「自分のもの」を持つための起業
起業は究極の自己実現です。
ただし、何のために起業するのかという思考が浅いと、
早晩、事業が行き詰まることになりかねません。
商売は利益を生み出すこと、
つまり稼ぎ続けることが目的の一つ。
起業についての私の考えを書いてみます。
従業員に資格を取ることを推奨していた理由
私が家業の代表取締役を務めていた際、
従業員には資格を取るように促していました。
理由は2つあり、
もちろん、資格勉強を通して得られた知見を日々の業務に反映させて欲しいことと、
もう一つは社会人人生を自分でコントロールするための資格という武器を手にして欲しかったのです。
雇われる立場であれば、
いつか必ず会社から卒業するタイミングがやってきます。
早いと60歳や65歳での定年、
再雇用されたとしても65歳や70歳での退職を余儀なくされることがほとんど。
早期退職制度などに応募すれば
もっと早い時期に会社を離れることも十分に起こり得ます。
その時に必要なのは
生活を持続可能な状態にすること。
つまり稼ぎ続けることです。
安直に再就職を目指しても、
自分の強みを可視化できていなければ買いたたかれるだけ。
不本意な給料を受け入れざるを得なくなり、あるいは、
雇用形態で妥協を迫られることになるわけです。
そうなると日々食べていくのもやっとという状態になってしまうのは
本当にあっという間のことです。
人生が終わりを迎える時まで生活し続けるには
稼ぎ続ける必要があるのです。
蓄えや資産があるのであればお金がお金を生むような仕組みを作れますが、
必ずしも十分な備えがないのであれば
できるだけ長く働き続けなくてはなりません。
そう考えると、
起業というのは軌道に乗せることさえできれば、
自分が納得できる時期まで働き続けることができるので
人生の持続可能性を担保してくれる手段になり得ます。
私が従業員に資格を取るように促していたのはこのためなのです。
自分の人生を自分でコントロールする
最近、元従業員さんとお会いする機会が立て続けにありました。
皆さん、それぞれの人生をたくましく歩んでいますが、
やはり、歳を重ねるにつれて働き先の選択肢は減っていると言います。
当初は正社員であっても有期雇用にならざるを得なくなり、
有期雇用であっても派遣にならざるを得なくなったり。
稼ぎ続けることができていれば良いのですが、
60歳前後を境に、
かつてのように働き方の主導権を本人が握るのは難しくなっていくようです。
資格さえ取れば、その後の人生が約束されるわけではありません。
資格は自営業へ繋がるチケットのようなもの。
雇われる立場で資格を生かすのもありでしょう。
もちろん資格取得と同時に独立して起業するのも大いにあり。
大事なのは自分の人生を自分でコントロールすることで、
好きな時まで働いて食べていく(食べさせていく)ことです。
私が資格を取るように促していた元従業員さんは
今年も試験勉強を続けています。
様々な困難を抱えながらも挑戦を続けているようで、
私にはせいぜい叱咤激励するくらいしかできません。
自分で納得できる結果を得られるように遠くから祈っています。
「自分のものが欲しい」
ある映画を観ていたら、
主人公が勤め先を買収しようする場面がありました。
オーナーになぜ買おうとするのかと聞かれた主人公は
「自分のものが欲しいのだ」
というように返答していました。
この場面は私に強烈な印象を残しました。
まさに私の感覚と同じだったからです。
祖父と親から引き継いだ家業を第三者に事業承継し、
現在は地方中小企業の経営者と対話する日々の私。
中小企業支援は天職だと強く認識していますが、
どこか物足りなさを感じることがあるのも事実です。
それは経営の最前線に立っていた人で無ければわかってもらえない感覚でしょう。
「自分で全責任を負う商売をしたい」というもの。
「岡田事務所を経営しているじゃないか」
と言われればその通りです。
おかげさまで家族三人がほんの少し余裕を持って生活できる程度には稼げています。
ただ、何か物足りなくて。
「自分のものが欲しい」のです。
幸い、今は働き方をコントロールできているので
朝から晩まで作業に追われるようなことはありません。
何か新しいことに取り組もうとする時に大きな障害はないのです。
中小企業支援にもこれまでの商売の経験を生かしているのが私。
そろそろ新しい挑戦を始めて、
中小企業支援業務にもさらに良い影響をもたらす、
正の循環を作りたいと考えています。
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