地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

営業を止めるな

地方中小企業の経営者とお話ししていると
営業活動の優先順位が必ずしも高くないことに驚かされます。
補助金をもらおうと躍起になっていたり、
売れた、売れないで一喜一憂していたり。
営業を忘れてしまっている人が思いのほか多いのです。

営業をせずに補助金を探し続ける経営者

ある経営者とお話しした時のこと。
収益を改善しなければならないということで
シンプルに新規顧客を増やすことを目標としました。
もちろん既存顧客の満足度が一定程度以上であることが大前提です。

地域に根ざして事業を営んでいる会社なので
ある意味、営業活動は簡単に強化することができます。
私が提案したのはこれまで手を付けていなかったドブ板営業を徹底すること。
受け身の姿勢であったのを、
積極的に見込客との関係性構築に動くように促したのです。

ところが数ヶ月後に再度、経営者とお話ししましたが
営業活動が全くの手つかずであることがわかりました。

「担当者が動いてくれない」

「大きなイベントがあったので取り組めなかった」

「もう少ししたら取り組むつもり」

などと言い訳を並べ立てます。
私が事業の責任者ではないので言い訳をしてもらう必要はありません。
収益を改善しないと困るのは経営者であり、従業員です。

よくよくお話しを伺うと、
この経営者は補助金ばかりに気を取られていた様子。
補助金を天から降ってくるボーナスかなにかと取り違えているようで、
「何か良い補助金はありませんか?」
「あの補助金を受給するために何をすればよいですか?」
というのが口癖になってしまっていました。

そもそも補助金は採択後に振り込まれるまでには時間がかかりますし、
すでに支払った経費が対象となることがほとんど。
補助金が採択されていたとしても
一定の運転資金をあらかじめ用意する必要があるのです。

このことを指摘してもわかっているのかわかっていないのか、
営業活動に手を付けようとせずに補助金ばかりを追い求める姿勢に変化はありません。
私がお役に立てる余地は無いようなので、
会社にお伺いすることも無くなってしまいました。

「売りっぱなし」にしてしまう経営者

また別の地方中小企業の話です。
ふとした機会に私がアドバイスを提供し、
その結果、多くの顧客リストを手にすることができました。
価格や納期で選ばれたのではない良質な顧客リストです。
この顧客リストを活用すれば、
他の商品の売上を伸ばすことも可能なはずと考えました。

ところがこの顧客リストがその後活用されることはありませんでした。
なぜわかっているかというと私もそのリストに名を連ねているから。
2度ほどセールの案内があっただけで、
顧客との関係性を深めるような発信は行われないまま。
その会社の規模にしては多くの個人情報を取得できていたのに、
ほとんど活用されずに時間が経ってしまい、
地に足を付けた商売に活用されることはありませんでした。

まぐれ当たりのように商品が売れてしまい、
その結果得られた顧客リストの価値に気が付かなかったのは経営者の落ち度。
私は顧客リストを次回以降に活用することが本番であると力説したつもりでしたが、
文字通りの「売りっぱなし」になってしまい、
関心を持ってくれた消費者と関係性を深めることはできませんでした。

商売で重要なのは単発の取引で利益を得て一喜一憂するのではなく、
たとえ細くても、長く取引を継続し、多くの利益を積み重ねることです。
売れた、売れないだけで騒ぎまわるのはただのカネのやり取り。
いかに持続可能な商売の仕組みを作れるかがポイントで、
まさに地道な営業活動を行えるかどうかが問われるのです。

「営業中」の木札

営業活動を止めてはいけません

見込客や顧客との「間合い」を意図して詰める行為が営業活動

事業会社であるならば営業活動はいつまでも付きまといます。
商品やサービスが売れているから、
SNSで発信をしているから、
メディアに取り上げられたからなどといって
営業活動を止める理由にはなりません。

見込客や顧客との「間合い」を意図して詰める行為を営業活動と定義するならば、
こつこつと営業活動をしている企業の足腰は鍛え上げられています。
一方で日頃から地に足を着けて商売をしていない企業の足腰は軟弱。
いざ売り上げを増やそうと思っても、
都合の悪い時だけセールスをしようとする行動は何より嫌われてしまいます。

商売の基本は営業。
もし何かうまくいっていないのであれば、
まずは営業活動を行えているかどうかを確認しましょう。


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