地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

事業承継に必要な3つの準備

地方中小企業が事業承継する際に
後継者にどのような準備が必要でしょうか。

準備する間もなかった事業承継

私が家業を事業承継をしたタイミングは
会社あるいは父が計画的に決めたものではありませんでした。

業績が長期低迷し続ける中で、
取引金融機関から経営者を交代するように
遠回しな意思表示があったと聞いています。

当時の私は経理・財務の係長で
部下もおらず、管理部門の見習い中といった状況だったのが
ある日、「次の株主総会で社長になってくれ」と
父と専務から通告されるといった状況でした。

率直に言って、
何も準備ができていない状況でしたので
就任当初は何から手を付ければよいのかわかりませんでした。

ちょうどコンサル会社と策定した再生計画がありましたので、
計画に盛り込んだ施策の進捗を
管理するところから私の社長業は始まりました。

「こうしたい」という強い思いを持たずに走り始め、
時間を大きくロスしてしまったという後悔は今でも抱いていて、
地方中小企業がもし仮に事業承継をするのであれば、
一定の準備は必要だなと考えるに至っています。

事業承継に必要な3つの準備

経営理念の策定

地方中小企業の経営理念には
以下のような役割があります。

  1. 方向性を示す:経営理念は企業の目的や価値観を表すため、従業員や利害関係者が共通の方向性を理解し、行動することができます。
  2. 信頼性を高める:経営理念に忠実に行動することで、顧客や社会からの信頼を獲得し、企業価値を高めることができます。
  3. 長期的な視野を持つ経営:経営理念は長期的なビジョンを示すため、企業が将来の成長に向けて戦略的な意思決定をすることができます。

事業承継後にどのような経営に取り組むのか、
後継者が思考をまとめておくべきだと思います。

経営理念がすでにあるのだとしたら、
その経営理念を今の時代にどのように実現するのかを
じっくりと考えておく必要があるわけです。

もし仮に経営理念がなかったり、
形骸化してしまっているのであれば、
新たに策定しなくてはなりません。

就任後に見直しや策定をしても良いでしょうが、
私は事前に自分なりの考えをまとめることをお勧めします。
経営理念について思考を深めることは
「就任後に事業をどのように成長させていくか」
に直接、繋がります。

財務、労務の勉強

経営者になると

「財務はわからない」

「労務対応は外部に任せている」

などということは言えなくなります。

実際に苦手であったとしても
わかった振りをしてでも対応をしなければならないのが経営者。
事業のすべての責任は経営者が負わなければならないので
「知らない」「聞いてない」「わからない」
といった言い訳はできないのです。

もし事業承継まで時間があるのであれば、
簿記3級レベルの会計知識
労働基準法関連の基礎的な知識
はぜひ勉強しておきたいものです。

減価償却って何?
債務超過ってどういう状態?
就業規則ってどれだけ重要なの?
安全配慮義務って何?
といった基礎的な事柄を理解できればOKで
何も専門的な知識まで身につける必要はありません。

経営者が経営判断を下していくのに必要な
基礎的な知識を先に身につけておきましょうということです。

経営幹部の育成と選定

株式会社であれば取締役会メンバー、
その他の法人であれば、
経営者と共に経営にあたるメンバーを
事前に育成し選抜しておくことが必要です。

私が事業承継した時は
年上ばかりの従業員の中から
取締役会メンバーを自由に選ばせてもらいました。
幼い時からよく知っている人もいれば、
当時はまだ十分に話したことのない人もいましたが、
迷いなく取締役会メンバーを選ぶことができました。

結果、就任から投資ファンドに事業承継するまでの間、
取締役会は一致団結して経営に取り組むことができました。

経営幹部の育成は一朝一夕にできるものではありません。
先代が意識して着手しなければ、
事業承継に合わせて人材を揃えておくことなど不可能。

私の場合は幸いに
父を支えてくれた管理職がまだ働き盛りでしたので
彼らの中から選ぶことができました。

事業を最後の1人になったとしても
やり遂げねばならないのが経営者ですが、
相談相手や番頭格は当然必要です。

事業承継を予定しているのであれば
会社の規模の大小に関係なく、
経営幹部の育成と選定が必要です。

運動会のリレー競技

いつか必ずやってくるのが事業承継です

まとめ

事業承継といっても、
代表取締役を交代するだけで良いものではありません。
その後の事業を牽引していくために、
コンパスとなる生きた経営理念が必要ですし、
基礎的な経営知識も求められます。
また同じ目線で仕事をできる番頭格もいた方がよいでしょう。

すべてを完璧に用意できなかったとしても、
足りない点を把握してから新しい経営を始めたいものです。

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