられてしまいました。何度も収録を重ねているので、私の思考を想像できるよう。頼もしいなぁと思うと同時に、私は中小企業支援家としてこの先も食べていけるのだろうかと少し不安になってしまいました。

私が提供している価値は、顧客だけでは解決できない課題の解もしくはヒントを提供していることにあると理解しています。もし私が考えそうなことをAIが提供してくれるとしたら。確かに中小企業支援家としての私は不要になりますね。いや、AIが回答するための元データを提供する存在として活動すれば良いのでしょう。

AIなど新しい技術は常に登場し続けるもの。技術革新を受け入れようとせずに現状維持に固執しても無駄なエネルギーを使ってしまうだけ。いつの時代でも既存の産業で働いてきた人々は、技術革新に向き合ってきたのです。しなやかに変化するものだけが生き残るというのは、私が家業の栄枯盛衰から学んだことの一つ。自分を脅かすかもしれない新技術に慌てふためくのではなく、勇気を持って変化を受け入れることが生き残るためには必要なのです。

原稿用紙と万年筆

キーボードで文章を書くのと同じくらい、万年筆でメモを取るのも好きです

捨てる勇気も必要

新しい技術が普及し始めているのであれば、その分、何かを捨てて身軽になることも必要です。

例えば社会保険労務士であれば、社会保険の手続きや給与計算を代行する業務。今すぐにはAIに任せられるものでないのは私でも理解していますが、長い目で見ればわざわざ専門家に報酬を支払ってまでやってもらう業務ではなくなるはず。HRテックなどがさらに進化すれば、いずれ地方中小企業でも、より負担感を感じることなく内製化できてしまうことでしょう。

そうした将来を理解した上であえて手掛けているのであればともかく、これから独立開業しようとする社会保険労務士は定型業務以外の見込客から選ばれる軸を用意しなくてはいけません。

定型業務を否定するつもりはまったくありませんが、技術が進化するのであれば当然、これまで通りの働き方では通用しなくなるだけ。かつての産業革命では、人々の牧歌的な生活が機械化の波によって大きく変化を迫られました。士業が今直面している状況も同じ。これまでが牧歌的だったとは言いませんが、属人的な業務を行うだけで選ばれる時代はまもなく終わるのです。

確実にやってくる変化を目の前にして誰よりも早くしなやかに変わろうと努力をするのか、身をすくませてしまって何も行動しないのか。生き残る可能性が高いのはもちろん前者です。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

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