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コラム

経営者の人格と、会社の「社格」

人間に人格があるように、
会社にも「社格」があるという新聞記事を読みました。

社格は人格 高橋泰行:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69273690V10C23A3BC8000/

経営者の言葉は会社の言葉

政治家が失言すると
「謝罪して、撤回します」
というのが通用するようです。

しかし、会社を代表する経営者の言葉は
後から取り消したり、
無かったことにしたりすることはできません。

私が家業の代表取締役を務めていた時のこと。
定期的にメイン銀行の担当者とお話しする機会がありました。
個人保証に必要な押印など日常的に手続きがあり、
その機会に担当者に会社の現況をお伝えするわけです。

ある時、季節の挨拶と雑談をした後に
書類にいくつか署名・押印する手続きがありました。
押印漏れが無いかなど書類をチェックしている担当者の手元をふと見ると、
前回の私との面談記録が置かれていました。

思わず見入ってしまったのですが、
私の服装、ネクタイの色
冒頭の雑談の内容
会社の状況を説明した内容
などが丹念に記されていました。

事業の概況について記録されているのは当然で、
それに加えて、
私の服装や雑談の内容についてまで
記録されているのには驚きました。

経営者の発する言葉にオンオフは無く、
常に会社を代表する者の言葉として捉えられるのだなと学びました。

経営者の言葉は記録される

あるプロジェクトに関わっていた時のこと。
私が関与する前の記録を眺めていると、
経営者の言葉が書類化し記録されていました。

例えば

「自社にだけ特別の便宜を図ってほしい」

「他社と同じように取り扱われるのは納得がいかない」

「優遇されないなら、、、」

といった感じです。

率直にいってかなり感じの悪いやり取りが
記録されているもので、
書類を作成した側からは、
明らかに厄介者扱いされている様子が伝わります。

当時の機微を知ることはできませんが
残っている書類を眺める限りでは
面倒臭い経営者であり、
まともな会社ではないなと感じてしまいます。

もちろん経営者は
会社のことを考えてゴネていたのでしょう。
交渉してより良い環境に身を置けるなら
最善を尽くすのは経営を預かる者の務めです。

ただし、
発する言葉に品性がないと
経営者の人格はもちろん、
会社の人格まで貶めることになってしまいます。

ましてや、みっともない言葉が文書化され保存されているとなると
その瞬間のやり取りだけに留まらず、
いつまでも記録として残り続けることになります。

会社を代表する立場にいるのであれば、
発する言葉は記憶もされるし、
記録もされると覚悟しておきましょう。

スーツ姿の男性の上半身

経営者の器を超えて会社が大きくなることはありません

経営者の器の大きさがすべてを決める

冒頭に紹介したコラムに書かれているように、
「社格」というものがあるのならば、
経営者の人格以上のものに育つことはありません。
会社を代表する経営者の人格を超えて、
「社格」が形成されることはないのです。

中小企業支援に携わっていると、
様々な経営者とお話しすることができます。
ある会社の取締役は
業績が好調で大忙しにもかかわらず、
新規事業に取り組みたいと相談に来てくれました。

わざわざ今、
新しいことに挑戦しようとする理由を伺うと
「将来の従業員のために、
今から新規事業を育てておきたい」
とおっしゃります。

今の会社の利益を考えるだけでなく、
事業のバトンを将来に繫ぎ、
後輩たちが活躍できる場を今から用意し始めたいと言うのです。

この会社を訪れるといつも清掃は行き届いていますし、
事務所内の全員が視線を向けて挨拶してくれます。
当たり前のようですが
なかなか徹底できている組織は少ないように思います。

私の家業も特に清掃はなかなか行き届いていなかったような。
来客の前には、トイレや玄関の掃除を自分でしていましたが、
従業員にどこまで響いていたか我ながら自信がありません。
掃除ができない従業員が悪いのではなく、
私の器の大きさがその程度であったのだと思います。

日々、地方中小企業の経営に携わると
大小さまざまな事件が起こるものです。
そのすべては突き詰めると、
経営者の人格が引き起こしています。

外部環境のせいや、
思うように活躍してくれない
従業員のせいにしたくなりますが、
すべては経営者に起因するのです。

会社を物心共に豊かにしていきたいのであれば、
まずは経営者個人が誠実に行動することです。

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