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コラム

士業マーケティング 表層的対価思考に囚われるな

士業事務所の経営を左右する要素の一つに値付けがあります。
言い換えれば、自分の知識と経験(と作業の手間)を
いくらで顧客に提示するかということ。
そもそもの考え方を間違えてしまうと、
自分を必要以上に安売りしてしまい、価値を下げることになります。

顧問契約の本質

士業事務所で一般的な顧客との顧問契約の本質は
「顧客が士業と繋がることのできる権利」です。
定期的に訪問することに対する対価ではなく、
個別相談を○回受けることができるという権利でもありません。
顧客が必要とする時に(契約内容によりますが)、
士業に連絡することができる権利を買ってもらっているのです。

この本質をお互いに理解できていないと
「今月は何も相談事項が無かったのに顧問料を支払わねばならない」
「退職の手続きが一件だけだったのに顧問料が発生している」
といった顧客の不満に繋がりかねません。

顧問契約というのは保険と似たような性格があって、
普段は何も無いに越したことはないけれど、
いざ何か不測の事態が発生した際には、
契約内容に準じて優先的に対処しますよという性格のもの。

特に開業間もない士業の経営者は
契約書を締結するだけで安心せずに、
顧問契約の本質を顧客に理解してもらいましょう。

表層的対価思考に囚われるな

(Smart Times) 表層的対価思考の罠 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70486400V20C23A4XY0000/

米国の面白い出典不明の技術者ジョークがある。「あらゆる機械を修理するのに卓越した才能を持った技術者がいた。彼は30年以上にわたり会社に忠誠を尽くし退職した。数年後、数億円の機械の一つが故障し、退職した彼を呼び出した」

「修理を終えたその日に、彼は機械の特定の部品にチョークで『x』を記し、『ここが問題だ』と述べた。その部品が取り換えられ、機械は完璧に作動しました。後日、5万ドルの請求書が届き、思いの外、高額なので会社は請求書の明細書を要求した。『1つのチョークの印に1ドル、どこに置くかを知ることに4万9999ドル』。全額支払われ、彼は再び幸せな引退生活に戻った」というものだ。

このジョークは士業にも当てはまるもの。

顧問先と顧問契約をしてもらっている士業は
従業員と違って1日8時間、週40時間を顧問先に提供しているわけではありません。
社内で完結できない業務をプロフェッショナルとして遂行しているので、
紙1枚の作成で終わる業務もあれば、
一言のアドバイスで解決する業務もあるのです。

ここで士業自らが安売り思考に囚われてしまっていると、
つまり「大して稼働していないのだから(高額の)報酬を請求するのは申し訳ない」
などと考えてしまうと、表層的対価思考の罠に陥っていることになります。

士業の報酬は
作業量や稼働時間に囚われるのではなく、
提供したサービスの本質に連動するべき。
つまり、独自の立ち位置を築いている士業と、
いつでも繋がることのできる安心感に対して
価格を設定しなくてはいけないのです。

私は「手続き代行等を手掛けない社会保険労務士」
として看板を掲げています。
手続き業務を前面に打ち出したところで、
わざわざ多くの競合の中から選ばれる理由がないからです。

ではどこに価値を見出しているのかというと
・地方中小企業の経営経験
・江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経験
・中小企業支援家として売上アップ事例を生み出した経験
に重きを置いて、顧問契約を締結してもらっています。

社会保険労務士の顧問料は内容によりますが、
だいたい1.5万円〜5万円くらいでしょうか。
(業務の専門性からすると格安だと思います)
一方で競合がいない私の顧問料は、、、。

セミナーなどを受け続けて知識をアップデートするのは重要なことです。
しかし、知識を切り売りしても価値を高め続けることはできません。
自分が提供できる絶対的な価値がどこにあるのかを突き詰めて思考することで、
表層的対価思考に囚われずに堂々と価格設定をすることが可能になります。

印鑑、朱肉、捺印マット、ボールペン

顧問契約の本質を理解しましょう

価値は伝えないと伝わらない

絶対的な価値を堂々と値付けしたとしても、
その価値を可視化しないと見込客に理解されることはありません。
「他の士業よりどうして高いの?」
「○○先生は○万円だと聞いた」
といったような反応が返ってきてしまうことでしょう。

価値を可視化するのに必要なのは情報発信。
自分のことを知ってもらうために、
恥ずかしいだとか、同業者に見られるのがイヤだなどと言わずに
価値を伝える行動が必要なのです。

私の場合は過去のメディア掲載実績、
特に日経トップリーダーで紹介された事業譲渡が実現するまでの過程と、
西日本新聞と朝日新聞のウェブメディアに寄稿した、
中小企業の売上アップ事例が絶大な役割を果たしてくれています。
加えてこのブログともうすぐ始めるポッドキャストを運用。
自分の価値を伝えるために一定の手間を掛け続けています。

士業の価値は伝えないと伝わりません。
情報発信をまだ始めていないのであれば、
今すぐにでも取りかかりましょう。

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