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コラム

地域おこし協力隊の起業について考える

地域おこし協力隊に関して、
このようなニュースが流れていました。

「強制立ち退き」迫られた?カフェが切実訴え
「地域おこし協力隊」として移住もトラブル…土佐市「問題がなかったか調査する」
(J-CASTニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/595b5969dcabb1830a67ab3d0d6741f37d15d607

地域おこし協力隊は「搾取されやすい」存在

私が地域おこし協力隊と関わった範囲では
非常に「搾取されやすい存在」だと感じています。

行政から搾取される

まずは行政から搾取されやすい存在です。
任期後の定住や創業を期待しているというゴールはあるにせよ、
実態は地域での便利な労働力として認識されている模様。
必ずしもその後の創業に結びつかないような行動を求められがちで
理想と現実のギャップに戸惑っている人を多く見かけました。

地域おこし協力隊の本質について理解のある、
胆力のある行政担当者がいれば良いのですが、
公務員に人事異動は付きもの。
それまでは伸び伸びと活動させてもらっていたのに、
担当者が代わった途端に下請け業者のような扱いをされることも。

ある地域おこし協力隊の人は
着任数ヶ月で行政担当者の資質に疑問を感じ、
鳴り物入りで着任したにも関わらず退職の道を選びました。
募集要項にはそれらしい記載がされていたとしても、
実際は行政の人手不足感を補うための有期雇用のような立場。
上司である行政担当者と波長が合わなければ、
とうてい任期を務めきれるものではありません。

支援者から搾取される

次に支援する側からも搾取されやすい存在でもあります。

恐ろしいことに、
行政に対してコンサルを行いながら、
一方で地域おこし協力隊本人からも支援の対価を得ている業者がいます。
文字通りの利益相反で、
制度を食い物にしているのは明らかです。

どこの世界にも弱者を食い物にしようとする業者は存在します。
自分の真の支援者が誰なのかを見抜かないことには、
川上からも川下からも突かれることになってしまいます。

地域から搾取される

最後に地域おこし協力隊は
地域から搾取されやすい存在です。

この場合、必ずしも地域おこし協力隊ばかりではなく、
外部からやって来た人材にも共通すること。
行政のプロジェクトで地域外からやってきた人材は
あくまで「よそ者」です。
どれだけ活動したところでその本質が変わることはありません。

自由に使うことのできる人材という風に認識されてしまうと
「あれをやってくれ、これもやってくれ」
と便利な労働力と見做されてしまいます。
こうした存在に陥らないためには、
理不尽な要求を毅然と断る勇気が必要です。

防波堤となってくれる地域の有力者や行政担当者がいればいいのですが、
もしいないのであれば自分で意思表示しましょう。

行政に頼らず起業しよう

地域おこし協力隊の任期を活用し、
その後の起業を目指すのであれば、
行政に頼らずに自らリスクを取って起業する覚悟が必要。

「町の補助金があるから、、、」
「この施設を使わせてもらえるから、、、」
などと行政からの支援を前提にした創業計画は脆弱。

自己資金を元に銀行融資を得るだとか、
任期中に徹底的に民間の人的ネットワークを構築しておくだとか、
究極の自己実現である起業を行政頼みにせずに、
自分と民間の力で立ち上げることを目指すべき。

行政はあくまで行政の施策のために地域おこし協力隊を使いたがります。
隊員のその後の人生の面倒を見る気はまったくありません。
自分の人生は自分で決着をつけるという心構えがあれば、
任期後の起業が成功する確率は格段に高まるでしょう。

山林を歩く農業の男女

地域おこし協力隊に応募するのであれば、その後の創業を見据えて行動しましょう

ビジネスプランコンテストをテコにする

私が地域おこし協力隊の起業を支援する場合、
ビジネスプランコンテストへの応募を利用することがあります。

この時、重視しているのは審査員の顔ぶれ。
行政主催のビジネスプランコンテストであったとしても
民間の審査員が多数を占めているのであれば、
純粋に事業性を評価してもらえる確率は高まります。

地域おこし協力隊での活動実績と、
そもそもの自身の夢を掛け合わせて、
ビジネスプランコンテストの事業計画書に表現するのです。
もし入賞などに結びつけることができれば、
創業時の課題の一つである資金調達などのハードルがぐっと下がります。

幸い、地域おこし協力隊であるからには
事業を語る際の「ストーリー」は豊富なはず。
私が支援した人も
ビジネスプランコンテストに入賞することで
新聞やテレビなどでの報道に結びつき、
その後の商売の立ち上げを迅速に行うことができた事例があります。

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