地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

「まっとうな経営」が持続可能性を高める

地方中小企業の経営者とお話ししていると
その場しのぎの噓をついてしまったり、
目先のトラブル回避に追われて右往左往したりと
残念な状況に陥ってしまっている人を見かけます。

まっとうな経営が何よりのリスク回避になる

私が「まっとうな経営」をお勧めするのは
きれい事でもなんでもなく、
事業の持続可能性を高めるからというシンプルな理由です。

まっとうな経営とは例えば、

ハラスメント事案が起きてしまったら
うやむやにせずに被害者を救済して
加害者を就業規則に基づいて処分する

資金繰りの悪化が見込まれたら
速やかに金融機関に状況を正確に伝え、
支援の可否を問い合わせる

コンプライアンス違反が発生したら
速やかに公表して謝罪と対策を実施する

といったもの。

こうして文字にすると極めて当たり前の対応ばかり。
つまり、経営上発生した事案に対して、
隠したりはぐらかしたりせずに、
真っ正面から取り組むことが私の言うまっとうな経営です。

ハラスメント事案に対し、
毅然とした対応を取れば、
同様の事案を今後抑止することができるでしょうし、
何より従業員は安心して業務に就けるでしょう。

日頃から金融機関と関係性を構築しておき、
正確な情報を提供しておけば、
いざという時に支援してもらえる確率は高まるでしょう。

不祥事を発生させてしまったとしても、
逃げずに立ち向かえば、
逆に企業の信用を増すことに繋がるでしょう。

まっとうな経営は
事業の持続可能性を高めることに繋がるのです。

経営の危機には逃げずに立ち向かう

私が家業の代表取締役を務めていた際には、

  1. 仕入先との長年の取引慣行が下請法の理念に反するとのことで公正取引委員会から勧告をもらった
  2. 商品から食品衛生法の基準値を超える鉛が検出され、新聞に社告を掲載して全数回収を実施

といった事案がありました。

いずれも真っ正面から取り組んだ結果、
経営的にはほぼダメージは発生せず、
その後の事業譲渡にも影響はありませんでした。

私が対応の際に心掛けていたのは

・迅速に取りかかる

・譲れない一線は絶対に譲らない

・隠さず公表する

の3点。

特に重視していたのは
隠さずに公表してさっさと謝ってしまうこと。
言い訳にならない言い訳をしようとしたり、
事実をいつまでも認めようとしなかったり、
逆に傷口を拡げるようなことはせずに
自分からさらけ出してしまうことを心掛けていました。

公正取引委員会から勧告をもらった件は、
何年も前から調査が入っていましたが、
社内外には隠さず、その時々の状況を伝えていました。
特に取引金融機関には、
どういった趣旨でどういった取引に疑念を持たれているかを早くから伝え、
結果、勧告という重い処分が出ましたが信頼を損なうことはありませんでした。

また食品衛生法の基準値を超える鉛を検出してしまった事案も、
隠そうと思えば隠せたのかもしれませんが
迅速に全数回収の手配をすることで
拍子抜けするほど世間の反応はありませんでした。

経営に弱点があると、
つけ込むようにトラブルや不祥事が発生するものです。
その時どのように対応するかで
深刻な経営上のダメージを残すか残さないかが決まります。
逆に毅然と対応することで
それまでの窮状から転換する貴重な機会にすることも可能。

ピンチをチャンスに変えられるようにするには
迷わずまっとうな経営を心掛けましょう。

まっすぐな道

道の真ん中を進みましょう

イノベーションの創出も必要

まっとうな経営だけ心掛けていれば良いのかというと
それだけでは事業を存続させることは困難です。
もう一つ、イノベーションを創出し続けることで、
経営の両輪となして事業の持続可能性を高めます。

私のかつての家業は守りに堅い会社で
まっとうな経営は十分に果たせていたと思います。
しかし、イノベーションを創出する気概をいつしか失ってしまっていて、
将来への種まきを長い間、怠っていました。
その結果は、旧い事業から新しい事業へと成長のタスキを繫ぐことができず、
業績を悪化させ続けてしまい、
投資ファンドに事業譲渡せざるを得なくなることに繋がります。

私が顧問先の経営者とお話しする際には
現状がどうあれ、
「将来どうしたいですか?どうなっていたいですか?」
と問いかけるようにしています。

今の商売が永遠に続くものではないことを
経営者に気付いてもらいたいという趣旨での質問です。

ついつい目先の事案に追われてしまう地方中小企業の経営者が
ふと10年後、20年後のことに思いを馳せ、
「このままのことをやり続けても現状維持すら覚束ないな」
と気付いて欲しいのです。

まっとうな経営で守りを固め、
イノベーションの創出で成長し続ける。
地方中小企業の経営の両輪として意識したいことです。

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