士業マーケティング 仕事を受けるか受けないかの判断基準
独立・開業したばかりの頃に
それまで経験の無い業務を打診されたらどのように対応すべきでしょうか。
またそのような場面で顧客に使ってはいけない言葉とは。
試験合格後に必要なのは業務遂行能力を身につけること
難関試験に合格したからといって
実務を遂行できるかどうかはまた別の話です。
試験合格後に必要なのは、
業務遂行能力を身につけること。
たまに他の資格試験に手を出したり、
専門書からマニアックな知識を得ようとしている人を見かけますが、
事務所経営という点では時間を無駄にしてしまっています。
またさらにもったいないなと思うのは
「知識を身につけてからでないと案件を受注するのが怖い」
「経験ない業務は同業者に教えてもらわないと引き受けられない」
などと考えている士業です。
気持ちは少しわかりますが、
独立・開業したのであればこんなことを言ってはいけません。
仕事を発注しようとしてくれている見込客に対しては
堂々と「私にお任せください」と伝えるべきです。
もしわからないことや、不安なことがあれば、
受注してから調べれば良いのです。
一方で気を付けなければいけないのは、
何も考えずにどんな仕事でも受けていると
その他大勢の競合の中に埋もれてしまうということ。
独立・開業したからには
自分の強みを生かせる、見込客に選んでもらいやすい分野を見極め、
特定の分野での経験を積極的に積んでいきましょう。
仕事を受けるか受けないかを判断するための「物差し」を持つ
多くの競合の中に埋もれずに、
独自の立ち位置を築くことができる分野を見定めたのであれば、
次に必要なのは仕事を選ぶ「物差し」を持つこと。
経験があろうがなかろうが受けなくてはいけない仕事と、
どんなに好条件であったとしても
勇気を持って断らなければいけない仕事を、
見極めて判断するための基準を自分の中で持ちましょう。
私の場合は
社会保険労務士として社会保険の手続き代行業務などは受けていません。
手続き代行業務が悪いというのではまったくなくて、
私が手掛けたとしても
見込客から選んでもらえないことがわかっているからです。
先日、ある公的機関から講演の依頼がありました。
内容は労働法の基礎的な内容を2時間で話して欲しいというもの。
この仕事は丁重にお断りさせてもらいました。
なぜなら自分の「物差し」に合致しないから。
社会保険の手続き代行業務を行っていないように、
他にいくらでも同業者が対応できそうな内容で、
さらに「私だから話せるコンテンツ」を持ち合わせていないからです。
一方で別の講演の仕事は引き受けさせてもらいました。
公的機関の創業支援担当者向けの講習です。
私のこれまでの中小企業支援の事例や
事業者と向き合うための考え方を自由にお話しできるそう。
もちろんこの仕事は私の「物差し」に合致しています。
私だけがお話しできるコンテンツを提供できて、
かつ、これまでで最長の時間を担当できるからです。
仕事を受けるか受けないかの判断基準を持っていないと
目先の仕事に振り回されることになりかねません。
自分で自分の仕事をコントロールするためには
「物差し」を持ち、仕事を選んでいきましょう。
独立・開業後に口にしてはいけない言葉
「物差し」を自分の中でしっかりと持った上で、
顧客・見込客に対し、以下のような言葉を使うのは避けましょう。
業務を受けるにしても断るにしても使わない方がよい言葉です。
独立したばかりなので、、、
独立したばかりであってもプロはプロです。
仕事の失敗に対して予防線を張るような言葉を選ぶべきではありません。
逆に「独立したばかりなので丁寧に仕事をさせてもらいます」などと
前向きに捉えてもらえるような使い方をするのであれば大賛成です。
未経験の業務なので、、、
どんな業務も最初の1件目は未経験のはず。
誰しも1件目を乗り越えて経験を積み重ねていきます。
仕事であれば当然、失敗をすることもあるでしょう。
でも未経験の業務であっても失敗する確率を、
極限まで減らす努力はできるはずです。
未経験の業務だからと逃げを打たずに、
「最初の一歩を踏み出すことができる」と考えましょう。
わからないので、、、
士業の実務にわからないことはつきものです。
行政に尋ねたり、同業者から知見を得たりして、
一つ一つの業務を行っていくのが実態でしょう。
また顧客は士業であるからには、
まさかわからないことや苦手分野があるなどとは思っていません。
業務を受けるのであれば禁句です。
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