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コラム

創業に関する相談を受けた時に考えていること

最近立て続けに創業に関する相談を受けました。どのような姿勢でお答えするようにしているかを書いてみます。

迷っているくらいなら早く創業した方が良い

一人は雇われる立場であることに少しずつ疑問を持つようになり、知人が退職したのをきっかけに具体的に独立開業を検討し始めたそう。これまで創業することについては逆に否定的な考え方を持っていたようですが、少し迷い始めたとのことで声を掛けてくれました。

創業しようか迷っている人に対する私の考えは「迷う余地があるならさっさと創業した方が良い」というもの。

雇われる立場は労働基準法などで非常に手厚く守られているように見えますが、地方中小企業の実態は推して知るべし。平気で解雇を行っている会社がありますし、何かをきっかけに不本意な処遇を受けるようになることなど頻繁に見聞きします。社会人人生を最後まで会社が面倒見てくれるなんて事はなく、いつかは必ず退職の時期がやってきます。その時期を会社に引導を渡されるような形で迎えるのか、自分が主導権を握って時期を決めるのか。私であれば後者を選びます。

創業は自分の意志で社会人人生をコントロールするための第一歩。私は迷っているくらいであれば、社会人人生の選択肢は自分で握った方が良いと思うのです。

創業後に必要なのは営業活動

もう一人は近い将来に独立開業することを決めています。相談を受けたのは、商売が軌道に乗るまでの間にどう過ごすか。家計を少しでも安定させるためにはアルバイトでもした方が良いだろうかと言うのです。

私の考えは「アルバイトするくらいであれば営業をするべき」というもの。独立開業直後の顧客が少ない時期を想像すると不安になるのは、誰しも当たり前のことです。ただその時に、他の資格試験に手を出したり、さらに技術を身につけようと勉強に没頭したり、アルバイトで小銭を稼ごうとしたりするのは間違い。これらの行動はただの現実逃避です。独立開業後に直ちに手を付けるべきは見込客との関係性構築、つまり営業活動です。

営業活動といっても様々。ウェブサイトを立ち上げて、見込客に刺さるようなコンテンツを用意するのも広い意味での営業です。もちろん近隣の会社や個人宅に挨拶をするのも、必ず着手しておきたい営業活動の一つ。「知ってもらう」ための行動はすべて営業と言えるわけで、商売を始めたのであれば何よりも重要な行動です。

資格や博士号などに依存している創業者に多いのが、営業活動を軽視してしまうタイプです。資格を持っているのだから、博士号を持っているのだから、仕事は舞い込んできて当たり前と勘違いしていて、いつまで経っても商売のご縁を広げることができません。こうした人に「営業活動をしていますか?」と質問しても、ぽかんとした顔をされたり、イヤなことを言うやつだと顔をしかめられたりしてしまいます。

あるバイオ系ベンチャーの経営者とお話しした時のことです。売上が順調に増えているので何が要因なのか質問しました。経営者がおっしゃるには、全国の大学の研究室などに出向いて御用聞きに徹していると言います。その地道な行動が受注に繋がっていることは明らか。バイオ系ベンチャーと聞くと、技術だけを売りにしているように勘違いしがちですが、実際は経営者自らがドブ板営業を徹底しているということでした。

開業届とペン

「創業に必要な届け出は何かありますか?」と聞いてしまう程度の人は創業しない方が良いと思います

創業をギャンブルにしてはいけない

これまで相談を受けてきた人の顔を思い浮かべると、成功している人に共通するのは創業前から行動している人ばかり。人との繋がりを育み、資金を用意し、何より市場性をしっかりと見極めてから着手しているので、失敗する確率を極限まで減らすことができています。

反対にギャンブルのように創業した人はいずれもご苦労されているようです。顧客のイメージがないのに商品・サービスを用意する、資金計画なしで創業する、手続きや許認可の情報を自分でリサーチしようとしない、見込客から選ばれる仕組み作りを面倒くさがる。こうした人は一か八かで創業しようとしているようにしか見えません。創業をギャンブルにしてしまっているのです。

商売に必要なのは、失敗する確率を減らすという考え方。それは創業に関しても当てはまることです。やりたいことがあるというのは素晴らしいことですが、それが商売として成り立つかどうかはまた別の話。数字を含めた現実をしっかりと直視し、ゴールの姿から逆算して失敗要因を潰していくのが成功への確率を高めてくれます。

看板を掲げたからといってそれだけで客が列を作ることはありません。行列のできる店になるためには、経営者の緻密な思考が必要なのです。


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