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コラム

「営業」と「販売」の違いについて考える

顧問先で立て続けに営業活動についてアドバイスを求められました。営業というと各社それぞれの文化があり、外部の専門家に意見を求めることは珍しいように思います。売上を作るという意味で、営業に対し私がどう考えているかを書いてみます。

「営業」と「販売」の違い

新しい年度が始まると会社から売上予算が示されて、特に具体的な作戦を立てることもなく、去年同様に今年も舞い込んでくるであろう受注を淡々と消化していく。たまに顧客を廻ってカタログを置いてきて、発注されるかどうかは相手次第。営業報告書には当月の受注実績を書いておけば良し。

地方中小企業ではこんな活動をしている営業担当者が多いように感じています。このような活動は「営業」ではなくただの「販売」。能動的な営業活動ではないので、結果は出たとこ勝負にならざるを得ません。

会社から示された売り上げを「最低限」作るために、

・見込み客リストを作り、

・関係性を構築して需要(困り事)を聞き出し、

・商品を購入してもらうように見込み客を導く

というのが営業担当者に本来期待される営業活動。この本質を理解していない経営者が営業担当者(らしき役割の人)を野放しにしてしまうと、たいていの会社は営業活動が満足になされずに、売上を自社でコントロールできなくなってしまいます。

放っておいても舞い込むであろう案件の受注に対応するだけでは、ただの「販売」。事務的な作業をこなしていくだけなので、未来に向かって売上を作る営業とはまったく異なる業務です。

経営者が「営業」と「販売」の違いを理解しておけば、従業員が創造的な働き方をしてくれるように導くことが可能になります。

売上予算・計画を作る意味

売上予算は大抵の会社が用意しているようですが、売上計画までを作り込んでいるところは少ないでしょう。売上計画とは「売上を作るための覚悟を示す計画」です。会社あるいは社長と営業担当者間の売上を作る約束というイメージ。銀行に見せるのであれば、銀行と社長の約束となります。

顧客から発注書をもらえるか、商品・サービスを購入してもらえるかは自社の都合だけで決められるものではありません。その不確実性を自社が主体的にコントロールできるように立ち回るのが営業担当者の役割。その行動予定と結果への覚悟を示すのが計画書です。

会社を存続させるため、成長させるための原資となる利益をどう稼ぐか。利益を行き当たりばったりの受注に頼るのではなく、能動的に行動して企図した数字を作り切るための予算であり、計画なのです。

売上予算に対し、誰にいつ何を売るのかの計画を立てて、進捗を把握していかないと

「発注がなされるかどうかは顧客次第なので、売上の予測など無理」

「発注がなかったので今年の予算は達成できません」

といった言い訳がまかり通ってしまいます。地方中小企業が赤字に陥ってしまった時によく耳にするフレーズです。どちらの言い分も間違ってはいません、販売担当者が口にするのであれば。

営業担当者は売上の不確実性をできるだけ減らすように行動します。売上を顧客任せにせずに、自社でコントロールできるように立ち回ってくれるのです。

大量の札束

売上の不確実性を無くすのが営業担当者の役割です

経営者が目指すべき営業管理

経営者は営業担当者に対し、

「この数字を作る計画を立ててくれ」

「この数字を作るのに見込み客リストは足りているのか」

「新しい見込み客とどこで繋がるつもりなのか」

「過去の受注率がこうなのだから、見込み客があと⚪社足りないのではないか」

「見込み客にどのような情報提供をするのか」

「見込客の困りごとは何なのか?どのような要望があるのか?」

「その時々の受注見込みを報告してくれ」

「予算に未達になりそうなら計画を修正して必達せよ」

といったコミュニケーションが必要です。出張予定を管理したり、売上額だけを気にするのが営業管理ではありません。見込客への種まきをどのように行っているかを把握するのが営業管理です。

もちろん、成果(行動量、売上、利益)などに対してインセンティブを設定してあげるのが望ましいです。頑張っても頑張らなくても先月と給料が変わらないのであれば、基本的に前向きに動いてくれないのが人間です。経営者は事業運営上起こるすべての事象に責任を負います。一方で雇われる立場の人には責任は発生しません。すべては会社と経営者の責任。そのため、成果に対するインセンティブを設定することで、能動的に活動してくれるように促す必要があるのです。

売上は最後の結果です。結果が出るまでの過程に経営や管理職が関与することで、より精緻に数字が作れるようになります。

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