人生を変える体験ができているかどうか
私は何か新しいことに挑戦するときには「人生を変えてくれるかどうか」という視点で判断するようにしています。大げさなことを言っているつもりはなくて、人生の残り時間を大切にするためにも必要な考え方だと思っています。日々なんとなく過ごしているとあっという間に時間は過ぎ去ってしまいます。今年ももう2/3終わっているわけで、1日24時間、1年365日という制約の中でいかに充実した時間を過ごすことができるかは本人の心掛け次第なのです。
シーカヤックに乗った瞬間に感じたこと
Feathercraft社のKahunaというシーカヤックを所有しています。家業のサラリーマン時代に購入したもので、当時の手取り給料より高額。思い切った買い物をしたものだと今でも思っています。
カヤックに興味を持ったのは、高校でボート部だったので、久しぶりに何か漕ぐ体験をしたいなと試乗に申し込んだのがきっかけ。部活の後輩に声を掛けて、千葉県の保田海岸に向かいました。レンタルされた艇で漕ぎだした瞬間に感じたのが「これは人生が変わるな」という感覚。慣れないパドルの操作は思うようにならず、さらに海面数十センチの視線は人生で初めて目にする風景でしたが、それでもシーカヤックを趣味にすれば、何か得難い体験をもたらしてくれそうな予感に包まれました。
その後、しばらくはシーカヤックにのめりこみ、千葉県の内房を中心にふらふらと漕ぎまわるようになりました。自然を相手にしているとコントロールできないことばかり。自宅から2時間近くかけて海岸までたどり着いても、風と波が強くて出艇を断念することがありましたし、岩礁に乗り上げて立ち往生しているカヤッカーを救助したこともありました。家業の営業担当だけして淡々と過ぎていく日常では味わえない、大自然の中での非日常を楽しむことができました。
今は少し遠ざかっているシーカヤック。そろそろ息子が私よりも力が強くなっているので、久しぶりに艇を引っ張り出して二人で漕いでみようと考えています。せっかく海の近くに住んでいることだし。
茶道教室でお点前をしている時に感じたこと
昨年10月から茶道を学び始めて、しばらく経ったときのこと。お点前をしていると完全に集中して手を動かしている自分がいることに気づきました。頭の中は無の状態になっていて、こうして何かに没頭できているのは久しぶりだなと感じたのです。茶道を学び始めなければ得られなかったであろう感覚で、この時改めて茶道教室に入ってよかったなと考えました。
経営者や自営業を営んでいると、業務上何をするのも自由で、雇われる立場である労働者のように時間や規則に縛られことが激減します。ただそれが本当の意味での自由であるかというと疑問で、実際は稼いで利益を生み出すという宿命に振り回されていることもしばしばです。
経営者や自営業であるからこそ、仕事を完全に忘れることができる時間が必要だと思っています。デジタルデトックスだとか、リトリートという言葉を目にするようになったのは、自分と向き合う時間を意識して作らなければいけないという共通認識が広がりつつあるからでしょう。
たしかに茶道教室の中でスマホを触ることはありません。画像や動画を撮っておきたい気持ちにもなりますが、すべては自分の頭の中に刻み込むべきことで、メモも不要とされています。その時々、一瞬を大切にするという経験を茶道で得ることができています。
人生を変えてくれるであろう道具を手に入れる
近いうちにニコンからZfという新しいカメラが発表されるそう。外観がレトロな感じになっているらしく、フィルムカメラが好きな私は興味をそそられています。
何より素敵だなと思うのは、軍艦部に物理ダイヤルが配置されるであろうこと。シャッタースピードなどを昔のフィルムカメラのように手でカチカチと操作することができます。今、私が保有しているデジタル機はCanon R7のみ。とりあえずシャッターボタンを押せば写るので、カメラというよりは連射撮影機といった感じで、機械を操って撮影するという昔ながらの体験を得るには少し寂しい道具です。
カメラを買うにしても大事にしたいのが、「人生を変えてくれるかどうか」という視点。撮影するだけであればスマホで十分なので、わざわざお金を使う必要があるのかどうかを慎重に検討したいです。PENTAX K-3 Mark III Monochromeか、Leica Q-3か、LeicaM11か。今年中には人生を変えてくれるであろうカメラを購入するつもりです。
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