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コラム

士業マーケティング 私が定型業務を手掛けない理由

社会保険労務士事務所の看板を掲げていますが、労働・社会保険の手続き、給与計算などの定型業務は手掛けていません。顧問先からお願いされても基本的に拒否。中には私との契約とは別に他の社会保険労務士にお願いしている顧問先もいます(ごめんなさい)。なぜ私が定型業務を手掛けないのかを書いてみます。

定型業務を得意とする社会保険労務士が他に多くいるから

まず一番の理由は、他に定型業務を手掛けている事務所がいくらでもあるからです。実務経験も豊富な先輩がたくさんいるのに、私がわざわざ手掛けたところで独自化には繋がりません。今さら定型業務について学んだところで、いつまで経っても経験豊富な競合に追いつくことはできないでしょう。

士業であるからこそ、独自の立ち位置を築かないと競合との競争を強いられてしまいます。競争状態に陥ってしまうと、士業は距離の近さや価格の安さで比較されてしまいがち。私はそうした競争をできるだけ避けたいと考えているので、今後も定型業務を手掛けることはないでしょう。

もちろん、社会保険労務士を名乗っている以上、最低限の知識のアップデートは心掛けています。ただ、それもあくまで最低限。顧問先の労務担当者に質問されたりしてしまうと、困ってしまうこともしばしば。隠さずにわからないものはわからないとお伝えすることにしています。

念のためですが、定型業務を手掛けることが悪いなどとはまったく考えていません。自分の経歴や強みを生かそうとして定型業務を手掛けるのであれば独自化に繋がるはず。残念ながら私の場合には定型業務を手掛ける理由が見当たらないのです。

時間に追われる仕事をしたくないから

せっかく独立開業したのであれば、時間を切り売りするような仕事はしたくないと考えています。雇われる立場であれば、1日8時間、週40時間を会社に売って対価を得ているわけですが、自営業は時間を売り物にしているわけではありません。資格や知識を売っているのでもありません。自分自身を一番の商品としているのです。

例えば社会保険労務士が給与計算業務を引き受けることになったとしましょう。1.まずはタイムカード等の勤怠データを顧問先から提出してもらい、 2.労働日数や労働時間などの勤怠データを集計し、3.勤怠データから、各種手当、社会保険料、所得税などの算出を行い、4.給与明細書などを作成する、といった感じの業務を行うことになるのでしょう。給与という性質上、締め日や支給日に追われて業務を行うことになるわけです。また勤怠データをなかなか提出してもらえないだとか、何らかの理由によるイレギュラーな処理が発生するだとかといったことにも振り回されることでしょう。

このように定型業務を引き受けてしまうと、自分の個性を生かすことができずに時間に追われて作業を行うことになります。私は自分のペースで独自の価値を提供していきたいので、定型業務を手掛けたくないのです。

給与明細

給与計算業務を手掛けると毎月締め切りに追われるようで大変だろうなと思っています

報酬を自分で決められる仕事を手掛けたいから

定型業務は多くの社会保険労務士が手掛けているので、報酬を比較されてしまいやすいです。事務所のウェブサイトに料金表を掲げている所も多く存在します。「きっちりやって当たり前」の定型業務なので、業務内容で競合との差別化を図ることは困難。となるとやはり、報酬で比較されてしまうことは避けられそうにありません。

独自の商品・サービスを提供できていれば、報酬決定の主導権は提供側が握ることができます。「相場」というものが存在しないからです。私が提供している中小企業支援もまさにそう。江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経験、地方中小企業の経営経験、多くの中小企業支援事例という独自の価値を掛け合わせたサービスを提供している中小企業支援家は他にはいないはず。ありがたいことに私から提示した報酬で契約してもらえています。

独立開業した士業であるならば、独自の立ち位置を作って持続可能な事務所経営を目指すべき。何も考えずに定型業務だけを売りにしても多くの競合に埋もれてしまいます。自分の真の強みを生かすためにも手掛けるべきはどんな業務なのか。独立開業するのであれば、まっさきに考えておくべきことの1つです。


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