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コラム

補助金に我を失うような経営者になってはいけない

中小企業支援に携わっていると
補助金などに目がくらんでしまっている事業者を見かけることがあります。
使える制度であれば使えばいいのですが、
補助金を受給するのが目的になってしまっている事業者も存在します。

補助金などの支援制度はあくまでおまけ

補助金を受給できただけで商売の成功が確約されるわけではありません。
ほとんどの補助金が精算後の支給、
つまり資金の流出が先に発生します。
何も考えずに補助金に頼ってしまうと、
資金繰りに大きな負担が発生するという本末転倒の状況に陥りかねません。

商売を行ううえで、
すべての大前提は商品・サービスを用意することです。
顧客の期待を上回る商品・サービスを生み出せないのに、
売り方を工夫したり、支援制度を駆使しても
持続可能な経営を実現することはできません。

ざっくばらんに言えば、
どうにもならない商品(らしきもの)は
補助金があろうがなかろうが売れることはないのです。

一部の事業者はこの現実に気付いているのか気付いていないのか、
補助金を受給できればすべてが解決できると思い込んでいます。

補助金などの支援制度はあくまでおまけ。
確かな商品・サービスを生み出して、
顧客から選ばれるための仕組みを作ることが優先です。

創業を目指していたある人との出来事をご紹介しましょう。
あるオーナーは支援機関からの補助金を受給するために、
開店を数ヶ月先延ばししようと検討していました。
補助金を受給するには今すぐ開店できない事情があったのです。
その様子を見た私は
「○○万円の補助金をもらうくらいであれば、
さっさと開店して自分で稼げばいいじゃないですか」
とご指摘しました。

はっと我に返ったオーナーは
「そうですよね、すぐに開店して売上を作ります」
と決断してくれました。

補助金というと「タダでもらえるお金」と誤解している人が多いようです。
実際は申請したり、報告をしたりとそれなりの手間が発生し、
さらに補助額も1/2や2/3など満額が支給されるわけではありません。
使える制度なら使えばいいのですが、
補助金に振り回されて我を見失わないようにしましょう。

SNSは魔法の杖ではない

商品を用意できたとしても
顧客に選ばれなければ売上は計上できません。
ここでも多くの事業者が勘違いするのが
「ECサイトさえ開設すれば勝手に売れる」
「SNSで発信すれば売れるようになる」
といったことです。

ネット販売やSNSは強力な道具ではあるものの、
売上を勝手に作ってくれる魔法の杖ではありません。

補助金を使ってECサイトを用意した事業者に限って、
その後のドブ板営業を怠っているので
いつまでも顧客と関係性を深めることができず、
「ネットでは売上は作れない」
などと人のせいにしてしまいがちです。

ネット販売やSNSでの情報発信を始めていないならば
今すぐにでも始めるべきだと思います。
しかし顧客との間合いを詰めて、
選ばれる仕組みを作ることにも同時に取り組む必要があります。

ある美容系の事業を営むオーナーは
Instagramでの発信を始めてから売上が激増しているといいます。
そのオーナーが何より大切にしているのは
キラキラとした発信をすることだけではなく、
確かな技術で施術することと、顧客とのコミュニケーション。

ベースとなるサービスの質が担保されているからこそ、
情報発信による効果が生まれるのです。

照明用のストロボ

補助金は上手に活用しましょう

補助金に惑わされて経営の本質を見失うな

こんな症状が現れたら要注意です。

・「何か使える補助金はないか?」と行政や支援機関に質問する

・「補助金をもらうためにはどんな事業をすればよいか?」と考え始める

・次から次に補助金を受給し続けないと不安になる

このような思考に陥った事業者は
補助金に振り回されてしまっていて、
何のために支援制度を活用すべきなのかを見失っています。

繰り返しますが、
補助金などの支援制度を使うことに反対しているのではありません。
補助金の受給額に経営者の目が眩んでしまい、
経営の本質を見失うことに警鐘を鳴らしているのです。

ある経営者とお話ししたときのこと。
就業規則を改正すると厚生労働省系の補助金を受給できると聞きつけたようで
私にアドバイスを求めてきました。
「就業規則を改定すれば、この補助金をもらえるんですよね」
「ある人から聞いたんですけど間違いないですよね」
という感じ。

私から申し上げたのは
「就業規則に手を入れるべきタイミングなのかよく検討してください」
「補助金をもらえたとしても、長期的な支出は増えることになりますよ」
という2点です。

その後どうなったか連絡は途絶えてしまいましたが、
目先の受給額に惑わされてしまった経営者の目が覚めて
本業に集中していることを祈っています。

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