経営者から中小企業支援家に転身するメリット・デメリット
かつてサラリーマンだった頃は
まさか自分が転職をすることになるとは想像したこともありませんでした。
その後、江戸時代から続く家業の代表取締役になり、
さらに中小企業支援家へと転身することになります。
経営者から中小企業支援家に転身するメリット・デメリットについて書いてみます。
経営者から中小企業支援家に転身するメリット
中小企業支援家に転身して驚いたのが、
支援側に経営経験のある人がほとんどいないということ。
まるで先生が生徒に接するように話している専門家らしき人のほとんどが、
実は経営にまったく携わったことが無いというのです。
そうした専門家らしき人をありがたがる経営者もどうかと思うのですが、
おかげで実際に経営経験を持つ私は独自の立ち位置を築くことが出来ています。
つまり、
「地方中小企業の経営経験がある中小企業支援家」
というだけで重宝される存在になってしまっているのです。
例えば、
「補助金をもらうより、自分で稼いだ方が早くないですか?」
「SNSは魔法の杖ではないですよ」
「いつまでも検討せずにさっさと行動して失敗を重ねましょう」
などとお話しできるのは机上の空論でない経営を知っているから。
たった5年しか代表取締役を務めていない私でも
中小企業支援家として事業者に貢献できているのは
かつての顧客や取引先、金融機関に支えていただいた経験があるからでしょう。
多くの苦い経験やほんの少しの成功があったからこそ、
今お話しできる事業者に生きたアドバイスをすることができています。
また地方中小企業の経営者として対話していて感じるのが、
私のことを同志として受け入れてくれる瞬間があること。
経営者という孤独な立場の実態を知っているからこそ、
対話の相手として認めてもらえるのではないかと思います。
経営者から中小企業支援家に転身するデメリット
家業の代表取締役を務めていた5年は
まったくの経営経験ゼロからのスタートでした。
それまでのサラリーマン時代に部下を持った経験はなく、
取締役はもちろん管理職に就いたこともありませんでした。
いつかは社長になるだろうとは考えていたものの、
早くても数年先のことだと
どこか他人事のように捉えているところもありました。
そんな私が代表取締役として5年の任期を務めることになりました。
最後は投資ファンドに事業譲渡せざるを得なくなり、
江戸時代から続く家業を畳むという悔しい思いをしました。
その後、中小企業支援家に転身したのは日本経済新聞に掲載されていた求人広告がきっかけ。
当初は行政が設置した事業相談窓口でセンター長を務め、
その後は独立開業して今に至ります。
事業者と共に多くの支援事例を生み出せたのは幸運なことでした。
2017年に中小企業支援家に転身してから、具体的にどのようなご支援をしてきたのかをまとめました。 ※メディアに支援事例として掲載されたものだけを抜粋しています コンサルティングの主役はあくまで事業者です。私の基本的な立ち位置は経営者のための「踏み台」のようなもので、行動するのも成果を得るのも…
中小企業支援家に転身してしばらく経つと、
「いつかまた商売の現場に復帰したい」
と漠然と考えるようになりました。
事業者へ知恵とアイデアを提供し、
支援の成果がメディア掲載などで可視化されると同時に
また自分も商売の最前線で活動したいと願うようになったのです。
支援している事業者のように「自分のもの」を持ちたくなったのです。
そのため私は中小企業支援だけで
この先の社会人人生を過ごすつもりはありません。
何らかの事業も営みながら、
中小企業支援を続けていこうと考えています。
行政や支援機関の職員の多くは支援側の経験しかありません。
一方で私は経営者から中小企業支援家に転身しました。
経営の楽しさも怖さも知ってしまったために、
中小企業支援だけでは満足できないようになってしまったのです。
独自化こそが価値を生み出す源泉
地方中小企業の経営者から
中小企業支援家に転身した私の経歴は珍しいと自覚しています。
江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡しているともなると
ますます似たような経験をした人は見つかりづらくなることでしょう。
自営業に限らず、
社会人はどれだけ独自の立ち位置を築くことができるかで
社会に提供できる価値が変わってくるように思います。
人それぞれ個性ある人生を送っているわけですが、
当たり前の人生だと思い込んでしまうと多くの競合に埋もれ、
価値を高値で買ってもらうことは難しくなります。
反対に珍しい人生を歩んできたことを可視化できれば、
それだけで多くの機会を得ることが可能になります。
私も家業を退任した時点ではただの失敗経営者でしたが、
その後の転職で中小企業支援家の道を選び、
多くの事業者との出会いがあったことで
再び社会に価値を提供できる仕事に就くことができました。
転職にはメリットもデメリットもありますが、
第二、第三の社会人人生を豊かなものにしていくためにも
自分の真の強みを可視化して独自の立ち位置を築くことが必要。
その独自化こそが価値を生み出す源泉なのです。
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