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コラム

中小企業支援の主役は経営者

茶わんやから中小企業支援家に転身して7年目。
最近考えていることを書いてみます。

高校ボート部での経験

大学在学中に熱中していたのは、
母校の高校ボート部で
高校生にボートの漕ぎ方を教えることでした。

うちの部では大学生OBOGが高校生を教えるのが伝統で、
私や同期もその伝統に従って、
高校生が漕ぐボートを伴走させてもらっていました。

コーチをしていた約2年で、
女子チームが初めて全国選抜に出場できたり、
補欠チームの充実した活動を支えることができたりと、
前向きな活動に貢献できたと自負しています。
自分が高校生の時に漕いでいた当時は、
史上最弱の世代と言われていた私たちですが、
指導者としてはなかなかセンスがあったのではないかと
今振り返っても感じるところです。

高校生にコーチをしていた経験は
私の社会人人生に大きな影響を与えていて、
限られた資源を最大限に有効活用することだとか、
周囲の人と関係性を構築して
環境を整えることの重要性といったことは、
ボート部で学ぶことができました。

何より重要なのは
経営や組織運営にギャンブルが不要だと学んだことです。
どういうことかというと、
ボート競技のレースは
普段の練習を見ている関係者にとっては
ほぼ順位を予想できるものです。
地道な練習の積み重ねが艇のスピードに反映され、
「奇跡の逆転勝利」といったことは起こり得ません。

目標を達成しようとするときに、
根拠の無いギャンブルに頼らない
ありもしない「魔法の杖」を探し求めて時間を無駄にしない
といった思考をするようになったのは
ボート部での経験のおかげです。

中小企業支援の主役は経営者

中小企業支援家というのは
経営者にアドバイスをするのが仕事です。

主役はあくまで経営者で、
私が提供したアドバイスを元に、
行動するかどうか決めるのは経営者です。
行動して得られた成果を享受するのも経営者。

そう考えると、
学生コーチと中小企業支援家というのは
立ち位置が非常によく似ています。
どちらも自分が主役ではありません。
実際に行動する高校生や経営者が主役です。

中小企業支援業界には様々な支援者がいます。
公的機関の窓口担当者
大企業OBOGの専門家
士業
などなど。

こうした支援者(らしき人)に非常に多いのが、
地方中小企業の経営経験を持っていないことです。
自分に地方中小企業の経営経験が無いのに、
経営者に対して
教科書に書いてあるような「あるべき論」をふりかざし、
経営を「指導」してくれるわけです。
まるで自分が主役であるかのように。
※全員がそうであるとは思いません、念のため

私自身も経験がありますが、
こうした支援者(らしき人)に
経営の「あるべき論」を語られることほど
経営者にとって腹立たしいことはありません。

私は家業の茶わんやで経営者を5年務め、
その後、中小企業支援家に転身して7年目です。
気がつくと実業に携わっていた時間よりも、
中小企業支援家に転身してからの時間の方が長くなりました。

中小企業支援の主役は経営者です。
自分自身が自覚しないうちに、
支援者(らしき人)になってしまっていないか、
漠然とした不安や危機感を持ち続けています。

私の高校最後のレース

私の高校最後のレース

吐き出すだけではいつか枯れる

中小企業支援家というのは
過去の経営経験や学んだことを
経営者に吐き出し続けるのが仕事です。
過去の蓄積があるからこそ成り立つ業務で、
蓄積したものが尽きれば、
経営者に提供できるものなくなります。

補助金の案内をし続けたり、
経営の至らない点を指摘し続けたりするだけであれば、
いつまでも仕事を続けることはできるでしょう。

ただし、それは本質的な中小企業支援ではありません。

中小企業支援家が中小企業支援を続けるためには、
生きた経営経験を積み重ねる必要があると考えています。
私も現在地に甘えることなく、
自分自身が新しい挑戦を続けることで、
中小企業支援家としての活動を続けていきたいと思っています。

家業の茶わんやは離れましたが、
元々は商売人です。
生きたアドバイスを提供し、
この先も経営者の「踏み台」になりたいと考えています。

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