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コラム

士業マーケティング これまでに断ってきた仕事

独立・開業すると仕事を受けるも受けないも自由です。
自由があるということはリスクも伴います。
私がこれまでに断ってきた仕事とその理由を書いてみます。

士業紹介業者からの営業

ホームページに電話番号を公開しているので
たまに営業電話が掛かってきます。
月1回あるかどうかくらいの頻度。
ある先生は営業電話を1回5,000円の「有料」で受けることにしているそうで、
それはそれで面白いなと思ったりします。

多いのが士業紹介会社からの電話です。
「私たちのお客様で社会保険労務士を探している会社がありまして、
○○といった業務を岡田先生はされていますでしょうか?」
といった感じです。

このような業者と提携する行為は
社会保険労務士法第23条の2(非社労士との提携の禁止)に抵触するので
「社会保険労務士法違法ですよ」
と伝えて電話を切るようにしています。

営業電話があるということは
一定の確率で釣られてしまう社会保険労務士が存在するということでしょう。
倫理講習などでも繰り返し注意喚起されているこの問題。
開業してある程度の年数を経ていれば察知できそうなもので、
ということは、
相手にしてしまうのは独立・開業まもない人なのかもしれません。

法律に基づいて独占業務を与えられているのが士業です。
目先の売上(らしきもの)に目がくらんでしまうと、
信用を大きく損なうことになってしまいます。

「安さ」を求める人からの依頼

私は社会保険の手続き代行や給与計算は手掛けていません。
理由は他にいくらでも長けている競合が存在しているから。
実務経験のない私が今さら参入しようとしたところで、
ベテランに競り勝って受注するには、
価格の安さか距離の近さを訴求するしかありません。

もちろん、手続き代行業務を否定しているわけではありません。
例えば20代などで開業したのであれば、
手続き代行業務に全力で注力するのもありでしょう。
なぜなら顧客も若い社会保険労務士を応援してくれるだろうから。
年齢という武器を用いて、
応援されるための「余白」を意識して作るというのも巧みな営業戦略なのです。

ある時、電話がかかってきたのは知り合いの経営者。
特に親しいわけでもなく最近の消息は把握していませんでした。
開口一番おっしゃるには、
「就業規則を改訂したい」
とのことでした。

私からは
「手続き業務は手掛けていないので、他の社会保険労務士を紹介することは可能」
とお伝えしました。
その後、よくよく事情を聞き出すと
労務トラブルが発生していたものの何とか解決したばかり。
再発を防ぐために就業規則を改訂することを思いついたよう。
社会保険労務士との顧問契約は考えておらず、
安価なスポット契約で済ませてしまいたいとのことです。

また、手当たり次第に地域の社会保険労務士に連絡をしているものの、
すべての事務所から断られてしまっているとのこと。

労務トラブルを発生させてしまうような体質の会社の経営者で、
専門家に依頼する業務に適正な対価を払うつもりもなく、
さらに情報を小出しにして依頼しようとする姿勢が嫌われたのでしょう。
ご本人はなぜ誰も依頼を受けてくれないのか不思議がっていました。

またある時は、労働基準法の解説セミナーをしてもらいたいと依頼がありました。
某公的機関からのお声がけでしたが丁重にお断りしました。
移動時間も含めた報酬を考え合わせると、
まったく割に合わない仕事だと判断したのです。

依頼者に他の社会保険労務士にあたってくださいと返答すると
「この条件で受けてくれる人がいなくて困っている」
と返ってきました。

適正な対価を支払ってもらえないのであれば、
仕事を受けることはありません。
商売をしているのであれば当然のことです。

「次の機会にお返しするから今回はよろしく」

「人脈を作ることができるから」

「予算がないから、これで何とかお願いします」

などと言われても関係ありません。

発注する側が誰に仕事を出すかが自由なように、
受注する側も仕事を選ぶことができるのです。

夕日を浴びる交通標識

立ち止まる勇気を持ちましょう

社会的に問題を引き起こした人との協業

かつて某業界で有名な人がいましたが、
補助金の不正受給に関与しているとの報道がなされ、
本人も記者会見で事実を認めるという出来事がありました。
とても形式犯とみなせるものではなく、
悪質な行為に本人が関与していることが明らかになりました。

私が直ちにとった行動は、その人との縁を切ること。
直接、契約していたわけではなかったので、
関与先から文書を発信してもらい、「今後の関わりは不要」と通知しました。
迅速に対応したので多くの業界関係者に驚かれましたが、
私からしたらあいまいな態度で通すことは許されない不祥事事案です。

影響力の大きい人でしたので
事件発覚後も決断しかねたのか、付き合いを続けている人がいました。
外から見ていると、
きわめていびつな関係を続けているように見受けられたのを覚えています。

社会的に許容されない問題を引き起こした人物とは付き合わない。
私の譲れない一線です。

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