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コラム

社外取締役の理想像は?

    地方中小企業が取締役会に社外取締役を加えようとする場合、どのような人物を選べば良いのでしょうか。

    社外取締役に関する不安

    私は地方中小企業といえども社外取締役の適正な活用が経営改善の鍵を握ると考えています。その社外取締役を選ぶに当たってはいくつかの価値観を会社と共有できるかどうかが重要です。社外取締役の理想像とはどういった姿なのでしょうか。

    ところで、社外取締役導入に不安を覚える経営者もいるようです。

    例えば
    「業界のことを知らないと役に立たないのでは?」
    「取締役会に混乱をもたらされたら困る」
    「あるべき論を振り回されたら不愉快だ」
    といった声は私が実際に中小企業の経営者から聞いたことがあります。

    さらに、
    「どんな人材を選べばよいのかわからない」
    「どういった資格を持つ人物を選べば良いのか」
    「適正な人物を紹介してくれるような支援施設はないのか」
    と言う方もいました。

    確かにアルバイトや正社員と違い、会社の経営を直接担う取締役会のメンバーです。どのような目線で候補者を探せば良いのかという情報はまだ不足しがち。

    上記のような社外取締役に対する漠然とした不安や、どのように選べばよいかわからないという不安が生まれる背景には、地方中小企業が理想の社外取締役の姿を思い描けていないことがあるように思います。

    社外取締役の理想像は?

    では地方中小企業にふさわしい、社外取締役の理想像はどういったものでしょう。

    私の考える社外取締役の理想像は、

    1. 自らも経営経験を持っている
    2. 対話を重視する
    3. フットワークが軽い

    を併せ持つ人物です。

    それぞれご説明しましょう。

    1.経営経験を持っている

    地方中小企業の経営者とお話しするのに、自ら経営経験のない社外取締役では壁打ち相手としても、将来の経営戦略を共に考えるパートナーとしても能力不足です。

    私には家業の代表取締役を務めていた際に以下のような経験があります。金融機関から派遣された経営コンサルタントと事業計画の立案を行っていた時のことです。彼らが重視するのはいかに経費を削減するかのみでした。例えば、早期退職制度を活用して人件費を減らす、利益を生み出せていない店舗は一律に閉鎖する、営業担当の出張を制限して交通費を削減する、といった具合です。一方、売上に関しては「売上を作るのは会社の努力で行ってください、我々は茶わんの売り方を知りません」と言うのです。

    この時思ったのが、いかに有名会社のコンサルタントであっても、自社のことを経営者と同じ立場で考えてくれることはないということ。言い換えれば、経営経験を持たないコンサルタントは、あるべき論や建前を振りかざすしかできないことに気付いたのです。

    話を戻すと、地方中小企業の社外取締役には、地域や業種は違っていたとしても、同じように地方中小企業の経営者として汗のかいた経験のある人物がふさわしいと言えるでしょう。社長と共に歩むに値するだけの確かな経験があるかどうかがまず重要なのです。

    2.対話を重視する

    コンサル経験者にありがちなのが、先ほど私の体験を書いたように「あるべき論」ばかり押しつけてしまうタイプです。私は他にも金融機関の推薦で派遣されてきた経営コンサルタントにより、SWOT分析や財務諸表の一方的なレクチャーを押しつけられ、辟易した経験があります。

    人材や資産の揃っている上場企業と、地方中小企業は良くも悪くも異なります。現場で何が起こっているのか、会社様が何を感じ取っているのか、日々苦闘しながら何を目指しているのか。整った言葉でなかったとしても、これら地方中小企業の実態を丁寧に聞き出し、共感する力が必要です。何よりもまず聴く姿勢を持つことが求められるのです。

    私が面接や選考に携わる際の基準の1つは、人の話を最後まで聞くことができるか、です。人の話を押しのけてまで自分の主張を通そうする人物、考えながら話している人の思考を邪魔するような人物はチームには必要ありません。地方中小企業にも多様性が求められる時代だからこそ、他者の言葉を尊重できる能力が求められます。

    走行している東海道新幹線

    社外取締役にも「スピード」が必要です

    3.フットワークが軽い

    社会人が仕事を行う上で示すことができる誠意の1つは「スピード」です。特に日々しなやかに動き続けている地方中小企業に社外取締役として関わるからには、スピード感を持って共に歩めるかが重要です。

    私が代表取締役を務めていたときに従業員に伝えていたことの1つは「悪いニュースほど急いで連絡してほしい」ということ。曜日や時間、さらには私の予定を気にすることなく、都合の悪い情報ほど早く耳に入れて欲しかったのです。

    ある時、出張帰りに飛行機を降りた途端に携帯が鳴りました。管理職からの連絡で「念のための連絡ですが、従業員○○さんが体調不良で検査入院しました」というのです。私に何ができるわけでもありませんが、大事な従業員の体調に関わることです。急いで連絡してくれた管理職に感謝しました。

    社外取締役にもスピードが必要です。メールの返信が早いか、社長の緊急時にすぐに時間を作ることができるか、土日祝日でも連絡がつくか。「社外」取締役といえども、会社と同じ以上のスピード感を持って取り組んでくれる人材を選びましょう。

    まとめ

    まとめますと、

    社外取締役の理想像は、

    1. 自らも経営経験を持っている
    2. 対話を重視する
    3. フットワークが軽い

    を併せ持つ人物です。

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