持つべきものは「コンテンツ」
中小企業支援に携わっていて感じるのが、
在庫やブランド(と称しているもの)が
将来にわたって稼ぎ続けてくれるわけではないということ。
では、増やすべき資産は何なのかを考えてみます。
持つべきものは「コンテンツ」
地方中小企業や創業を志している人によくある誤解が、
商品のパッケージをおしゃれなものにし、
ロゴをデザイナーに考案してもらうと「ブランド」が出来上がるというもの。
ブランドは消費者の認知の結果であって、
見た目を整えることがブランディングではありません。
それっぽいパッケージとロゴを用意しただけで、
「ブランドを立ち上げました」と言ってしまう事業者のなんと多いことか。
一方で自社だからこそ生み出せる映像や音声、文章を資産と考える事業者は少ないです。
地に足をつけた商売をしようと考えるのであれば、
業者に踊らされてブランディングらしきことにカネと手間を掛けるのではなく、
独自性のあるコンテンツの充実が、消費者からの認知に直結します。
自分の武器となるコンテンツを見極める
ある事業者はSNSでコツコツと情報発信を継続しています。
毎日の成果物の画像を淡々と載せるだけの発信で、
無駄な文字装飾もなければ、着飾った人物も登場しません。
競合に圧倒的な差をつけている技術力があるからこそ(これが大前提です)、
シンプルな情報発信がフォロワー数を増やし、
見込客からの問い合わせに繋げることができています。
自社の強力なコンテンツをシンプルに利用することで集客を実現しているのです。
また私も同じく過去のコンテンツを有効利用しています。
私のコンテンツは、家業の事業譲渡と中小企業支援事例を取り上げてもらったメディア掲載実績。
日経トップリーダー2020年3月号と4月号に掲載された「私が老舗たち吉を売った理由」https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/022700079/
日経BP社から出版された「なぜ倒産 令和・粉飾編」
https://amzn.asia/d/aUDwIi8
朝日新聞のウェブメディア「ツギノジダイ」に寄稿した支援事例
https://smbiz.asahi.com/author/11004356
西日本新聞に連載した支援事例「商いのヒント」
https://sr14th.com/category/blog/hint/
これらのメディア掲載実績をホームページから辿れるようにしています。
すると、
「顧問契約を結んでください」
「社外取締役に就任させてください」
「講演の仕事をください」
と安っぽいセールストークを発しなくても、
メディア掲載実績が勝手に営業の役割を果たしてくれます。
大事なのは自分にとって何が「コンテンツ」になりうるのか見極めること。
まずは自分の「真の強み」を把握することが第一歩です。
ある事業者ではそれまで顧客から送られてきた感想を活用せずに放置していました。
サービスを提供して満足してくれた顧客からの感想、
これを有効活用しない手はありません。
さっそく情報発信に利用したところ、
新規の問い合わせに結びついたと喜んでくれています。
この事業者の場合は、
自社の提供するサービスの顧客満足度が高いという「当たり前」を
強みとして認識していませんでした。
当たり前のことなのでコンテンツになり得るとは思ってもいなかったところ、
私からの指摘でコンテンツ化を試みて、さっそく売り上げアップに結び付いたわけです。
コンテンツの賞味期限切れには要注意
ある事業者の事業概要を眺めていた時のこと。
過去の某案件の採択事例などを羅列しているのですが、
いずれも20年近く前の実績ばかり。
当時は画期的な成果であったのかもしれませんが、
今となっては「やや古臭い」感が生まれてしまっています。
自分の真の強みを生かしてコンテンツを作り出し、
情報発信等に利用しようとするのであれば、
コンテンツの賞味期限切れには注意が必要です。
当初は強力な効果を発揮していたコンテンツであったとしても、
年月を経れば一定の陳腐化は免れません。
いつまでも特定のコンテンツにしがみついてしまうと
「昔のことしか伝えられることが無いのだろうな」
と足元を見られるようになってしまうのです。
これは私にとっても大事なこと。
いつまでも同じ支援事例ばかりを話していると、
「最近は新しい事例を生み出せていないのかな」
と思われることになってしまいますし、
何年たっても家業の事業譲渡について話していると
「新しい事業を生み出すことができない人なのかな」
と思われてしまうことでしょう。
地方中小企業にとって自社を知ってもらうためのコンテンツはぜひ用意したいもの。
その種は足元に転がっているものである可能性が高いです。
一方でいくら強力なコンテンツであるからといっても寿命はあります。
常に新鮮なコンテンツを生み出し続けることが
事業の持続可能性を高めてくれます。
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