日経電子版で保存した記事(2023年9月)
日経電子版で保存した記事の中から、ここ最近気になったものをご紹介し私の考えや連想したことを書いてみます。
ゼロゼロ融資や社保猶予などコロナ特例終了、資金繰りの崖
日本経済新聞 電子版 2023/9/9
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74311250Z00C23A9MM8000/
私の身の回りでも業績の悪化に苦しむ企業が増えてきているように感じます。コロナ禍の最中はゼロゼロ融資や給付金などで何とかしのいでいたとしても、経済が正常化し始めた途端に底力の有無が露わになります。
過去の成功体験にしがみついて変わろうとしない企業が苦労している一方で、業績が堅調に推移している企業に共通しているのは、新規事業に取り組み続けていることと、営業活動に地道に取り組み続けていること。事業の成長のバトンを繋ぎ続ける必要性を理解しているからこそ、経営者が旗を振って前に進んでいます。
ある顧問先は、当初は新たな行動に躊躇しがちでしたが、今では私の想像を上回るスピード感で新規事業に取り組んでいます。人間の本能は保守的なもの。何も考えていなければ、身をかがめて現在地に留まろうとするのは企業も同じです。勇気を持って一歩を踏み出した企業だけが成功の果実を得られるのです。
米労組「スト辞さず」派台頭
日本経済新聞 電子版 2023/9/6
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74186640V00C23A9XR1000/
池袋西武で実施されたストの評価はさておき、今後は労働者の発言力が増していくことでしょう。ところが労働組合の組織率は2022年に過去最低の16.5%だったとのこと。もはや旧来の労働組合は労働者の受け皿になっていません。
私が家業を投資ファンドに事業譲渡した際に、社内労働組合の上部団体と団体交渉をした経験があります。彼らは派手なスーツを着ていて声と態度だけは大きかったのですが、明らかに勉強不足。会社のごく基礎的な知識も頭に入れていないのがよく伝わってきました。
企業内労働組合が上部団体に加盟する大義名分は「いざというときに支援を得るため」と聞いたことがあります。その「いざというとき」にやってきた上部団体の体たらくには、かつてサラリーマン時代に組合費をチェックオフされていた私もがっかりしたのを覚えています。
(新風シリコンバレー) ピッチコンテストの罠
日本経済新聞 電子版 2023/9/5
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74147410U3A900C2XY0000/
中小企業支援業界の闇の一つに、やたらと開催されるピッチコンテストがあります。5分、10分の短時間のプレゼンだけを聴いて、事業を自ら営んだこともないような審査員が優劣を判断するというのです。事業の善し悪しを判断するのは、唯一、消費者のはず。
創業まもない経営者にも問題があります。ピッチコンテストで評価されることが目標になってしまっていて、地に足をつけた営業などが疎かになっている人が多いです。中にはピッチコンテストを渡り歩いて、いつまでも実行することのない事業計画を語り続ける人も。ピッチコンテストは夢を実現してくれる「魔法の杖」ではありません。
何かのコンテストを足がかりに事業を拡大しようという気持ちはわかります。ただし、参加すべきかどうかはその都度、慎重に判断したいもの。ピッチコンテストに入賞したからといって事業の成功が約束されるわけではありません。プレゼンの準備に無駄な時間を費やすくらいであれば、ドブ板営業を行ってみましょう。
社外取への批判に答える
日本経済新聞 電子版 2023/9/5
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74162100U3A900C2EN8000/
記事中では「経営計画や事業再編などに対する大きな決断や不祥事への断固とした対応こそ社外取の責務だ。ここぞという時に本領を発揮する「株主の用心棒」なのである」と書かれています。
私が社外取締役を務めている企業で、銀行担当者がある「小細工」を持ち掛けてきたことがありました。もちろん私の意見はNO。銀行担当者が持ち掛けてきたとはいえ、小細工をして融資を受けたところでいつか必ず会社の足を引っ張ることになるからです。
社外取締役は業務執行をするわけではなく、普段から定型的な業務を抱えているわけでもありません。ただ、非常時に経営者と意見が対立することを恐れずに意見を述べるのが社外取締役の本分。何もなければ経営者が好き勝手に経営するのを見守るだけですが、「株主の用心棒」としての心構えは常に忘れないようにしています。
森田一夫さん 92歳のすし職人
日本経済新聞 電子版 2023/8/31
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74035990R30C23A8EAC000/
金沢駅近くにある「小松弥助」。私も連れて行っていただいたことがあります。おいしいのはもちろんなのですが、森田さん以下職人さん達の雰囲気が印象に残っています。初めての寿司店に入る時の独特の緊張感がなく、食事の時間を心から楽しめるような心づくしに溢れていました。
ある客はスマホを持ち出してにこやかに笑う森田さんを撮影。大将が気難しい顔をして若手の職人を指導しているようなお店ではそんなことはできないでしょう。訪れていた客が帰り際に、必ず数ヶ月後の次回予約をしていきます。まさにエンターテイメントな空間でした。
飲食店は「おいしい」のが当たり前です。誤解を恐れずに言うと、おいしい料理を提供していることは競合との差別化には繋がりません。プラスアルファの要素として、強みを掛け合わせた独自の立ち位置を築くことで、消費者が繰り返し訪れてくれるようになります。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
関連記事