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コラム

手触り感のあるコミュニケーションを心がける

連絡するだけであればLINEやメールで十分です。でも一方通行の連絡だけでは行き違いが生じてしまうことも。私が心がけている、「手触り感」のあるコミュニケーションについて書いてみます。

名前で呼ぶ

私は人の名前と顔と肩書を一致させるのが大の苦手です。「人に関心が無いから覚えられないのだ」と言われたこともありますが、単純に覚えられないだけ、たぶん。一方で父はどんなに昔に会った人でも忘れることはなく、瞬時に名前を思い出すことができます。親子でこうも資質が違うのかと驚くことの一つです。

そんな私ですが、ここぞというときに心がけていることの一つが、目の前にいる相手を名前で呼ぶということ。心の距離の近さに応じて、名字と名前を使い分けるようにしています。

名前で呼ぶのは効果てきめんで嫌な顔をする人はゼロ。ぐっと距離感が詰まるのを瞬時に体感することができます。もちろん、私の場合は名前を覚えるという事前の作業が必要。名刺をにらみながら相手の顔を思い出して、頭に叩き込んでおく必要があります。「もし間違えたら失礼だな」とか「間違えるくらいなら名前を呼ばずに誤魔化そう」などと考えてしまいがちですが、きっちりと準備をして名前を呼べるように努力しています。

手土産を渡す

ある経営者とお話ししなければいけなかった時のこと。ちょっと問題が発生したので、お金の話を持ち出さなくてはなりませんでした。用件だけ話してしまっても構わない関係の人ではあったのですが、それもなんだか気が引ける感じがします。私が選んだのは缶コーヒーを持参してお渡しすること。「微糖のコーヒーお好きでしたよね」とお渡ししながら、ちょっと話しづらいお金の要件を切り出しました。もちろん話し合いはスムーズに終了。缶コーヒーを渡したからどうこうなったわけではありませんが、お互いに率直な意見交換をすることができました。

またある時は息子の靴を買いに行く前に、ショップの店長に差し入れするお菓子を用意したことがあります。いつも丁寧に接客してくれるので、休憩時間につまんでもらえるお菓子を持っていきたくなったのです。私も経験がありますが、接客業はさまざまな人を相手にしなくてはいけないので精神的にも負担がかかりやすい仕事です。そんな仕事で接した私たち親子にいつも親切に接してくれるので、息子とお菓子を選んで持参しました。息子には「いつも丁寧に靴選びを手伝ってくれているから差し入れを持っていこうね」と説明しました。

ふと気が向いたときに手土産をお渡しするのはよくしていることです。感謝の気持ちを手土産に託すことでコミュニケーションが深まります。

気を付けなければいけないのが、手土産を押し付けて負担に感じさせてはいけないということ。心のこもっていない進物は敏感に察知されてしまうもの。無理に手土産を用意するくらいであれば手ぶらで行けばいいのです。

風呂敷に包まれた手土産

気は心、というやつです

電話をする

基本的に電話を掛けることはありません。相手に合わせてメールやLINE、メッセンジャーなどを使い分けて連絡するようにしています。ちなみに電話が掛かってくるのは苦手。基本的に営業電話しかかかってこないというのが大きいですが、こちらの状況に関係なしに呼び出されるのを負担に感じてしまうのです。

そんな私ですが、メールなどの文字だけでは気持ちが伝わるか怪しい時には追いかけて電話でも連絡するようにしています。つい先日も、送信メールの文字だけを眺めていると真意が伝わるか不安になったので電話でお話しすることに。顧問先の経営者と電話でお話しさせてもらい、とても喜んでもらうことができました。

電話というと、この頃は安直に使うべき連絡手段ではないというような認識が広がりつつあります。でも、いざという時には生の声でやり取りできる効果は絶大なもの。タイミングや相手との距離感を見計らって適切に使用したいものです。

コミュニケーションの手段はさまざま。スマホさえあれば多様な手段で連絡をすることが可能になりました。ただ気を付けたいのは、無機質なコミュニケーションは十分な関係性構築に役立たないということ。事務的な連絡をしたからといって心の距離が縮まることはありません。時と場合に応じてひと手間を掛けて、手触り感のあるコミュニケーションを心がけるようにしています。


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