経営者と従業員の目線を合わせる
地方中小企業の経営者とお話ししていると
従業員と目線を合わせることが必要だと感じます。
新しいことを拒む従業員
ある関与先でのこと。
事務作業の生産性を向上させようと
RPA導入を提案しました。
人手が足りないからといって
安易に新しい従業員を採用しようとするのではなく
まず着手すべきは
今の人員でさらに生産性を向上させることです。
この会社の場合は
膨大な量の伝票処理に人員を割かざるを得ないので
RPAを導入し、伝票処理を少しでも省人化しようと考えました。
ところが、新しい仕組みを導入しようとすると
必ず現れるのが現状からの変化を頑なに拒否する従業員。
「RPAを導入しても無駄だ」
「自分は新しい業務を手伝わない」
「今の部署の仕事しかするつもりはない」
と言い放っているそうです。
経営者の見ている世界と従業員が見ている世界
なぜ現状からの変化を頑なに拒否するような
従業員が現れてしまうのでしょうか。
その従業員が悪いというのではありません。
経営者と見ている世界が違うために、
どうしても一定の確率で
変化を頑なに嫌う従業員が発生してしまうのです。
雇用契約を結んでいる従業員には
毎月、給料が銀行口座に振り込まれます。
会社の業績が良くても悪くても、
個人の成績が良くても悪くても、
振り込まれる額と時期は基本的に(ほぼ)一定です。
※あくまでざっくりのイメージです
つまり、
従業員というのは先月と同じことをしていれば
今月も同じ額の給料が振り込まれます。
するとどうなるか。
従業員の中には変化を嫌う性格の人もいるわけで、
経営者が取り組もうとする新しい挑戦を
本能的に避けようとしてしまうのです。
経営者は違います。
明日が必ずしもやってくるとは限らないのが経営。
何かの不祥事をきっかけに一気に顧客が離れることもあるでしょう。
またあるいは、財務の打ち手を間違えたために、
突発的に資金繰り破綻することもあり得ます。
「今より良くなりたい」というのが経営者の本能で
そのためには新しいことに挑戦し続ける必要があります。
同じことをしていれば同じ処遇が維持される従業員と、
新しいことに挑戦し続けないと
会社を維持すらできないと考える経営者。
両者の見ている世界は同じ会社の中でも異なるのです。
経営者と従業員の目線を合わせる
ではどうすれば経営者と従業員の目線を合わせられるのか。
私が必要だと考える方法は
経営理念の可視化
と
対話の継続
です。
地方中小企業における経営理念は、
その企業が何を目指し、
どのような価値観を持って事業を行っていくかを示すもの。
例えば
地域社会に貢献する、
顧客満足度を追求する、
従業員の成長と幸福を実現する、
といったもの。
ただ、その経営理念も
従業員と共有できていなければ用をなしません。
経営者の心の中にある経営理念を可視化し、
従業員と共有することがまず求められます。
次に手を付けるべきは
経営理念を対話の「ものさし」として用い、
従業員と関係性を構築することです。
会社というのは
定型業務だけであっという間に時間が過ぎていってしまいます。
その時間の流れに身を委ねずに、
経営者と従業員が対話する場を設けるのです。
経営者が今何を考えているのか、どうしたいのかを、
繰り返し対話し続けることで従業員に浸透させます。
何もしなければ、昨日と同じことをするだけで一日は終わってしまいます。
明日が当たり前にやってくるわけではないことを従業員に理解してもらい、
常に新しいことに挑戦し続ける文化を従業員と築きましょう。
対話といってもやり方はいろいろ考えられます。
文字通り、車座になって話すのも良いでしょうし、
動画でメッセージを伝えて感想を寄せてもらうのもアリです。
重要なのは「双方向」であること。
経営者が一方通行で指示をするのではなくて、
従業員の声も聞き取る仕組みが必要。
対話は双方の声があって初めて成り立つものです。
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