士業マーケティング 「安く、たくさん」は疲弊する
独立後はどのように立ち回ろうが本人の自由。
自由を得たからこそ、どう働きたいのか、
「物差し」を持つことが重要だと思っています。
安く、たくさんは疲弊する
2015年から開業登録をしていますが、
開業当初は多くの誘惑があります。
「○万円なら顧問契約を締結しますよ」
「できるだけ安い社会保険労務士を探している」
「そんな値段では誰からも相手にされませんよ」
と言った感じ。
その多くは「安く、たくさん」仕事をさせたがる人からの声かけです。
心が揺れる時もありましたが、
幸いにしてそうした事業者とは距離を置くことができています。
理由は自分の中で物差しを持っているから。
私の場合は
・安い単価で多くの業務量をこなしたくない
・他の社会保険労務士と競争したくない
・あくせくと営業せずとも選ばれる存在になりたい
というのが仕事をする上でのスタンスです。
低い単価で多くの案件を受注したいという人を
否定するつもりはまったくありません。
考え方が違うというだけ。
士業事務所にも経営戦略が必要なわけで、
どのように持続可能性を担保するかは
経営者が自由に考えれば良いことです。
ただ気を付けなければいけないのは
無思考のうちに「安く、たくさん」の仕事を受けてしまうこと。
自分の強みを可視化して生かすことをせずに、
低単価の仕事を当たり前にしてしまうと、
それが相場になってしまいます。
また低単価の案件は体力的にも精神的にも疲弊してしまいがち。
どれだけ案件をこなしたとしても
実入りが少ないのではモチベーションは高まりません。
少なくとも私の場合には。
せっかく国家試験に合格して得られた資格。
顧問先に振り回されて、
身も心も消耗してしまうのでは
雇われる立場でいた方が安全です。
勇気を出して高単価のサービスを提供する
私の顧問先はそれほど多くありません。
一方で報酬は社会保険労務士の平均的な単価より高めのはずです。
なぜなら社会保険労務士の多くが手掛ける業務は行わず、
私だけにしか提供できない価値を評価していただいているから。
多くの社会保険労務士は
・労働社会保険手続き業務
・労務管理の相談指導業務
・年金相談業務
・紛争解決手続き代理業務
・補佐人の業務
を提供するサービスに掲げていることでしょう。
私の場合は
これらの業務はあくまで付随的なもので、
できれば積極的にお受けしたくないくらいです。
ではどんなサービスを提供しているかというと
売上アップのための知恵とアイデアを
経営者と対話する中でご提案するようにしています。
2017年に中小企業支援家に転身してから、具体的にどのようなご支援をしてきたのかをまとめました。 ※メディアに支援事例として掲載されたものだけを抜粋しています コンサルティングの主役はあくまで事業者です。私の基本的な立ち位置は経営者のための「踏み台」のようなもので、行動するのも成果を得るのも…
何が言いたいかというと、
他と同じ商品・サービスを提供しているだけでは
多くの競合と争うことになってしまい、
思うような値付けをすることができなくなるということ。
自分だけの絶対的な強みを持つサービスを掲げることで
自由に値付けをすることが可能になります。
つまり高単価の商売をすることができます。
繰り返しますが、
低単価の商品・サービスを提供することは否定しません。
意図して取り組んでいる戦略であれば
私と考え方が違うだけのことで、経営者の自由です。
しかし、試験勉強を終えた後に開業し、
最初の案件を早く受注したいからと「安さ」を掲げてしまうと
価格の安さと距離の近さでしか評価されない存在になってしまいます。
勇気を出して高単価のサービスを提供することが、
その後のご自身の「相場」を左右することになります。
独自化の第一歩は強みの可視化と情報発信
全国に数万人の競合がいる士業。
持続可能な事務所経営を実現するには
まず独自化を図る必要があります。
独自化を目指すには
真の強みを可視化しましょう。
自分の本当の強みは何であるのか?
「資格を持っていること」など表面上のことに惑わされずに
本質的な強みを把握するのです。
「私には強みなどない」という方がいますが、
私からしたら強みのない人などいません。
誰しも何らか、他の人にない強みは持っているものです。
差を生み出すのは、
その強みを認識して独自化に使うかどうか。
例えば私の場合は
「江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経験」
を強みの一つとして認識しています。
これも捉えようによってはただの倒産経験で、
事業を畳んだ人など世の中にはいくらでもいます。
しかし、これを強みとして認識すれば
「それだけ業績の悪化した事業を
金融機関に協力してもらいながら事業譲渡したとはすごいですね」
「経営者保証していたというのに
自己破産を求められなかったというのは信じられない、
金融機関とどのように関係性を築いていたのか教えてください」
「実質的に経営破綻状態で代表取締役に就任し、
形はともあれ事業を存続させることができたのは素晴らしい」
などと言ってくれる人が現れるのです。
また、独自化を実現するには
強みを情報発信して知ってもらう必要があります。
知ってもらえなければ存在しないのと同じ。
「自分ごときが発信するなんて恥ずかしい」
「成果に結びつかなかったらみっともない」
などと考える前に行動するべき。
1回、2回の発信で何かが生まれることはありません。
しかし、継続して情報発信することで
必ずご縁が繋がる機会がやってきます。
競合の中に埋もれることなく、
独自の価値観を武器にして商売し
持続可能な事務所経営を実現しましょう。
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