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コラム

弱さをさらけ出せば応援してもらえる

地方中小企業の経営者が
利害関係者から応援してもらうためには
どのように振る舞えば良いのでしょうか。

背伸びをする経営者

地方中小企業の経営者とお話ししていると
数字を大げさに伝えようとしてきたり、
人脈を妙にアピールしてくる人がいます。

率直に言ってあまり良い印象を抱くことはなくて、
自分をよく見せようとするあまり、
逆に、評価を下げてしまうことにもなりかねません。

例えばこんな具合です。

「○○省の誰々とは知り合いだ」

「このあいだ大臣から電話が掛かってきた」

「今度○億円のプロジェクトが決まった」

というのですが、
一つ一つの言葉にリアルな感じがなく、
申し訳ないのですが嘘くさいのです。
本当のこともあるのでしょうが、
本当のことらしく聞こえないというか。

また、ある経営者に売上の見通しを尋ねると、
最初は○百万円と聞いていたのに、
質問を重ねる度に額が増えていきます。
最初に聞いた数字は何だったのだろうと思うのですが、
ご本人は精一杯の背伸びをして、
何か媚びを売ろうとしているような感じです。
あくまで見通しを把握しているか確認したいだけなのに。

こうした経営者に待ち構えているのは
本当に困っている時に応援されなくなってしまう未来です。

応援されるために必要なのは「弱さ」や「余白」

人が誰かを応援しようとする時に
どのように対象を探すかというと、
応援する余地がある人を選ぶことになります。

「私は誰からの応援も求めていません」
と公言する人は誰からも応援されることはないでしょう。
また
「私はまったく困っていないので支援してもらいたくはありません」
という人も同じように応援されることはありません。

当たり前のことですが、
応援されるためには「弱さ」や「余白」が必要なのです。
逆に言えば、
弱さや余白を見せれば応援してもらいやすくなります。
無理に背伸びをしてみせるのは逆効果で、
反対に、
「困っている」「教えてほしい」「支援が必要だ」
と言えば応援してもらいやすくなります。

何が言いたいかというと、
地方中小企業の経営者が応援してくれる人を増やしたいのであれば、
事業を完璧に経営している自分を装う必要はまったくなく、
逆に現実の前に困っていたり、至らない状況を率直に伝えることが
応援団を増やすことに繋がるのです。

例えば銀行。
事業を存続させるために銀行の支援が必要なのであれば、
実態を過大に伝えるのではなく、
ビジョンの実現に向かいつつも、
現在どのような困難に直面しているのかを伝えれば良いのです。

ある経営者は、
銀行に窮境に陥っていることを知られたくないと考え、
審査担当者に資金繰りに困っていないと伝えたところ、
本当は喉から手が出るほど欲しかった融資を受けられませんでした。

応援されるために必要なのは弱さと余白です。
勇気を持ってこの二つを自分の言葉で伝えることが必要です。

必勝と書いてある鉢巻き

応援される経営者になりましょう

業績が悪化し続けても離反しなかった取引先

私が家業の代表取締役を務めていた際、
株式の一部を取引先に保有してもらっていました。
景気の良かった時代に「一緒に成長しましょう」と
懇意にしている取引先に保有してもらっていたのです。

成長期には関係性を深める有効な手段でしたが、
その後、事業が窮境に陥ると困ったことが起こります。
株主である取引先に経営状況を精緻に把握されてしまうのです。

私が社長に就任して真っ先に取り組んだことの一つが
取引先との関係性強化でした。
経営状況が悪化していることを知った取引先が離れれば、
事業はたちまち行き詰まってしまいます。
商品を安定して仕入れるためには取引先に信頼してもらう必要があったのです。

私は祖父・父があまりしていなかった仕入先各社への訪問を実施し
「業績は悪いですが安心して商品を納めてください、しっかり売ります」
と(説明にならない)説明をして廻りました。

これだけが要因ではないのでしょうが、
私が在任中に取引先が離れることは一回もありませんでした。
投資ファンドに事業譲渡するまで、
すべての取引先から商品を調達することができ、
事業を安定して運営し続けることができたのです。

応援してもらいたいのであれば、
率直に状況を伝えてお願いすればいいのです。
背伸びしようとしたり、自分を大きく見せようとしても
その安直な姿勢はあっという間に見抜かれてしまうもの。
至らない点があるからこそ、
人は誰かを応援したくなります。

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