命名は企業価値に響く
事業活動を行う過程で、
商品やサービスに名称をつけることがあります。
ひらめきや思いつきで素敵な命名ができることもありますし、
さんざん悩んで自信なく付けた名称が、
後からしっくり来ることもあるので不思議です。
企業価値にも大きな影響を与える命名について書いてみます。
私が命名してきたもの
高校ボート部で学生コーチとして関わっていた時のこと。
新しいボートを進水させるにあたっては命名が必要で、
何艇か、仲間と共に名前を付けさせてもらったことがあります。
部歌から単語を選んだこともあれば、
アポロ計画の月着陸船から名前をもらったことも。
命名に関与できた艇には愛着が湧くもので、
今でも進水式の様子などが目に浮かびます。
OBOGの寄付で買ってもらった新しいボートに
名前を付ける機会を持てたというのは今から考えれば恐れ多いことでした。
他に命名したものと言えば、息子の名前。
両方の祖母が(今でも)存命で、
彼女たちも納得するような名前にしなくてはならず、
あまりこだわりのない私としてはプレッシャーでした。
そこで考えたのが、
私が生まれた時の名前の候補を流用すること。
画数などの問題はないはずなので、
祖母たちも文句を言えないはずだと考えました。
他の適当な候補とともに関係者の意見を聞いてみると、
案の定、私に付けられていたかもしれない名前が好評。
作戦通りに命名することができました。
話が逸れましたが、
顧問先のキャッチコピーを考案したこともあります。
家業と同じ、家庭用品を取り扱う会社でしたので、
社長とお話しをしながら興に乗ってご提案してしまいました。
気に入っていただけたようで、
商標登録もされ、今でも利用してもらっています。
新規事業に取り組む際に気を付けるべきこと
地方中小企業が新規事業に取り組む際に
商品やサービスの名称が商標登録可能かどうか調べるのは重要です。
J-PlatPatというウェブサイトで簡易に調べることができるので、
私も気になった際にはすぐに調べるようにしています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
家業の代表取締役を務めていた際、
子会社で新事業を始めることになり担当者がブランド名を考えてくれました。
かつて西武百貨店が利用していた「おいしい生活」から着想を得た、
「おいしいうつわ」というもの。
仕入先や作家さんに新事業の説明をしに廻る際に、
どんな企画であるのかなど、くどくどと説明するよりも
「おいしいうつわ」という名称を伝えるのが
何よりもわかりやすい説明だったように感じています。
私にとって命名の重要性を教えてくれた出来事でした。
今も自分で新事業を始めようと構想しているところですが、
やはりサービス名というのは気になるところです。
名称などを考える際には
いくつも候補を思い浮かべることもあれば、
最初から「これ」というのが閃くこともあります。
今回は後者で、
今のところある名称を唯一の候補に検討しています。
この先様々なことを決めていく過程で、
違和感が生まれなければそのまま使うことになりそうです。
命名は企業価値に響く
中小企業支援をしていて、
さまざまな屋号を目にする機会があります。
基本的にどんな名前でも良いのですが、
これだけは避けなければいけないのは、
読むのが困難な名称をつけること。
美容系の屋号で特に多いのが、
フランス語を利用しているもの。
英語と違って馴染みがないので、
ぱっと見て読み方が思い浮かばないのです。
どんなにおしゃれな名称であったとしても
読んでもらえなければ大きな損失です。
命名というのは
ある程度のセンスが求められると同時に、
想定される顧客のことを知り尽くしていなければ
適切なものを選ぶことができません。
例えば、管理職のおじさんばかりで
女性が対象の商品名を考えるのには無理があります。
そうした場合に便利なのが、
クラウドソーシングを使ってプロの意見を求めることです。
最近では私もポッドキャストの番組名を考えるのに使いました。
提案してもらった名称をそのまま選ぶこともできますし、
新たな名称を生み出すためのベースとして使うこともできます。
ゼロからすべてを考え出すことに苦手意識を持つのであれば、
ぜひ試してもらいたい方法です。
一度決めた名称というのは
長いと数百年間、使うこともありえます。
ひらめきや思いつきを大事にしつつも、
商標や読みやすさにも思いを馳せて決めたいものです。
関連記事