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コラム

商標を真っ先に検索する理由

店頭で新しい商品名などを目にすると
真っ先に商標登録されているか検索する癖があります。
時には地方中小企業の経営者との個別相談中に
会話に出てきた名称を検索してしまうことも。
「守るべきもの」が適切に守られているかが気になってしまうのです。

なぜ商標登録が必要なのか

商標についての基礎的な知識は下記ウェブサイトなどで調べてください。

知っておかなきゃ、商標のこと!商標をわかりやすく解説!(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202208/2.html#firsrSection

ざっくり言うと、
自社の大事な商品名やサービス名を独占的に使用するため、
そして他人に真似されないためにも、
商標を登録しておく必要があります。

私が商標を気にするようになったのは
家業の代表取締役を務めていた際、
新商品の名称に他社の商標を無断で使ってしまったのがきっかけです。
社内で思いついた商品名に関し、
商標登録の有無を確認することなく使用してしまったのです。

その時は商標登録していた競合他社からの指摘があり、
当該商品の販売によって得られた収益の一部をお渡しし、
商品を全数回収した後に名称を変更することで対応しました。

当社が全面的に悪かったので
先方の希望通りの手段で解決することを優先しました。
「同じ業界内で金銭のやり取りをするなんて」
と言ってくれた他社経営者もいましたが、
商標に関して意識が低かった私の責任ですので
迅速に解決することを心掛けました。

実際に商標について考えさせられる出来事があると、
新しい商品名を商標登録する余地があるのかどうか、
過去に登録した商標を適切に管理しているか、
他社がどのような商標を保有しているか
といったことが気になるようになります。

家業では事件をきっかけに
長年販売していた商品名の商標登録を目指すことになり、
いくつかの名称を守ることができました。

個人事業主にも商標登録は必要

地方中小企業の経営者や
創業したばかりの個人事業主とお話ししていると
商標についてまったく興味を示さない人がいます。
興味を持ったとしても、
登録に掛かる費用にばかり目がいってしまい、
ついつい後回しにしてしまう人もいます。

私は個別相談のなかで
素敵な名称を耳にするとすぐに商標を登録するように勧めます。
当たり前のことなのですが、
他者に先に登録されてしまったら取り返しのつかないことになるからです。

ある創業者は商品名を考案してビジネスプランコンテストなどで発表したところ、
気がついた時には大企業に先に登録されてしまっていました。
「まさかあんな大企業が同じ商品名を登録してしまうとは」
ととても驚いていましたが、先に登録しなかったのが悪いのです。

またある人は屋号を真似されてしまったどころか、
名称とロゴを登録されてしまっていました。
素敵な屋号でしたので再三、商標登録をするように促していたのですが、
ふと検索したら他県の同業者に登録されてしまっていることに気付いたのです。
あのときの経営者の悔しそうな顔は忘れられません。

どちらも後から気付いた時には手遅れで、
ご自分の考えた重要な商品名や屋号を
事実上、他者に奪われてしまうことになりました。
弁理士にも相談しましたが商標は先願主義であり、
いち早く商標を出願した者にだけ商標権が与えられます。
後悔先に立たず、とはまさにこのことです。

特許庁の看板

大事な商標はさっさと登録しましょう

登録前の名称を他人に話すな

先ほどの事例のように
ビジネスプランコンテストで発表したことをきっかけに
新聞やテレビなどに複数取りあげられてしまい、
思いもしていなかった他者に商標を登録されてしまうこともあります。

私が個別経営相談の最中に、
商標の話題になった際に伝えているのは
「登録前の名称は安易に公表してはいけない」ということです。
守秘義務を持つ支援者等であったとしてもどこから漏れるかわかりません。
それは私に対しても言えること。
後から後悔しないためにも、
構想段階の名称を安易に他人に話さないように勧めています。

このように話すとほとんどの事業者は
「そんなに慎重にならなくても」
といった反応を示します。
しかし、私のように実際に商標で失敗をしたり、
後から悔しい思いをしている事業者を実際に見聞きしていると
大事な商標については意識を高めて守ってもらいたいと思うのです。

私も個人で商標登録しているものがあります。
さらに、新しい事業のアイデアを検討する段階では
もちろん、商標についてもリサーチしています。
まずは守りを固めてから挑戦を始めようと計画しています。

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