士業マーケティング ChatGPTなど大規模言語モデルを利用した情報発信は可能なのか
士業事務所は今後、どのような姿勢で情報発信に取り組めば良いのでしょうか。
無料セミナーのテーマに驚いた
ある公的機関で開催される、
無料セミナーのコンテンツを見て驚きました。
ChatGPTでブログ用の文章を生成する方法を教えるというのです。
このセミナーでは
「文章を書くことが苦手な人」
「文章を書く手間を軽減させたい人」
といった中小企業(の担当者)を対象にしているそう。
ChatGPTさえ使えるようになれば、
情報発信が簡単にできるようになり、
集客に結びつけることができると謳っています。
冒頭から話が逸れますが、
「無料」というのには注意が必要です。
公的機関などであれば問題ないでしょうが、
民間企業主催の無料セミナーでは
中身の乏しいセミナーが多々見受けられます。
私も何度か失敗した経験があります。
無料をエサにする目的は受講者の情報を取得すること。
無料に釣られて時間を浪費してしまうと、
安物買いの銭失いとなり、
その後、営業電話やメールに悩まされることになりかねません。
何かを学ぼうとするのであれば、
当然、対価が発生します。
講師の立場からしても、
受講者が費用を負担していると思えばこそ、
何かを持ち帰ってもらいたいと力が入るものです。
等身大の自分を発信することが重要
さて、ChatGPTを利用した情報発信で
集客や売上アップが実現するのでしょうか?
私はChatGPTを利用し
ブログ用の文章を形式上、用意することができても、
持続可能な商売に繋がるとは思えません。
理由はいくつかあり、
・誰でも用意できる文章しか発信できず、
独自の立ち位置を作り上げることには繋がらない
・独自性のないコンテンツしか用意できない媒体は
ネット上で価値のない存在として取り扱われる
・発信者の人格と乖離した文章は
読み手にあっという間に見抜かれて信用を失う
といったところです。
ChatGPTを使っても、
誰でも用意できるようなコンテンツしか生み出せません。
自分自身の考えや、
これまでの経歴とその背景など、
個人に紐付く情報を反映した文章は(まだ)吐き出してくれないからです。
誰でも用意できるような文章を発信し続けても
多くの競合の中から選ばれる存在になることはありません。
自分らしい切り口で情報発信をするからこそ、
同じ資格を持っている多くの競合の中で
キラリと光る存在として認めてもらえる可能性が生まれるのです。
また特に重要なのが、
自分で書かずにChatGPTや外部のライターを利用し、
いかにもそれらしい文章を発信したところで、
いずれその「狡さ」は顧客に見抜かれてしまうということ。
ChatGPTという道具を使って背伸びをしたところで、
地に足が着いていない文章で少しの時間は稼げたとしても
いずれ発信者の化けの皮は剥がれることになります。
士業の最も重要な商品は自分自身
士業の最も重要な商品は自分自身です。
であるからには、
等身大の自分を発信することが最も重要で、
普段使ってもいないカタカナ語を濫用したり、
興味の無い時事問題について語ったりするのは逆効果です。
ましてやChatGPTなどを用い、
身の丈以上のコンテンツを用意しても
真の「商品」の魅力を伝えることにはなりません。
よくある間違いは、
法的な知識ばかりを発信してしまうこと。
法改正、補助金といったトピックは
もちろん重要な情報ではあるのですが、
他の多くの競合も同じように発信できる内容です。
いくら継続して発信したとしても、
競合の中から独自化を実現することには繋がらないのです。
士業の発信に必要なのは、
最も重要な商品である自分自身の魅力を伝えることです。
・自分が何者であるのか
・どのような経歴と背景を持っているのか
・何を考えて仕事をしているのか
・顧客からのどのような声が寄せられているのか
・どのような価値観を重視して働いているのか
こうした情報を発信することで
同じ資格を持つ多くの競合と
価格の安さと距離の近さだけで比べられることを防げます。
どんなにたどたどしくても
自分の言葉で情報発信を続けること。
これが士業の情報発信の勘所です。
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