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コラム

従業員に働くインセンティブを与える

報奨金やインセンティブをうまく使い、
組織のモチベーションを高めましょう。

結果に対して報奨金で報いる

ある法人の経営者が、
サービスの利用者を思うように増やせないと悩んでいました。
従業員に営業活動へ出向くように指示をしても、
慣れない外回りにどうやら気が進んでいないようだとのこと。

私が提案したのは報奨金制度を作ることです。

新規の利用者を紹介する度に、
賞与に一定の額を上乗せするというシンプルなもの。
管理職はもちろん、パートタイム契約の従業員も対象です。
さらには定期的に訪れている社外の関係者にも適用します。

導入後、さっそく効果は感じられていて、
特にパートタイム契約の従業員が
「私たちも戦力と考えてくれているのだ」
と前向きに動き始めているといいます。

報奨金制度を導入するまでの経営者の思考は
「営業しろといっていたのに従業員がまったく動いていなかった」

「先行投資して設備やスタッフを充実させたのに、
利用者を増やす意識が管理職に欠けている」

「現場の仕事ばかりをして外回りから逃げている」

といったもの。

経営者自身が営業活動を他人事のように捉えてしまい、
従業員に責任を押しつけてしまっているようでした。

人は誰しもメリットを感じられなければ
具体的な行動に結びつけることはありません。
忠誠心やボランティア精神だけでは
持続可能な行動を生み出すことはきわめて困難です。
ましてや経営者と同じ思考を持つ従業員は希です。

昨日と同じことをしていれば、
明日も同じ仕事があるのが従業員。
それに対して経営者は、
明日が必ずしも確約されていないことを知っています。

従業員が慣れない営業活動を積極的に行うには、
経営者が理由を用意してやる必要があるのです。
この法人の場合は報奨金制度が
営業活動に対する、両者の思考のギャップを埋めてくれました。

言葉と文字も使える

インセンティブはお金だけで与えられるとは限りません。
感謝の言葉や手書きのメッセージでも心を動かすことができます。

報奨金制度も長く運用していると「当たり前」になってしまうもの。
当初のありがたさは徐々に薄れていくでしょうし、
いつしか生活給の一部になってしまうことも考えられます。
一方で経営者からの声掛けや手紙は手触り感があるだけに陳腐化しづらいでしょう。

注意しなくてはいけないのが
経営者の独りよがりな行動は逆効果を生み出しかねません。
行きたくも無いのに付き合わされる宴会、
プライベートのことをあれこれ尋ねる、
など。

ある経営者が私を会社の宴会に呼んでくれたことがあります。
渋々お付き合いしたところ、
昔ながらの「宴会」でご満悦なのは経営者のみ。
従業員のうんざりした顔が今でも忘れられません。
よかれと思って開催した宴会なのでしょうが、
従業員の働くインセンティブにはなっていませんでした。

私が家業の代表取締役を務めていた際は
移動時間を利用して従業員に手紙を書いていました。
手紙といっても絵葉書に簡単なメッセージを添えるだけ。
それでも感謝の気持ちを伝えないよりはマシだろうと続けていました。
どれだけ効果があったかはわかりませんが、
今でも保管してくれている人がいると聞くので
喜んでくれる従業員もいたのだと信じています。

金一封の「のし袋」

従業員が前向きに行動できるようにインセンティブを用意しましょう

従業員の「取り分」を考える

雇用してやっているから
管理職にしてやったから
と経営者が考えていても、
従業員にとってはそれほど心に響くことではありません。

事業を成長させ続けるには、
従業員にもわかりやすい「取り分」を
明示してやる必要があります。
経営者に応えれば応えるほど報われる制度設計が必要なのです。

経営者は事業を通して社会に足跡を残そうとしますが、
その過程で従業員にも「取り分」を設定することが必要。
経営者についていくべき理由を用意することで、
事業の社会的目的を実現することに近づきます。

先日はある企業の創業者が、
従業員に株式を分け与えたことが報道されていました。
事業への参加チケットとして、
株式を上手に使っているなと勉強になりました。

「日高屋」会長、従業員1000人に株贈与 – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69997410X00C23A4HE6A00/

賃金を払っているからといって、
従業員に大きな期待をしても、
賃金以上の貢献を求めることはできません。
従業員が積極的に業務に取り組むようにするためには
巧みに設計されたインセンティブを用意しましょう。

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