面接のあるべき姿を考える
なにかと面接の多い時期になりました。
私がどのように面接しているかを書いてみます。
久しぶりの新卒採用を行った経験
家業の代表取締役を務めていた際、
久しぶりに新卒採用を再開することになりました。
当時、すでに業績は窮境に陥っていたのですが、
どのような形になるにしろ、
事業を存続させることは固く決意していました。
事業を営む上で重要なのは「人」、
つまり経営理念を実現するために、
実際に働く従業員の存在です。
いずれ私は経営を離れることになるかもしれませんが、
新しい人材に自分の思いを自分で伝えられるうちにと、
銀行の理解を得た上で、
新卒採用を再開することにしました。
実際に採用活動を始めようとすると、
10年以上も実施していなかったために
効果的に活動するためのノウハウが失われてしまっていました。
そのため人事の担当者は、
ゼロから採用活動を始めてくれました。
採用のノウハウが無いのは私も同じ。
学生への説明会で話す内容や
その後の面談でどう接するかなどは
白紙の状態から描いていく必要がありました。
問い詰めずに自分のことをまず伝える
なかでも気になったのが、
面接のあるべき姿です。
「志望理由を教えてください」
「学生時代に何をしてきましたか?」
などと聞いたところで、
おそらく事前に暗記した内容を話されるだけ。
素の状態でお互いを評価し合えるようにするため、
どうにかして有意義な時間にしたいと
さまざまな資料に目を通しました。
当時すでに社会保険労務士の資格を持っていましたが
「保護者に関する内容を聞いてはいけない」
「読書内容について質問するのは好ましくない」
などと会社側に注意を促す内容が多く、
採用ノウハウを失っていた当社には貴重な情報でした。
その後、私が決めたやり方は
まず一通り、私が自分の思いを話すというもの。
採用面接は会社が学生を評価するだけでなく、
学生も会社を評価することになります。
であるならば、
代表取締役の私が
まず先に自分のことを話すべきと考えたのです。
具体的には
・私は何者なのか
・どういう会社なのか
・どういった考えを持って経営しているのか
・どういう苦しい状況にあるのか
・なぜ採用を再開しようと考えたのか
といったことを自分の言葉で説明するようにしました。
この方法が正しいかどうかは今でもわかりません。
しかし、
当時すでに地方中小企業が学生を採用するのには
困難な時期になりつつありましたが、
採用活動をおこなった2年とも、
希望する人数を会社に迎え入れることができました。
面接はお互いを評価する場である
その後、
家業を投資ファンドに事業譲渡し会社を離れると、
今度は私が多くの面接を受けるようになりました。
地方自治体が設置した事業相談窓口の公募に手を挙げた際は
東京から飛行機に乗って面接に出向きましたし、
後継経営者に迎えたいと連絡をくれた会社へは、
工場見学と面接を兼ねて出向いたこともあります。
コロナ禍になってからはZoom等を利用した
オンラインでの面接が当たり前になりました。
自分が面接を受ける立場になった感じるのは、
相手方がどこの誰だかわからないことが多いという違和感です。
丁寧に自己紹介してくれる方は、10人に1人くらいでしょうか。
ある時などは、自己紹介も予告も無く、
中小企業支援のシミュレーションを求められたりもしました。
面接というのは
会社側が人材を評価する場なのは当たり前ですが、
反対に応募者も、会社や面接担当者を評価しています。
お互いがお互いを評価し合う場であることを忘れがちなのは
面接の本質を見失うことになりかねません。
関与先の経営者が学生の面接をするというので
その場に同席させてもらったことがあります。
経営者から私も質問をして良いと言われたので、
私は学生に質問するのでは無く、
経営者に質問をさせてもらいました。
・最初の3ヶ月をどのように過ごさせるつもりか
・1年後にどのような従業員になってほしいか
この2点を質問しました。
もちろん、経営者に質問することで
学生の不安を解消しようというのが狙いです。
面接を一方通行で終わらせるのはもったいないです。
双方向のやり取りを楽しんで、
お互いを評価し合う有意義な時間にできたら良いと思います。
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