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コラム

士業マーケティング 「役に立つ」と「意味がある」の違いを理解する

Sonyのカメラが「役に立つ」機能を突き詰めているとすると、Leicaは所有することに「意味がある」カメラを提供していると言えます(いま猛烈にカメラが欲しいのでいきなりカメラの例えから始めました)。

士業には同じ資格を保有している競合が全国に何万人もいるので、自分の独自の立ち位置を作るためにも「役に立つ」と「意味がある」の違いを意識すると良いと思っています。

「役に立つ」ことを売りにする士業は競合が多い

まず「役に立つ」士業は競合が多いので、事務所経営を持続可能にするのは困難です。資格を持っていることだけを売りにしていたり、事務処理能力の高さを売りにしていたりするような士業は競合との差を可視化することができません。「資格を持っています」「法律の知識が豊富です」「年金制度に詳しいです」「給与計算が得意です」と見込客に伝えたところで、見込客からしたら当たり前のことなので心に響かないのです。

数年で廃業してしまうような士業は恐らくこのパターンが多いと思っていて、そもそもの見込客に対する見せ方を間違ってしまっているために、最初から負け戦に突入してしまっています。途中で気付けば挽回も可能なのに、「資格を取っても仕事がない」「○○士は食えない」などと言っていつまでも変化の必要性を受け入れないと、時間切れ・資金難で撤退する羽目に陥ってしまいます。

「意味がある」と思わすことのできる士業は強い

反対に「意味がある」と思わすことのできる士業は独自の立ち位置を築くことが可能。資格と法的な知識があるのは当然として、顧客に「繋がっていたい」と思わせることができるので売上が途絶えることはありません。

ざっくり言うと、社会保険労務士の看板を掲げているのであれば、誰でも提供できる機能に大差はありません。労務管理のアドバイス、労働・社会保険の手続き業務、給与計算の代行など、多少の得意不得意はあったとしても社会保険労務士であれば誰でもできる仕事です(あくまでざっくりのイメージですよ)。

一方で、顧客に「あの先生とはいつまでも繋がっていたい」と思わせられるような意味を提示できている士業は、競合と安直に比較されることはなく選ばれる続ける存在になることができます。

レンジファインダーのカメラ

カメラを買おうと考えています

「意味がある」と思わすことのできる士業になるにはどうすれば良いか

では「意味がある」と思わすことのできる士業になるためにはどうしたら良いでしょうか。言い換えるのであれば、士業本人から売り込まなくても、顧客から「ぜひ顧問契約してください」と言われる存在になるためにはどうしたら良いのでしょうか。

まずは自分自身の「真の強み」を把握することが必要です。資格一本で勝負しようとするのではなく、資格に自分の真の強みを掛け合わせて独自の立ち位置を築くのです。

単に「強み」を探すのではなく、「真の強み」というのがポイント。自分が弱みと考えていることであったり、コンプレックスに思っていることや仕事に関係のなさそうな趣味が往々にして強みになることもあり得ます。真の強みというのは言い換えれば「個性」とも表現できます。第三者から見た自分らしさとはどんな要素であるのか、という視点で考えるのも有りです。

例えば、私の場合であれば「社会保険労務士」x「地方中小企業の経営経験」x「江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した失敗経験」x「豊富な中小企業支援事例」といったように要素を掛け合わせることで独自化を実現しています。

アイドルが国家資格を取得していたり、芸人が趣味を発信するのも同じこと。競合が多くいる中で、要素を掛け合わせて独自の立ち位置を可視化しようとしているのです。

一つ一つの要素だけ見れば、競合はそれなりに存在するはず。しかし、複数の要素を掛け合わせることで競合が減っていき、最後には自分一人だけの独自の立ち位置を築くことが可能になります。独自の立ち位置を定めることができたのであれば、あとは情報発信が必要。知ってもらわないことにはすべては始まらないのです。伝える努力を継続することで見込客に認知され、多くの同じ資格を持つ者の中から選ばれることが実現します。

士業が独立開業したのであれば、間違っても勉強し続けて、さらに知識を増やそうなどとしてはいけません。まず取り組むべきは見込客に選んでもらう「意味」を用意すること。わざわざ繋がっておく「意味がある」士業を目指して行動しましょう。


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