地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

経営者の「何をすれば良いかわからない」に応える

中小企業支援に携わって経営者とお話ししていると
「何をすれば良いかわからない」と言う人が多いことに気づきます。

家業を事業承継した直後の私も何をすれば良いかわからなかった

私が家業を事業承継したのが2010年6月のこと。
その数ヶ月前からは実質的に経営者として動き始めていました。
動き始めていたといっても最初は全くの手探り。
雇われる立場、つまりサラリーマン時代が長かったので
何がどうなっているのか理解できていない状態でした。

例えば、私は東京採用で営業部門を歩んでいたので、
京都の本社がどのような組織で誰がキーパーソンなのか、
大阪の営業はどのような得意先がいて誰がよく売っているのか、
といったことを把握できていませんでした。
そのような状態で経営の最終責任者になったので、
文字通り、
「何をすれば良いかわからない」新米社長でした。

当時ありがたかったのが、
「あれをしろ」「これをしろ」
と誰からも口を挟まれなかったことです。
私に事業承継したばかりの父も、
古参従業員も取締役も
私が一歩を踏み出すまで我慢して見守ってくれていたように思います。

社長に就任した直後は頭が真っ白になりましたが
その時に新聞や本からインプットを続け、
自分で思考する習慣を身につけたのはその後の助けになりました。
もしあの時、父があれこれと私に口出ししようとしていたら
社内は無駄に混乱していたことでしょう。

中小企業支援に携わって感じていること

私のような中小企業支援家を頼ろうとする経営者に共通するのは
突き詰めれば、「何をすれば良いかわからない」状態にあることです。

各社それぞれの課題を抱えていますし、
経営者も皆さん個性的な人ばかりです。
それでも今抱えている問題や将来発生するであろう問題を追求すると、
「何をすれば良いかわからない」らしいのです。

そうした経営者が抱える課題に対し、
私は「解」そのものを提示することはできるだけ避けています。
まずは漠然とした不安を可視化すること、
そして不安を解消するための道筋を経営者自らが検討すること。
つまり、経営者が思考し、行動する手伝いをしたいのです。

経営者とお話しするときによく使っているフレーズとその理由を以下に挙げてみます。

「最近、業績はどうですか?」
→業績を数字で把握している、あるいは語ることができる経営者は少ない。

「何か困っていることはないですか?」
→課題のない企業はありません。その課題を認識できているか、そして、対策までをイメージできているかを確認します。

「従業員は気分よく働けていますか?」
→ひとり社長でない限り、従業員が社長の指示を受けて動いているはず。ただ、従業員と対話できていない経営者のなんと多いことか。従業員と関係性を築けているかどうかを自覚してもらいたいのです。

こうした何気ない(ように見える)会話を始めると
経営者が具体的な行動を始めてくれます。
私が何を指示したわけでなくとも、
自然と課題を解消するために動き出すのです。

このことこそが私の目指しているところ。
私のような社外の第三者が経営に関わるのは決して健全なことではありません。
一定の期間だけ経営者の対話相手となり、
いつの間にか自立した経営者に成長していてほしいのです。

肩をすくめる男性

わからないことをわからないと認められるのは素晴らしいことです

メルマガのコンテンツを思いついた

以前からマンダラートという思考ツールを利用しています。
自分の頭の中を整理するために、
9×9マスのスペースに思いついたことを書き連ねていくというもの。
このマンダラートを利用すれば、
経営者の「何をすれば良いかわからない」を解消する手伝いができそうです。

具体的にはマンダラートのベースを私が作成し、
足りないピースを経営者が埋めていくことで思考を促すという形。
メルマガ読者だけに提供するコンテンツにしようと思います。
メルマガにはメルマガだけの軸を持たせたら良いなと考えていて、
その軸にマンダラートが使えそうだと気づきました。

中小企業支援家はあくまで経営者の踏み台になるのが役割です。
私が魔法の杖を振るうこともなければ、方程式を解くこともありません。
いつかは必要とされなくなる役割であるのならば、
その時に備えて、経営者に思考の軸を持ってもらいたいのです。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP