地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

クチコミをどこまで信用するか

昨日、息子の自転車がパンクしてしまいました。幸い、近くの自転車店がまだ営業していてその場で修理してもらうことが可能に。量販店で購入した自転車だったので申し訳ないなと思いつつ、次はこの店で自転車を買おうと決めました。

Googleのクチコミは低評価

ところがその自転車店のGoogleでのクチコミは惨憺たるもの。集約するとオーナーの接客に難があると考えている人が多いようです。ただ、すべての評価が低いわけではなくて同じくらいの数の星5つがあるといった感じ。評価が真っ二つに分かれてしまっていて、クチコミを眺めているだけではお店の実態を理解することは難しそうです。

確かにオーナーと思われる人は決して愛想が良いとは言えないですが、料金は事前に明示してくれますし、そもそも修理するかどうかもきちんと確認してくれます。顧客に誠実に向き合おうとする姿勢が私には大変頼もしく感じられました。

もしGoogleのクチコミだけを先に調べていたら、この店を選んでいたかどうか。自転車店がそれほど多くないので選択していただろうとは思いますが、少し怯えながら店に向かっていたかもしれません。

クチコミは貴重な情報源であることは間違いありません。ただし、過度に依存してしまうと本当の魅力を見失ってしまうことにも。参考にしつつも自分の目と耳を信じることが大切です。

望み通りのクチコミを得るための工夫

私が行政の事業相談窓口で働いていた時、利用者の集客を支援しつつ自分も窓口利用者を増やすための取り組みを求められていました。窓口は開設したものの行政職員に運営ノウハウはゼロ。東京から単身赴任でやってきたばかりの私が、さっそく集客にも奔走しなくてはならなかったのです。

この時に積極的に利用したのがクチコミ。私が提供した知恵とアイデアを活用した利用者の声を使わせてもらい、集客に結びつけていきました。

行政職員にウェブサイトやチラシ作りを任せると、開設時間がどうとか連絡先がどうとかといったことばかりに目を向けがちです。それよりも私が重視したのはどの支援事例を選び、どのようなコメントを得るかということ。実際に訪れてきてくれた利用者の多くは「⚪︎⚪︎さんの事例が出ていたから私もと思った」などと来所に至った経緯を話してくれました。

この時に注意したのが、当たり前のことですが実際にいただいたコメントを利用することです。リアルな生の声を載せて初めて効果が生まれるもので、少しでも操作が入るとその胡散臭さはあっという間に読み手に見抜かれてしまいます。相談時にいただいた言葉をメモしておいたり、SNSに書き込んでくれたコメントを使わせてもらったり。もちろん改めて許可をいただいた上で、PRに活用させてもらうことにしていました。

工夫の余地があるのは、こちらの望み通りのコメントをくれそうな利用者を選んで依頼することと、「こういう趣旨の感想を以前におっしゃっていましたが改めてコメントをいただきたいです」などと具体的に要望すること。こちらの事情を察してくれるような関係性を構築できている利用者であれば、望み通りのクチコミを得られることできました。

インタビューしているビジネスパーソン

クチコミ・顧客の声は積極的に収集しましょう

顧客の声は資産

顧客リストは無形の資産だと常々言っていますが、クチコミ、つまり顧客の声も資産です。使いようによって商品開発や集客に活かすことができるから。

地方中小企業で顧客の声を集める仕組みができているところは強いですが、なかなかそこまでやりきれていない会社が多いです。ある関与先ではそれまで放置されていた顧客の声を集約・分析してリブランディングに役立てることができました。従業員がコツコツと集めていた顧客の声がそれまで放置されていて、改めて価値を見出して将来への種まきに利用することとしたのです。

自分たちの得意とする顧客像が経営トップから従業員まで明確に共有できていれば、何も問題はありません。ただ、事業を長く営んでいると目の前にお客様がいるのが当たり前になり、意識して増やすべきストライクゾーンの顧客像を見失ってしまいがちです。

その時に役立つのが顧客の声。どのような顧客がどのような感想を抱いているのかを把握することで、目指すべき顧客像を可視化することに役立ちます。

ただし注意しなくてはいけないのが、ポイントや粗品目当ての顧客の声は信頼できないということ。顧客の心の底からの声を元にしないと現在地を誤って把握してしまいます。顧客の声、クチコミを利用しようとするなら、偽りの声に無駄に振り回されないように気をつけましょう。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP