地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業の事業承継

日本政策金融公庫から事業承継に関する調査結果が公表されています。

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings230323.pdf

中小企業のうち後継者が決定している企業は 10.5%にとどまり、57.4%が廃業を予定

企業というのは基本的に
永遠に存続することを目指しています。
付加価値を生み出し続けて対価を得て、
再投資を行い、さらに付加価値を増やしていく。
現状維持はあり得なくて、
成長させ続けることが前提です。

ところがこの調査によると、
中小企業の半分以上が廃業を予定しているとのこと。
何かが狂っています。

成長させることができないと判断したのか、
そもそも成長させ続けることを前提としていなかったのか。

私が家業を事業承継したのは
創業家出身者だったので既定路線といえば既定路線でした。
幼い頃から祖父に連れられて会社の展示会に出かけたり、
仕入先さんとの集まりに顔を出したりしていました。
京都に行った時には本社の社長室で記念撮影をしたことも。

平常時であれば、
管理職を経てから取締役になり、
その後、代表取締役になるのが普通でしょう。

しかし実際には
父が代表取締役を務めている最中に、
メイン銀行から遠回しな意思表示があり、
急きょ、私に事業承継を実施することになりました。
当時の私は経理財務の使い走りをしている係長。
係長とはいっても部下もおらず、
管理部門の見習いを始めたばかりのタイミングでした。

メイン銀行の意思決定の過程は知りませんが、
当事者の一人として想像してみると、
「いつまでも業績を回復させられない父親ではなく、
まだ取締役にもなっていないが息子に交代させよう。
そうしなければ支援を続けるために必要な稟議書を決裁できない」

といったところでしょうか。

私のように親族内承継したのちに、
投資ファンドへ第三者承継した経験がある人は少ないかもしれません。
短い期間に事業承継を2度経験したからこそ、
地方中小企業には何としても企業を存続させ、
成長のエンジンとなる事業は移り変わりつつも
社会に価値を提供し続けてほしいと考えるのです。

そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない「廃業予定企業」が約 45.2%

廃業を予定している企業がいるというのを
そもそも矛盾しているように感じるのは前段に書いた通り。
その時点で経営者が何かにあきらめてしまっているような
寂しさを強く感じます。

ある経営者とお話ししていた時のこと。
お酒が入っていたせいか私に
「次の経営者は岡田になってほしい」
と言います。

どこまで本気なのかはわかりませんが
懇意にしていた人なので私も真面目に話を聞いていました。

ところがその後、
事業承継について具体的な話はまったくありません。
私から聞く話でもないので放置してそれっきりです。
同族会社なので状況に変化があったのか、
ただ経営者のお気持ちが変わっただけなのか。

いずれにせよ、
企業の存続に関わることを
ずいぶんと軽々しく口にされるのだなぁと思いました。

企業が残り続けるものならば、
経営者は必ずいつか交代を求められます。
誰かに託すこともなく廃業したいと考えるならば
その程度の価値しか生み出せない会社だと
経営者自身が認めたことにならないでしょうか。

北海道の長い道

地方中小企業は永遠に存続させたいものです

事業承継の経験者として思うこと

経営者の仕事の一つは
次の経営者を探すことです。
関連して、次代の経営幹部を育てることも求められます。

私は父から事業承継しました。
感謝していることの一つは、
父を支えた人材が私のことも支えてくれたことです。

事業承継にありがちだとよく耳にする、
会長派と社長派のあつれきなどとは無縁でした。
そのようなことをしている余裕がなかっただけかもしれませんが。

いくら次代の経営者を見つけ出せたとしても
1人で事業を運営することはできません。
取締役や従業員に恵まれて、
初めて価値を生み出し続けることができます。

私の場合は
家業を立て直すことはできませんでしたが、
第三者へなんとか事業承継することができたのも、
最後まで会社がバラバラにならずにまとまっていたからです。
日々、それなりに事件はありました

新しい経営者を見つけることだけが事業承継と見られがちですが、
実態として稼ぎ続ける会社を存続させることが
地方中小企業に求められる事業承継だと思います。

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