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コラム

売りっぱなしになっていないか

多くの事業者が自社の商品・サービスを売ることだけに囚われ、
売った後のフォローに気が回っていないように見受けられます。
新規顧客を増やし続けるのも大事ですが、
同じように重要なのが既存顧客との関係性構築です。

何より嫌われるのが「押し売り」

営業担当者の行動で何より嫌われるのが
顧客の事情を理解しようとせずに
商品・サービスを押しつけようとする行為です。
つまり「押し売り」。

価格とスペックしか記載されていないチラシをポスティングしたり、
相手の都合を考えずに営業電話で商品を勧めたり、
話を聞こうとせずに「買ってください」を連呼したり、
いずれも典型的な押し売りです。

かつて、
家業が売上の減少に見舞われ始めた時期に
少しでも売上を増やそうと店頭でのバーゲンに注力した時がありました。
しかしほとんどのバーゲンは予算に対し大幅に未達。
せっかく陳列した商品を返品する作業の徒労感といったらありませんでした。

今から考えれば、
売上が減った!→バーゲンで売ればいい!
という安直な考えが顧客に受け入れられなかったのがわかります。
メリットを提示しないままに商品を並べたところで
顧客から選ばれることは無いのです。

消費者としての自分に置き換えれば、
「押し売り」を受け入れがたい顧客の思考は想像できるはず。
なのにいざ自分が売る立場に変わると、
売ろう売ろうと気ばかりがせいてしまうのです。

売上を作ろうと考えるのであれば、売ろうとしないこと。
商売の真理の1つです。

次に嫌われるのが「売りっぱなし」

次に消費者に嫌われる行動が
購買してもらった途端に営業担当者の態度が冷たくなることです。

例えば、
それまで密に連絡があったのに急に何も連絡を寄越さなくなる、
初期不良や交換対応の連絡をしたら面倒くさがられてしまう、
といった行動。
つまり「売りっぱなし」です。

先日、ある新規事業を立ち上げた経営者にお願いしたのは
購買してくれた顧客にメルマガを発行することです。
私とお話しするまではまさに「売りっぱなし」状態。
新規事業の立ち上げに追われて、
購買後の満足度を向上させる施策がすっかり抜け落ちていたようです。

メルマガの内容はできるだけセールス色を無くして、
情報提供型にするよう提案しました。
メルマガはゼロから作成する必要はなく、
日頃の情報発信に用いたコンテンツを流用すれば十分。
負担感をできるだけ抑えて、
顧客との関係性を構築するように提案しました。

私が行政が設置した事業相談窓口の責任者を務めていた際も
相談者へのフォローは丁寧に行うように心がけていました。
窓口での相談を終えたら放置するのではなく、
近況を尋ねたり、情報提供を行ったりして、
「相談後もあなたのことを気にしていますよ」
というサインを出し続けるようにしていました。

地域の事業者との関係性構築は重要な命題の一つでしたので、
行政のプロジェクトとはいえ、
サービス業の経営者のような気分で取り組んでいました。

自転車に乗る渉外員

営業の仕事は「売る」ことではなく、「聞く」ことです

顧客は気にしてもらえると喜ぶ

顧客というのは売り手から気にしてもらうことを待ち構えています。

例えば

・名前で呼んでもらえる

・前回の購買内容を覚えてくれている

・接客時の会話内容を覚えてくれている

・誕生日や星座、血液型を覚えてくれている

といったこと。

もちろん接客スタイルに対する個人の好き嫌いはありますが、
突き詰めれば顧客は売り手から特別扱いされたいのであって、
その他大勢の顧客と同じように扱われたくないのです。

私の最近の実体験だと、
息子の運動靴を購入しているスポーツ店の接客が素敵だなと思っています。
多くのお客さんがいても忙しそうに感じさせませんし、
前回購入した靴のことなども覚えてくれています。
また初期不良があった場合の交換手続きも迅速。
いつも気持ちよく買い物させてもらっています。

商売は「モノを売る」という一方通行の行為ではありません。
顧客に選んでもらえるように仕組みを作り、
購買後も満足度を高め続けるような取り組みが必要。
天性のセンスでそうした商売をおこなっている人は
まさに顧客志向の行動をし続けています。

売ることだけを考えていては行動を間違えてしまいます。
自分が消費者であれば、何をされたら不愉快に感じるのか、
あるいはどのように対応してもらえたら気分よく買い物ができるのか。
もし「押し売り」や「売りっぱなし」をしていたのであれば
今すぐに考え方を変えましょう。

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