地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

堂々と値付けをする覚悟を持つ

商品・サービスの値段をいくらに決定するかは悩ましいところです。どのように考えて値付けすればよいのでしょうか。

消費者の声も聴かずに「高すぎる」と決めていないか

ある経営者とお話しした時のこと。新商品を生み出そうと議論している過程で、「でもこのままだと○千円くらいになってしまうので高すぎます」と言い出しました。私にとっては特に高いとも思われない価格設定なのですが、その会社の過去の常識からすると「高すぎる」とのこと。高い価格になってしまうと消費者に申し訳ないと言うのです。

私がお話ししたのは、付加価値を付けているのであれば堂々と値付けすればよいということと、価値に対して高いか安いかを決めるのは売り手ではなく買い手の消費者であるということの2点です。特に重要なのが後者で、売り手が過去の業界や社内の常識に囚われて、「これでは高いから売れない」「もっと安くしないと買ってもらえない」などと決めつけるのは消費者無視も甚だしいこと。しっかりと価値を伴っているのであれば、堂々と値付けをすれば良いのです。

長年、経営に苦労している地方中小企業にありがちなのが、ただ単純に安いものを提供するのが消費者に求められている価値であると信じ込んでいること。もちろん、安さを価値にするのも経営戦略になり得ますが、闇雲に安さだけしか価値にできないのであれば、商品・サービスに真の付加価値をまとわせることができず、長い目で見れば競争力を失っていきます。安直な「低価格信仰」を捨てて、価値に見合った価格を堂々と付ける覚悟が必要です。適切な利益を得ることができれば、事業の持続可能性を高めることになりますし、もちろん商品・サービスを通じて社会に対する使命を果たすことが実現します。

付加価値を世界観で伝える

私が関わる企業には「価値を世界観で伝えましょう」と提案することがあります。売れていない商品・サービスに限って、価格やスペックのみを消費者に訴求しがち。買い手に価格やスペックなどの「数字」だけを見せていると何が起こるか。数字だけで競合と比較されるようになってしまうのです。数字しか情報を提供されていない消費者は1円でも安い商品を探し、1%でもスペックの高い商品を探し求めるようになってしまうのです。

一方で世界観で価値を伝えるようにすると、価格やスペックだけで競合と比較されることはなくなります。誰が作っているのか、どのように作っているのか、どのような豊かさをもたらしてくれるのかなど、商品・サービスの背景を、つまり世界観を丁寧に伝えることで、消費者は共感し数字だけで比較することなく自社の商品・サービスを選んでくれるようになります。

ある関与先では商品・サービスの世界観を発信するように注力し始めました。これまではカタログのような画像を用意するだけだったのを、消費者に憧れてもらえるような背景情報を豊富に発信し始めたのです。さっそく効果は現れていて、従来ではあり得なかったような高単価で商品を販売できるようになっています。

安く価格設定するのは簡単です。しかしそれでは商品・サービスを息長く提供することはできず、競合と不毛な消耗戦を強いられることになります。商品・サービスそのものを作り込むことは当然ですが、さらに加えて消費者に刺さる世界観も提示することで付加価値を高めることが可能になります。

水面

このところモノクロフィルムを使うことが減りました

フォトヨドバシのコンテンツにそそられる理由

私が好きなものの一つにカメラがあります。画像を撮るだけであればiPhoneで十分。十分どころか画質は向上するばかりで、新聞記者さんが取材時に撮影するのにもまったく問題ないレベルだと聞いたことがあります。

近い将来に購入しようと思っているカメラの候補がいくつかありますが、比較検討に眺めているのはヨドバシカメラが運営しているウェブサイト。フォトヨドバシという名称で、カメラやレンズのスペックだけでなく世界観を丁寧に伝えてくれるコンテンツが充実しています。

カメラに限らず、何かを購入しようとする消費者は「購入すべき理由」を提供してもらうことを期待しています。期間限定での販売だから今買わなければいけない、限定カラーだから他の人は保有していない、今までの商品とは違った豊かさを与えてくれる。こうした理由を用意してやることが売り手には求められていて、単に価格とスペックを訴求するだけでは不十分なのです。

ちなみにフォトヨドバシで最近、惹かれた記事はこちら

フィルムといえば、撮影枚数や感度といった制約があるからこそ、より真摯に写真に向き合うメリットがあります。K-3 Mark III Monochromeの場合は、デジタルの利便性を持ちつつもモノクロでしか写せない制約があるからこそ、より光に敏感になり丁寧に撮影に臨んでいる気がします。

モノクロフィルムでの撮影が好きな私には殺し文句に近い文章です。ここまで読めば価格やスペックなどの細かい数字はどうでもよくて、カメラを構えて好きな土地を歩き回っている自分を想像してしまうのです。


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