地方中小企業の経営者が参加する輪読会にお勧めの本
輪読会というのは押しつけがましいセミナーと違い、それぞれが自然な形で発言をすることができるのでお勧め。私も事業相談窓口の責任者だった時に企画したことがあります。地方中小企業の経営者に参加してもらう輪読会にお勧めの本について書いてみます。
稲盛和夫の実学 (稲盛和夫・日経BP)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E0AD1HU?ref_=cm_sw_r_em_ud_dp_ZCS52F943B8Z102K4BM8
地方中小企業の経営者でも会計・財務についてぞっとするほど知識の無い人がいます。何食わぬ顔をして代表取締役などの肩書きを持っていながら、自社のお金の流れを自分の言葉で説明することができないのです。知識が無いのが悪いとは思いません。いつまでも苦手を克服しようとしない姿勢が会社にとって悪なのです。
経営幹部や経営者と対話していて、数字を苦手としていそうな人に勧めているのが本書。稲盛和夫さんというと日本を代表する企業の一つ「京セラ」の経営者だった人で、経営哲学などについても著書が多い方です。本書はその中でもお金の流れについてわかりやすい文章で説明されている本。中学生レベルでも十分に読み解くことが可能なので、これから簿記の勉強を始めようとする人にも相応しい本だと思います。
私が最後に輪読会を主宰した時に選んだのがこの本で、数字に苦手意識を持っていそうな経営者にお声がけしたところほとんどの方が参加表明してくれました。中には親子で参加してくれた方も。各自に担当の章を割り振り、当日は要約と所感をそれぞれ発表してもらいました。ごく簡単な輪読会でしたが大変好評で、充実した時間を過ごせたということもあって私と参加者の関係性を深めることにも役立ちました。
輪読会に限らずイベントは大きな目的を掲げるところから企画が始まります。闇雲にイベントを企画しようとしても目的がなければ何をすれば良いのかわからないはず。私の場合は地方中小企業の経営者と関係性を深めるというのがすべてのイベントの目標であったので、輪読会のような双方向のやり取りが可能で、かつ、誰もが発言できる形式というのは望ましいものでした。
世界標準の経営理論 (入山章栄・ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B081PYCZKP?ref_=cm_sw_r_em_ud_dp_X7CB78YXF4AR61KJZGK7
Amazonの内容紹介によると「「ビジネスの真理に肉薄している可能性が高い」として生き残ってきた「標準理論」とでも言うべきものが、約30ある」そうで、その選りすぐりの経営理論をわかりやすく説明しているのが本書の特徴です。どこから読み始めても良いとは書かれていますが、やはり最初から通読すると、著者が並べた順番の意図通りに理解を深めることが可能でしょう。
この本は1100ページ以上の大変読み応えがある本。ある経営者にお勧めしたところ「分厚いので、、、」と見た目だけで尻込みしてしまっていましたが、中身はかみ砕いた表現で統一されており、もちろん専門家でなくても読み進めることが十分に可能。
経営理論毎に担当を割り振ることが可能なので、輪読会向けの書籍の一つとしてお勧めです。
日本電産流「V字回復経営」の教科書(川勝 宣昭・東洋経済新報社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01NACSBKM?ref_=cm_sw_r_em_ud_dp_WTFX3GF1JESMFAGEVM47
ニデック(旧日本電産)の営業管理手法が説明されているのが本書です。見込客リストの作り方から説明してくれているので、特に営業会社の幹部を対象に輪読会を開催する際にはお勧めの本です。
私はこの本はいわゆるハウツー本とは異なると思っています。業績を思うように管理できていない地方中小企業が営業活動を完遂するためは、企業文化を変革する必要があります。昨日と同じことをやり続けている、やると決めたことが有耶無耶のうちに終わる、数字で語る人がいない。こうした負の文化の違和感に気づくためにも、外部からの刺激が必要なのです。
ニデックの全てを礼賛するつもりはありませんが、絶大な成果を出し続けて成長してきたのは事実です。悪い業績に汲々としている地方中小企業の経営者にとっては、数字に執着する文化だけでも学ぶべき点があるでしょう。
先日、祖母と話す機会があった時に初めて知ったのですが、日本電産が創業間もない頃に親戚が不動産を貸していたことがあったそうです。永守さんは当時、「よく働く婿が来た」と近隣で話題になっていたとか。どこまで正しい記憶かわかりませんが、どんな大企業でも最初の一歩は零細企業からのスタートであったはず。貴重なエピソードを聞くことができました。
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