地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

士業マーケティング 後付けのストーリーでは共感されない

見込客から共感される仕掛けを用意するためには
「なぜ手掛けるのか」を伝えるストーリーが有効です。
ただし何でもかんでも用意すれば良いというわけではありません。
どのような視点で取り組めば見込客から共感されるのでしょうか。

「胡散臭さ」というのはどうしても滲み出てしまう

ある人が創業を検討をしているとのことで
話を聞かせてくれたことがあります。

「ITの力で地方創生」のようなお話しだったのですが、
地に足がついた事業という感覚に乏しく、
自己承認欲求を満たすために
行政や支援機関に喜ばれそうなプランを計画しているように思われました。
細かい点を聞き出そうとするとはぐらかされてしまい、
「稼ごうと思えば他に稼げる手段はいくらでもある」
などと会話が成り立つことはありませんでした。

また別の事業者とお話しした時のこと。
事業分野に関する「それらしい」話題には言及してくれるものの
どこか実態を感じさせるところに欠けています。
また政治家などの名前を挙げては
「よく知っている」「応援してくれている」
と自慢するように話します。
過去に政治家などの名前を挙げることで
自分の言い分を押し通したことでもあったのでしょうか。

大上段に構えたストーリーが
心の底から湧き出ているものならば良いのですが、
「胡散臭さ」というのはどうしても滲み出てしまうもの。
地に足のついていない事業計画では
ご縁の輪を拡げることはできません。

失敗や弱点も含めてさらけ出す

私が中小企業支援家として活動していく中で
表面上の競合は各種専門家や会計士・税理士・中小企業診断士などです。
顧客に私独自の立ち位置を理解してもらえないことには
競合の中に埋もれてしまい、
価格や距離の近さで勝負するしか無くなってしまいます。
それでは持続可能な事業を営むことができません。

私が用意しているストーリーは
・江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経験
・地方中小企業の経営経験
・その後転身した中小企業支援家としての支援事例
です。

この3つを掛け合わせることで独自の立ち位置を築くことができ、
競合と(ほぼ)比較されることなく、仕事を継続していただけています。

自己開示する際に気を付けているのは
失敗や弱点も含めてさらけ出すことです。
後付けのストーリーを付け加えて格好付けようとしたり、
成功体験ばかりを並べ立てて虚勢を張ることもしません。

重要なのはストーリーを自己開示し見込客から共感されることであって、
小さな承認欲求を満たすことではありません。
そのため私は、家業が窮境に陥った要因も隠さずに伝えますし、
代表取締役在任中に引き起こした不祥事についても語ります。
そもそも家業を倒産させた経緯を講演で話しているくらいです。

自己開示が自己弁護にすり替わってしまうと
その胡散臭さはたちまち感じ取られてしまいます。
自分では意識していなかったとしても
聞き手に小さな違和感を抱かせてしまうものなのです。
そしてその違和感は独自化の大きな妨げになります。

ペラペラとめくれている本

共感されるストーリーを用意しましょう

事業の可能性を感じ取ってもらうために丁寧にストーリーを伝える

私がビジネスプランコンテストへ応募する
創業者を支援する際に重要視しているのは
「なぜこの事業を手掛けようと考えているのか」
という点を可視化することです。

お金を得ることだけ考えれば
仕事はいくらでも世の中に存在しています。
雇われる立場を選ぶのではなく事業を興そうとし、
さらにコンテストへの応募を通して支援を得ようとするのであれば、
「なぜこの事業を手掛けようと考えているのか」
を明確に提示する必要があります。

この動機をしっかりと文章化することができれば、
その後の事業計画の立案などは大きな問題ではありません。
反対に動機を十分に開示できていないと、
その後の審査の過程で共感を得られる可能性は低くなってしまいます。

もちろん数値を含めた事業計画は重要です。
私が支援する場合もきっちりと作り込んで、
自分の言葉で説明できるようにプレゼンの練習も実施します。
しかし、大前提としての動機を用意しないことには
支援の輪を拡げることはできません。
動機も含めて丁寧にストーリーを伝えることが、
事業の可能性を感じ取ってもらうための第一歩になります。

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