地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業の経営者に必要な「体験」

地方中小企業の経営者は一国一城の主。
アンテナを掲げていないと偏った情報ばかりが耳に入るようになってしまいます。
効果的なのは積極的に学びの機会を作り出すこと。
どのような「体験」が有効なのかを書いてみます。

現場で話す

地方中小企業の経営者とお話ししていると
思っているより多くの人が現場に足を運んでいないように感じます。
自社の営業や生産の最前線から遠ざかっているのです。
本社や社長室は居心地が良い空間なのでしょうが、
現場を離れていては経営の現実を体験することはできません。
さまざまな理由があるのでしょうが、
経営者が現場に足を運ばなくてよい理由はありません。

私が家業の代表取締役を務めていた時、
月の半分以上は出張していました。
全国各地に店舗を構えていたので巡回していたのです。
用があってもなくても現場に出向くのが重要なのであって、
現場から得られる教訓があるはずだと信じていました。

その後に家業は投資ファンドの手に渡るわけですが、
事業譲渡の最後のその日まで各店は営業を続けました。
当たり前と言えば当たり前の話ですが、
退職金がもらえるうちにと退職者が相次いでもおかしくない状況。
もし私が社長室しか知らない経営者であったならば、
事業譲渡を滞りなく完了させることはできなかったのではないかと思います。

読書体験からの学び

本を読むことによる知識の蓄積は
経営者にとって効率の良い体験の一つです。
なにもビジネス書である必要はまったくないと思っていて、
小説や写真集からも経営に資する情報は得られると信じています。

私は小説を読むのが趣味の一つ。
読書歴を振り返ってみると、
司馬遼太郎の「坂の上の雲」「翔ぶが如く」、
池波正太郎の「鬼平犯科帳」「剣客商売」
といった小説は経営にも役立つものでした。
私の社会人としての軸を形成する何ものかには、
これらの小説から得た学びが少なからず生きているように思います。

昨年からKindleのセールで
これらの小説の合本版を再購入しています。
かつては地元の本屋でコツコツと文庫本を購入していたのですが、
引っ越しを続けているうちにごく一部の本以外は手放してしまいました。
再読しようと考えた時に電子書籍は便利なもので
さらに合本版となると管理の手間も軽減されます。

今読んでいるのは「剣客商売」。
ビジネス書らしきものよりかは、リーダーの心構えを教えてくれるように思います。

また文字情報からの学びという意味では
新聞を読むことは経営者には必須の行動だと思います。
世の中の流れを広く浅く知るためには、
新聞を読むことが最も効率良いでしょう。
私は日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJを読み続けています。
毎日2時間くらいを掛けて読むのはそれなりに負担感がありますが、
茶わんやの経験しかない私にとっては、
広い世界を知ったつもりになれる貴重な体験の一時です。

午前中に予定が立て込むと朝刊をその日のうちに読めないこともあります。
翌日以降にまとめ読みすることもしばしばで、
三日分を読む時などは午前中いっぱい掛かることも。
それでも読み飛ばした日に限って参考になる記事があるので、
1年365日、休刊日以外は新聞を読み続けています。

大阪城

自分の城の中は居心地が良いものです

人と話す体験

経営者になると何をどうするかはすべて自分の自由。
会いたい人とだけ会えるようになりますし、
反対に、意に沿わない人は遠ざけることも可能です。

私が顧問先の経営者などを見ていて感じるのは
社内外問わず、「対話量」の多い人ほど事業を掌握しているという事実。
特に日々当たり前に接する従業員と丁寧に対話を重ねている経営者は
事業を手堅くコントロールしているように感じます。

ある経営者は以前は従業員との面談を実施していなかったそう。
会社の規模も小さく、従業員も古くからいる人ばかりなので
わざわざ対話をする必要がないとのことでした。
ところが小さな問題が重なって起こることが続き、
従業員との対話を重視するスタイルに方針転換します。
するとざわついていた社内も落ち着きを取り戻し、
何より社長が手掛ける新規事業についての関心も高まったといいます。
社内の一体感が醸成されて雰囲気が変わったそうです。

地方中小企業の経営者は一国一城の主。
椅子に座っているだけであったとしても誰からも注意をされることはありません。
自ら積極的に「体験」を重ねていかないと裸の王様になるのはあっという間。
事業の持続可能性を強化するために新たな人間関係を構築しようとしたり、
自分が知り得ない教養につながる体験を仕事にできるのは経営者の特権です。
アンテナを高く掲げて経営に取り組みましょう。


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