地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業の経営者が従業員と対話する方法

地方中小企業の経営者と話していると
従業員との対話量が少ない人をお見かけします。
コロナ禍もあり、対話の機会を失ったままのところもありそう。
経営者はどのようにして従業員と関係性を深めれば良いのでしょうか。

目標設定と評価を目的とした面談を実施する

少人数の地方中小企業であるほど、
従業員に対し目標設定などせず、
なんとなく昨日と同じ働き方をさせてしまっています。

会社の現在地がどこにあり、
目指すべき位置までどれくらいの距離が残っていて、
ついてはどのような手段でその距離を縮めようとしているのか。
さらにはその過程で従業員個人に何を求めるのか。
本来の目標設定は経営と従業員が同じゴールを目指すためのもの。
目標設定なしに日々の業務を行うことなどあり得ません。
従業員への目標設定は経営の責任で行うべきことです。

ところがこの目標設定を怠っている会社が多いのです。
目標設定をしなかったからといって従業員の手が止まるわけでもなく、
昨日と同じように今日も事業が存続してしまうので、
経営者もついつい後回しにしがちなのでしょうか。

目標設定をしないとどうなるか。
従業員は
「前期と同じ程度に働けばよいのだな」
「昨日と同じことをしていればよいのだな」
と思考します。当然のことです。そこに悪意はありません。

会社全体がこうした現状維持思考に陥ると業績は緩やかに下降し始めます。
「前期と同じことをしているのに売上が下がった」
「決められた通りの業務をしているのに赤字になった」
という風に事業の利益創出力が減少していくのです。

経営者は事業の成長のバトンを繫いでいく責任を負います。
そのために必要なのは成長に対する強い覚悟を持ち、
新規事業に挑戦し続けることです。
新しいことに挑戦するためには未知の業務が発生します。
当然、従業員に道を指し示してやらないといけません。
つまり「目標設定」が必要なのです。

また事後には評価を必ず実施すること。
ふり返りがなされなければ、
やりっ放しの、誰も責任を取らない文化が蔓延しかねません。
会社が求める水準に達していたのか、
期待を上回る働きをしてくれたのか、
目標に到達しなかったのであれば要因はなんであったのか。
評価面談はあら探しをする場ではなく、
将来の成長に向けたヒントを探す場です。

経営者の考えていることを伝える

従業員は経営者の声を聴きたがっています。
一方で経営者は自分の声を届ける努力を怠りがち。

今どきはスマホ一台あればコミュニケーション可能です。

・社内向けの音声メディアを立ち上げる

・社長と従業員の対話を動画で配信する

・従業員向けのブログを書く

これらのことは今すぐにでも始められることです。

私が行っていたのは手書きのハガキを送ること。
移動時間中に持ち歩いているハガキにコメントを書き、
前月の成績優秀者などに送っていました。
手書きのコメントは心に残るものと信じて、
せっせと書いていたことを今でも思い出します。

コミュニケーションは手間を掛けなければ心に刺さりません。

「社長の考えていることくらいわかっているだろう」

「一度話したのだから心に留めてくれているはず」

「いつも顔を合わせているのだから改めて話す必要はない」

というのは一方的な思い込みです。
繰り返し何度も、わかりやすい言葉で伝える努力が求められます。

スマホと三脚

社長の声は簡単に届けられます

従業員との対話を怠った経営者の末路

ある企業が事業の継続を断念したときのこと。
経営者が従業員を集めてスピーチをしたそうです。
これまでの苦労に対して感謝を述べるのかと思いきや、
「君たち従業員の努力が足りなかったから会社は破綻してしまった」
と話し始めたというのです。

その様子を教えてくれた人が言うには、
経営者と従業員が対話する機会は元々少なかったとのこと。
それぞれの従業員が細かい指示を受けることなく好きなように仕事をしていて、
結果が出ているうちは良かったものの、
それまでのビジネスモデルに変化を求められるようになってからは
あっという間に窮境に陥っていったそうです。

会社という組織で利益という結果を求めるのであれば、
労使が一体になってゴールを目指す必要があります。
そして、ゴールを指し示すのは経営者の役割。

「わかってくれているはず」

「言わなくても察してくれ」

「なんでわかってくれないのか」

というのは経営者の甘えです。

従業員と対話を尽くして一つの方向に力を向けましょう。
対話を重ねれば重ねるほど強い組織になります。

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