士業マーケティング 選挙から考える自営業のブランディング
選挙の季節です。
活動している人々を見ていると
いろいろと考えさせられることがあります。
選挙の時期だけ活動している人々
年が明けた頃から、駅前や大通りに立ち、
朝の挨拶をしている人々がいました。
おそらくこの4月の選挙に立候補する人々だったのでしょう。
選挙直前になって、
急に朝の挨拶運動的なのを始めるのは
率直に言ってあまり印象が良くありません。
4年間の任期のうち、
ほとんどの期間はそんなことをしていなかったくせに、
当落の関わる時期に差し掛かった途端に、深々と頭を下げてくるわけです。
無視するわけにもいかないので会釈は返しますが、
なんだか投票を押しつけられているようで不快です。
“路上政治家”野田元総理、駅前で37年間ビラ配り「皿回しはできないから…」 待望論には「代表や総理は“引き寄せられる”もの。血迷っちゃいけない」(ABEMA TIMES)
#Yahooニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9d055c668899b6760eca15d689e73cdb16bb3ad
私は特定政党の支持者ではありませんが、
このニュースに取り上げられているように
普段から地に足をつけた活動をしているのであれば
聞く耳を持とうという気になります。
自分が助けてもらいたい時だけ声を上げ、
普段は何をしているのかわからないような人は
残念ながら広く共感を得られることはないでしょう。
士業事務所の経営に置き換えるならば、
普段から地域や知り合いの見込客と、
関係性を構築しておくことが必要ということ。
売上が足りないからと急に顧問契約をお願いしたところで
関係性が構築されていなければ誰からも相手にされないのです。
「泣き落とし」で共感は得られるのか
告示後のある日。
いつもの道を歩いていると候補者が手を振っていました。
何人か支援者がいるようで、近くを通りかかると、
そのうちの一人が「○○の姉でございます」と連呼していました。
だから何だ、というのが率直な感想です。
姉がわざわざ頭を下げているくらいだから、
ぜひ○○に投票してくれということでしょうか。
人は何かを押しつけられることを本能的に嫌います。
商売であれば
「買ってください」と発信するのは逆効果。
売れないどころか最も嫌われるNGワードです。
同じように土下座してお願いしたところで
購買に結びつくことはありません。
気持ち悪がられてしまうだけです。
ブランディングというのは突き詰めれば、
見込客に自然と選ばれる仕組み作りのこと。
開業したばかりの士業に必要なのも
顧問契約を押し売りするのではなく、
見込客から自然と選ばれる仕組みを作ることです。
試験に合格にした後に必要なのは
勉強し続けることではなく、
自分の強みを生かして独自の立ち位置を作り、
多くの競合の中から選ばれるようにすることなのです。
ドブ板営業が一番強い
選挙直前にだけ挨拶や泣き落としを試みるように、
SNSでちょこっと発信したところで
何者でも無い士業に変化は訪れません。
何十万円の講座を受けてテクニックらしきものを教えてもらい、
フォロワーを少し増やせたとしても大した変化はないでしょう。
では何をすれば良いのか。
特に開業したばかりの士業にお勧めするのはドブ板営業。
例えば、
地域の中小企業への挨拶(営業ではなく挨拶です)、
友人・知人へ開業した旨の報告など。
こうした半径数メートルの人間関係へのドブ板営業は
顔も名前も知らない相手へのネット広告よりも
はるかに効果を得やすいものです。
しかし、多くの人がドブ板営業を嫌います。
頭を下げているように思われるのがイヤだ、といったところでしょうか。
非常にもったいないことです。
選挙も商売も、
見込客と関係性を構築しなければ投票・受注に結びつくことはありません。
顧客を増やそうと考える士業に必要なのは、
自分の強みを生かして独自の立ち位置を作り、
そのコンテンツの情報発信を継続すること。
・自分が何者であるのか
・どのような商品・サービスを取り扱っているのか
・どのような心構えで仕事をしているのか
こうした基礎的な情報発信を継続することが
まずは関係性構築の第一歩になります。
関連記事