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コラム

地方中小企業の経営者に求められる覚悟と責任

地方中小企業の経営者とお話ししていると
起きてしまったトラブルについて、
愚痴や不満を漏らされることが多々あります。

やりたい放題の残業は誰のせいなのか

ある関与先でのこと。

昨年の給与支給実績を確認したところ、
特定の従業員のみが
多額の時間外勤務手当を受給し続けているといいます。

給与計算等に関わっているわけではありませんので、
賃金台帳等は初めて見させてもらいました。
確認すると確かに、特定の従業員のみが残業しているようです。

経営者はどうやらこの従業員に不満を持っている様子。
いわゆる「生活残業」ではないかというのです。

生活残業とは、
業務がなくても意図的に残業を行い、
本来は必要ないであろう時間外勤務手当を受給すること。

解決策としてご提示したのは、
残業の事前申請と事後報告の制度化です。
これまでは従業員の裁量で自由に残業できていたのを、
経営者の事前の決裁がなければ、
残業として認めないこととしました。
決裁を得られなければ勤務時間終了後に何かをしていたとしても
業務命令が伴わない、ただの「残留」です。
会社は割増賃金を支払う必要はありません。

この制度のポイントは

・従業員から残業の希望を申請させる

・事前に決裁する

の2点。

特に重要なのが事前に残業の可否を決裁することで、
月末にまとめて、
申請書に押印するなど形骸化させてはいけません。

ここまでは誰でも思いつくようなアドバイスですが、
最後に私から申し上げたのは、
「仮に生活残業だったとして、悪いのは従業員ではなく、
そのような行為を可能にしていた会社だ」
ということです。

経営者はついつい私に愚痴をこぼしてくれたのですが、
勤怠管理が行き届いていなかったのは会社の責任です。
経営は思うようにならないことの連続ですが、
誰かのせいにしだしたらキリがないのです。

地方中小企業の現場で起こるすべてのことは、
会社のせいであり、経営者の責任です。

ハラスメントを絶てないのは誰のせいなのか

ハラスメントと思われる事案が発生した経営者とお話しした時のこと。

一通りの対応を終えた後に
私からご提案したのはハラスメント研修を実施することです。
何も外部講師を呼んでセミナーを行ったり、
高額な動画を購入する必要はありません。
厚生労働省のウェブサイトでオンライン研修講座を受講し、
受講後にダウンロード可能となる受講証明書に
記名して会社に提出してもらうだけです。

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/learning/roudou/

ハラスメント研修を会社が実施する意義は

・ハラスメント事案の抑止

・不正を許容しないという会社の姿勢を示す

の2点です。

同様の事案を繰り返さないようにするのは当然。
さらに重要なのは
ハラスメントに限らず不正行為などを会社が許容しないという
明確な意思を従業員に伝えることです。

何かトラブルが起こってしまった時に、
詳細を把握し、懲戒処分などを行うのは誰でもできることです。
事業運営上のすべての責任を負う経営者に求められるのは
発生してしまったトラブルを利用して、
事業と向き合う「覚悟」を伝えること。

従業員に将来のビジョンを提示すると共に、
その過程で起こるであろう様々な出来事への
経営者の覚悟を知ってもらうことが、
持続可能な経営の実現に繋がります。

みんなでNOハラスメントオンライン研修講座

地方中小企業はハラスメント研修を実施しましょう

すべては経営者の責任

私が家業の代表取締役を務めていた際に、
仕入先各社との取引形態について
公正取引委員会から勧告の処分を受けたことがあります。

何十年も運用してきた制度が
下請法の理念に合致しないということで、
当局と数年間のやり取りの末に処分を受けることになりました。

この時、

「社長が考え出した制度ではないから気にしなくていいですよ」

「何十年も運用してきたのだから、
少し前に就任したばかりの社長は悪くないですよ」

などと慰めてくれる方がいましたが
私はその言葉に甘えることはできませんでした。

事業の運営を担うからには
過去の経緯も含めて責任を負うのが当代の経営者であるべき。
そう考えたからです。

極端な話、
会社の前の信号が赤に変わるのも経営者のせいなのです。
そこまで割り切らないと、
日々、大小様々な事件が起きる、
地方中小企業の経営者など務まりません。
誰かのせいにしだしたらキリがなくなってしまうのです。

法人の代表を務めるというのは
雇われる立場の人が思い描くような社長像とは異なります。
すべては経営者の責任。
だからこそ自由に将来の姿を思い描くことも可能になるのです。

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