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コラム

中小企業支援の在り方について最近考えていること

今日は日曜日なので、記事をどのようにまとめるかは特に意識せずに
私が最近考えていることを書いてみたいと思います。

支援しないのも支援

ある人とお話ししたときのこと、
専門家であるからには支援は積極的に行うべきだそうで、
経営者から求められていなくても
全方向から手助けすべきというのが持論とのことでした。

私は全く真逆の考え。
何をどうするかは経営者が自由に決めれば良いこと。
成功も失敗も責任を取るのは経営者なのだから、
どう歩むかは経営者が好きに判断すれば良いのです。

経営にショートカットはありません。
何がどう結果に影響を及ぼすかは誰にもわかりません。
経営者がこれと決めた道があるのであれば、
法令違反など明らかに間違いで無ければ見守るのみです。

もちろん、アドバイスを求められるのであれば
具体的な知恵とアイデアは提供させてもらいます。
しかし何も求められなければ口を挟むことはありませんし、
漠然と「何をすればよいですか?」などと聞かれても
「好きなことをやると良いですよ」とお答えすることにしています。

支援事例を講演・寄稿などしていると、
すべての事業者に対して
私が「魔法の杖」を振るっているように誤解されることがあります。

例えば、
窮境に陥っている事業者に対して
私が売上アップを必ず実現する秘策を授け、
事業者が何も考えずに実施して成果を生み出した、
といった感じ。

支援の現場では私が「魔法の杖」を振るうことなどほぼありません。
事業者と共に頭をひねりながら、
今だからできることは無いか、
何か見落としていることは無いか、
やりきれていないことは無いか、
などと何度もの対話を重ねた上で、ある取り組みを思いつくことがほとんど。

メディアに取り上げられた支援事例のような
キラキラとしたわかりやすい取り組みは中小企業支援の一側面に過ぎません。

あくまで経営者が自立して思考し行動することが第一で、
その上で支援を求められれば動くのが中小企業支援家です。
経営者の一挙一動にコメントをしたり、
経営者をコントロールするような行動は相応しくありません。

支援しないのも支援。
中小企業支援における私の信条です。

シンプルな使命は経営者に知恵とアイデアを提供すること

行政や支援機関にありがちなのが、
教科書に書いてあるような「あるべき論」を経営者にぶつけること。

「人件費を減らしましょう」
「売り上げを増やしましょう」
「補助事業が、、、」
「展示会へ出展して、、、」
といった感じ。

私も経営者をしていた当時に、
経営指導員とされる人から同じようなアドバイスを受けました。
「売上に対し人件費が過大なので利益が出ていません」と言われたのです。
そんなことはわかっています。
売上アップの切り口を教えてもらいたかったのに、
そうした知恵やアイデアを授けてもらうことはできませんでした。
※この時の経験が中小企業支援に興味を持つきっかけになりました

何もできることがないのであればそう伝えるべきですし、
ましてや、支援する側の都合を押しつけるなんて本末転倒です。
それらしく現状をカタカナ語混じりで分析したところで
売上アップが実現することはないのです。

中小企業支援家の支援に求められるのは
売上アップを実現するための知恵とアイデアを提供すること。
このシンプルな使命を忘れてはいけません。

おもちゃの魔法アイテム

中小企業支援に「魔法の杖」はありません

分をわきまえる

ある公的支援機関の専門家とお話ししたら、
「伴走型支援を実施している」と言います。
支援の内容を教えてもらうと、
定期的にヒアリングを行ったり、
支援制度を案内しているだけの様子。
社外取締役のように取締役会の監督を行うくらいの気構えがないのであれば、
安易に伴走型支援などと表現しない方が良いと思うのですが。

経営に行き詰まりつつある経営者とお話ししたときのこと。
かつての自分の姿を思い浮かべながらお話しした内容の詳細は書けませんが、
最後に「お体は大切になさってください」とだけ付け加えました。
顧客が減り、従業員に突き上げられ、資金の底が見えてきた経営者に必要なのは
誰か一人でも苦労を察している味方がいると伝えてあげることです。
その経営者は目を赤くして深々と頭を下げて帰っていきました。

中小企業支援家はしょせん、社外の無責任な立場です。
経営者が抱くような夢は共有できませんし、
成功の果実を受け取ることも無ければ、
失敗してしまった時の責任も発生しません。
分をわきまえて役割を果たすことが
中小企業支援家には求められます。

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