士業マーケティング 自らのストーリーを紡いで付加価値にする
「手続き業務だけでこの先食べていけるか不安だ」
このように考えている士業は多いものの、
では具体的に何をすれば良いのでしょうか。
大前提として資格と知識は必要
私がこうして
士業のマーケティングやブランディングについて発信していると、
「資格を軽く見ているのではないか」
「資格取得後の不断の勉強が重要だとわかっていない」
とご意見をいただくことがあります。
※ご意見をもらえるのはとてもうれしいです
誤解があるので説明すると、
資格や知識は士業事務所の経営の大前提として
必要欠くべからざるものです。
資格は不要だ!とか、
勉強する時間は無駄だ!などと
主張するつもりはまったくないどころか、
逆に日々のインプットがあってこそ、
顧客に提供できる価値を維持向上できると信じています。
私の場合は
社会保険労務士の一般的な業務は(ほぼ)手掛けていないとはいえ、
ビジネスガイド誌、SR誌、労働経済判例速報に(ざっと)目を通して
最低限の知識が追いつくように勉強しています。
社会保険労務士の実務に積極的に携わらないとはいえ、
看板を掲げている以上は
知識をアップデートし続ける必要があると考えています。
安売りをしてはいけない
知識をアップデートし続けているのを前提に、
では、士業がこの先、どのように行動すれば
事務所経営を持続可能なものにできるかを考えてみます。
私が常々考えているのは
士業の一番の商品は自分自身であるということ。
資格や知識は同業者全員が兼ね備えているもので、
いくら知識や実務経験の豊富さを訴えたところで、
競合である同業者との違いを浮き彫りにすることには繋がりません。
士業が独自の立ち位置を築けていないと
どのようなことが起こってしまうかというと、
見込客から距離の近さと価格の安さだけで
比較されることになってしまいます。
能力が同じように見えてしまう士業同士を比較した場合に
距離の近さと価格の安さだけが
決定的な違いに見えてしまうのです。
特に気を付けなければいけないのが、
開業したばかりの時期に自分を安売りしてしまうこと。
まだ十分な顧客名簿がないために
価格の安さで目立とうとしてしまうと、
「価格の安さだけが売りの士業」
というレッテルを自ら貼ることになってしまうのです。
では独自の立ち位置をどのように築けばよいのでしょうか?
まだ何者でもない士業に必要なのは
自らのストーリーを紡いで付加価値にすることです。
自らのストーリーを紡いで付加価値にする
社会保険労務士の場合は
全国に4万人以上の同業者、つまり競合がいます。
さらにはHRツールも普及し始めていますし、
案件によっては弁護士が競合になることもあります。
多くの競合の中から、
見込客に選んでもらえるようにするためには
士業事務所の一番の商品である、
自分自身の個性を発信する必要があります。
個性の見せ方は様々で、
ニッチな趣味を持っているならば強力な要素になりますし、
社会貢献活動に携わっていることなども同様に
見込客からすれば強い差別化要因になります。
私が特に重要だと思うのは
自分自身が歩んできた人生や経歴に共感してもらうことです。
人それぞれ歩んでいる人生は
自分自身にとっては当たり前のものですが、
他者から見た時には当たり前の人生ではありません。
自分自身の人生ほどわかりきったものはないのですが、
その過程を開示することができれば
見込客にとっては最も強力な判断材料になり得ます。
例えば私の場合は
・江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した経験
・行政が設置した事業相談窓口での中小企業支援事例
をストーリーとしてお伝えするのが
最も皆さんの興味を引くことだと実感しています。
中小企業を破綻させた経営者などありふれていますし、
中小企業支援を行っている専門家も数多くいます。
しかし、
両方を掛け合わせて、
ストーリーとして提示することで
中小企業支援家、社会保険労務士として
独自の立ち位置を築けていることを実感しています。
士業が多くの競合に埋もれることなく、
見込客から選んでもらえるようにするには
独自の立ち位置を築くことが必要です。
独自の立ち位置は個性の発信をすることで実現し、
もっとも強力な個性はそれまで歩んできた人生そのものです。
士業が自らの人生をストーリーとして開示することが
独自化になり付加価値となります。
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