地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

経営者に使ってもらうのが中小企業支援家

ある顧問先の経営者と定期的にお話しさせてもらっています。
当初は私のような第三者の使い方をイメージできなかったようですが、
最近は対話をきっかけに新しい挑戦を始めるなどしてくれるようになりました。

「何をしてくれるのか?」と聞く事業者には何もできない

中小企業支援に携わる人の
事業者への関わり方は様々でしょう。
特定の分野のアドバイスをすることもあれば、
法律で定められた独占業務を提供することもあるはず。
支援機関であれば補助金などの制度の活用を勧め、
金融機関であれば融資などを通して事業者を支えようとします。

一方で私のスタンスは事業者の「踏み台」になるというもの。
おそらく多くの競合とは異なる姿勢で事業者と向き合うようにしています。

具体的には
経営者だけでは手が届かないところにある果実を、
私を利用することで手にしてもらいたいと考えています。
踏み台に足をかけるのは経営者ですし、
果実に手を伸ばすのも経営者。
もちろん成功という果実を味わうのも経営者です。
主役は経営者であり、
中小企業支援家の私はあくまで支援するだけ。

ところが、私が寄稿している事例だけを見て連絡をくれる人にありがちなのが、
私が一方的に魔法の杖を振るっているという誤解です。
事業者が何もしないうちに売上が増えてしまうようなイメージを持つようで
私と初めて顔を合わせるなり、

「うちの会社に何をしてくれるのですか?」

「あの事例と同じようなアイデアが欲しいです」

と言う人もいます。

このような経営者には
経営にショートカットは存在せず、
知恵とアイデアは提供できるかもしれないが、
実際に行動するのはあくまで経営者ご本人であると
ご機嫌を損ねないようにお伝えします。

なるほどと納得してくれて対話が始まる人もいれば、
そんなつもりではなかったと帰ってしまう人も。
ただ、ご自身で汗をかくつもりのない人には
支援のしようがないのは率直なところです。

ある経営者に具体的なアイデアを提供したところ、
「これを私がやらなくてはいけないのですか?」
と言われてしまい閉口したことがあります。
まさかご自身による行動を求められるとは思っていなかったようです。

この世で起こることのすべては経営者の責任です。
大きな責任を負う代わりに、
行動の結果の果実を得られるのも経営者です。

経営者に求められるイノベーションの追求

私のかつての家業が窮境に陥った遠因は
強烈な成功体験に寄りかかりすぎ、
進取の気性を失ってしまったことにあると考えています。

戦後まもない頃には
新しい商売の形態に貪欲にチャレンジしつづけていたのに、
高度成長期を経て1990年のバブルの絶頂を迎える頃には
築き上げたものを守ろうとする姿勢ばかりが目立つようになってしまったのです。

一言で表現するなら、
経営者がイノベーションを追求しなくなったのです。
現状維持は衰退への第一歩。
成長への渇望を忘れた途端に事業は失速し始めます。
経営者に必要なのは事業を成長させ続けるという覚悟であり、
事業の成長のバトンを新しい事業に繋いでいく経営判断です。

ある関与先の経営者は当初私に
「現状維持で事業承継できればよい」
と言っていましたが、
最近では
「現状維持はありえない。新しいことに挑戦できるうちに挑戦したい」
とおっしゃってくれるようになりました。

実際に新規事業が育ち始めているのを目の当たりにし、
私と同じような思考をしてくれるようになりました。

庭にある脚立

事業の主役は事業者です

私の先を進み始めた経営者

ある経営者は
私と対話するのを楽しみにしてくれていましたが
どちらかというと受け身の姿勢でした。
「アドバイス」らしきものを待ち構えていたのです。

ところが月一回の対話を重ね、
新しいアイデアやその進捗について話を続けていると
最近では私の期待を上回るスピードと内容で行動されるようになりました。

私が(失礼ながら)勝手に
「今月の進捗はこの程度かな」
「先月提案したアイデアにはまだ着手できていないだろうな」
などと考えていても
想定を上回る成果を生み出し始めているのです。
中小企業支援家としてこれほどうれしいことはありません。

私はあくまで「踏み台」です。
本来は地方中小企業の経営者が自力でなすべきことがあるのに、
何らかの要因でお困りの時に使ってもらう道具に過ぎません。

この経営者との取り組みのように、
いつしか自力で事業を力強く再起動させる瞬間を目の当たりにできるのは
中小企業支援家の役得だと思っています。

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