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コラム

一人ひとりに合わせることを怠らないコミュニケーションで関係性を構築する

地方中小企業の経営者に
「既存顧客と丁寧に関係性を構築してください」とお勧めしても、
どのような対話をすればいいのかイメージできない人がほとんど。
私は「個別に手紙を書くように対話してください」
とお伝えするようにしています。

「マス」に向けて発信しても自分事とは受け取ってもらえない

多くの地方中小企業にとって、
既存顧客に向けた情報発信は、必要性を感じてはいるものの、
なかなか本腰を入れて取り組めないことの一つです。
勇気を振り絞って始めたとしても、
不特定多数の「マス」に向けて発信してしまっていて、
残念ながら効果を実感できることなく終えてしまう人が多いようです。

せっかく行っている情報発信の目的の一つは
既存顧客との関係性を構築することで、
価格やスペックだけで比較されることなく
自社の商品・サービスを選んでもらうことにあります。
重要なのは独りよがりな情報を伝えようとせずに、個別の対話を試みること。
つまり、既存顧客一人ひとりと対話すること。

自分の身に置き換えて考えてみればわかりやすいでしょう。
いかにも不特定多数に向けているであろうチラシと、
○○様と宛名のある一筆箋に書かれた短い手紙。
どちらが心に刺さるでしょうか。

売りたい一心で作ったチラシなどの販促物を見せてもらうと
マスに向けたものであることがほとんど。
それはつまり誰に向けたものでない手紙と同じで
見込客の行動に結びつく確率は限りなく小さくなります。

顧客名簿上の名前はリストではなく、
一人ひとりの顔と名前のあるお客様です。
関係性を深めて自社を選んでもらおうとするのであれば、
生きた対話を試みることが必要。
このひと手間が売上に繋がるかどうかの分かれ目です。

一人ひとりに合わせることを怠らないコミュニケーションとは

既存顧客の顔を一人一人想像しながら発信することで
反応率は確実に向上します。

例えば

・売り手の都合を押しつけずに、
顧客が好んで使う連絡手段に合わせて連絡を試みる。
メール、電話、FAX、LINE、メッセンジャーなどを相手に合わせて使い分ける。

・対話の中に顧客の名前を盛り込む。
人は名前を覚えていてもらえたり、呼んでもらえたらうれしいもの。

・前回の対話内容を覚えていることを会話に含める。
その他大勢の顧客の中の一人ではなく、
一人一人が特別の存在であることを示す。

といった感じです。

この一つ一つを実際に試すと
顧客の顔色が変わることを実感できるでしょう。

私の場合は特に連絡手段を相手に合わせるようにしています。
FAXを使うことはありませんが、
それ以外の連絡手段は顧客の好みに合わせるのです。
同じセミナーの案内をしようとするのでも、
ある人には電話で、ある人にはInstagramのDMでといった具合。
こちらの手間は増えますが、
顧客にとっては押しつけがましさが減っているはず。

もう一つ、名前を呼ぶように心掛けるのも効果的。
私は人の名前と顔を一致させるのが苦手ですが、
だからこそ意識して名前を呼ぶようにしています。
自分自身に置き換えてみれば、名前を呼ばれて悪い気はしません。
大事な顧客なのであれば堂々と名前で呼ばせてもらえばいいのです。

前回のお買い上げ内容や会話の様子を思い返しておくのは
営業に携わるのであれば最低限のマナーでしょう。
中小企業支援に携わる私の場合、
前回の相談内容、提案したアイデア、相談者の気になった一言などを覚えています。
記録にも残していますが、もちろん頭に入っています。
これらを「覚えていますよ」とまでひけらかさなくても、
対話の中に盛り込むことで顧客に安心感を与えることができるでしょう。

きれいな2羽の青い鳥

青い鳥を追いかけるくらいなら、既存顧客と向き合いましょう

既存顧客と話した方が売上になる確率は高い

ある事業者が顧客名簿を大量に取得できる機会がありました。
新商品がヒットして全国から短期間のうちに注文が殺到したのです。
ところがこの名簿が十分に生かされることはありませんでした。
何回かセールの案内に使われたのみで、
せっかくの資産が有効に活用されることはありませんでした。
顧客名簿を取得しておきながら、
その資産の価値に気づかないとはもったいないことです。

他の事業者でも手元にある顧客名簿を活用しようとせずに
「ネット広告のやり方を教えて欲しい」
「SNSを使えば新規顧客が増えると聞いた」
などと言う人がなんと多いことか。

目新しそうに見える取り組みに手をつけるくらいなら、
既存顧客と話した方が売上になる確率は高いです。
目の前にいる顧客をないがしろにして
青い鳥を追い続けるのは滑稽なこと。

そして目の前の顧客と対話する際に重要なのは
顧客という塊で考えるのではなく、
一人ひとりに合わせてコミュニケーションを取ることです。

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