地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

仕事の選び方

これまでどのように仕事を選んできたか書いてみます。

自分以外に務めることができない業務

家業の代表取締役は
私以外に務めることができる人はいませんでした。

私が父から社長を引き継ごうとしていた2010年当時は、
1990年から業績が悪化し続けながら
取引金融機関からの支援で、
事業の持続可能性を担保している状態でした。

父まで13代に渡り、
代々の当主が家業を受け継いできており、
私の代では他に当主になり得るような親戚はいませんでした。

幼い頃から祖父の社長業を身近に見てきた私が、
どのような状況にあろうとも
家業の代表取締役を引き継ぐ必要があったのです。

もし私が事業承継を拒否していたらどうなったか。
経営者の交代を遠回しに求めてきていた
取引金融機関からの信用は大きく損なわれることになり、
それまで当たり前のように受けてきた支援が、
そう遠くないうちに打ち切られることもあり得ました。

5年間の在任後に
投資ファンドに事業譲渡せざるを得なくなりましたが、
当時は私以外に代表取締役を務め得る者はいなかったのです。

自分以外に務めることができない業務というのは
「体調が悪化したから辞めたい」
「業績悪化の責任を取って退任する」
「他にやりたいことを見つけたので退任する」
という行動は一切認められません。

最後の1人になるまで会社に残り、
一定の決着を付けることを求められるということです。

自分の提供する価値を認めてもらえる業務

家業を事業譲渡した後、
2016年夏に日経新聞に求人広告を見つけました。
福岡県のある自治体が中小企業支援窓口を新設し、
その責任者を公募するというのです。

募集要領を読んだ限りでは、
中小企業支援業界に長くいた人材ではなく、
私のような地方中小企業の経営経験を持つ人材を
求めているように感じました。

意を決して応募してみたところ、
なんと158人の中から選んでもらい、
地方中小企業の経営者を支える側に転身することになりました。

後日、私を採用してくれた理由を尋ねたところ
「家業を事業譲渡した経験があるので、
地方中小企業の社長の声を丁寧に聞いてくれると思った」
と教えてもらいました。

5年間の在任中に相談件数はのべ2,600件以上、
メディア掲載も120件以上を実現。
当初は人の繋がりを作ることからのスタートでしたが、
一定の成果を残すことができたと自負しています。

中小企業支援家としての仕事は
私自身が提供する価値を
地方中小企業の経営者に認めてもらえることで成り立ちます。

薄っぺらいビジネス書に書いてあるようなことや、
あるべき論ばかりを振りかざすのは簡単です。
それらしい自称コンサルタントや専門家は
そうした中身のない言葉を吐き続けています。

しかし、
中小企業支援家として
継続して地方中小企業に関わるには
独自の価値を提供し続ける必要があります。

現在は個人事務所を構えて
顧問契約を結んでもらった会社を支援していますが、
価値を提供し続ける必要があるのは前職と変わりません。
わざわざ社外の人間を経営に関与させている重みを自覚しつつ、
経営者に寄り添っていきたいと考えています。

竹製の定規

仕事を選ぶ「ものさし」を持ちたいと考えています

他にも誰かが提供できるであろう業務

逆に避けている業務は
他の誰かが提供できるであろう仕事です。

私以外の誰かが
より優れたサービスを提供できるのであれば
顧客から選ばれることもないでしょう。

例えば社会保険労務士の定型業務は、
進んで受託しないことにしています。
・給与計算
・社保の手続き代行
といった業務のことです。

これらの業務は
他の社会保険労務士がいくらでも手掛けていますし
実務経験の無い私が今さら身につける必要もないと考えています。

他の誰かが手掛けている業務を安直に真似しても
独自の価値を提供できるようにはなりません。

「何をするか」も大事ですが、
「何をしないか」を決めることも
仕事を選ぶ際の判断基準になると思います。

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