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コラム

新しい売り方に挑戦し続ける

時代と共に商品・サービスの売り方も変わってきています。

いつまでも昭和・平成の売り方をしていないか

かつての私の家業は陶磁器卸小売業、つまり茶わんやでした。全国各地の窯元に商品を生産してもらい、主に百貨店の和食器売場で販売していました。1990年頃までは売れ筋の商品をたくさん作り、たくさん在庫し、中元や歳暮・ブライダルなどのギフト向きにたくさん売ることが良しとされていました。たくさん作って、たくさん売って、会社を成長させていくことが当たり前にできた時代だったのです。

しかし、今では同じような売り方をしても、消費者に選ばれることはなくなりました。中元、歳暮などの進物の習慣は廃れてきましたし、結婚式の引き出物もカタログギフトが選ばれることが多くなりました。そもそも百貨店で和食器を買うという文化は消えつつあります。

それにも関わらず、昔の売り方にいつまでもしがみつこうとする経営者がいます。過去の成功体験があまりに大きかったために、現在に至るまで、イノベーションを起こそうと考えられなくなっているのでしょう。

1990年頃まで通用していた、売れ筋をたくさん作って、たくさん在庫しておき、ギフトで数多くまとめて買ってもらうという商売は、もはや時代遅れの売り方。和食器業界に限らず、今では通用しないやり方なのです。

新しい売り方を考える

今の時代に挑戦すべき売り方は

1.製品化する前から売り始める

2.製品化する過程も含めて販売する

3.価値を共有できる顧客にのみ限定して販売する

がポイントです。

順番に見ていきましょう。

①製品化する前から売り始める

かつての常識だと、完全に製品が出来上がってから売り始めるのが当たり前でした。未完成品を売場に並べるなんて考えられないことですし、在庫されていない製品の受注を受け付けることなど考えづらいことでした。

しかしその当たり前が当たり前でなかったとしたらどうでしょうか。製品化する前の構想段階から、商品やサービスを販売する事は本当に不可能なのでしょうか。

例えば強固な関係性を築けている顧客名簿があれば、構想段階のイメージ図を見せて、購入希望者を募ることが可能になります。社内にデザイナーやイラストレーターがいなかったとしても、AIに生成させたイラストを用いてコンセプトとともに商品のイメージを提示することは可能な時代になっています。

事業が提供しようとしている価値に共感してくれる顧客と繋がることができていれば、製品の完成形が可視化されていなかったとしても、事業を「応援」するために購買してもらうことは十分に考えられます。

②製品化する過程も含めて販売する

消費者の家庭には物が溢れています。戦後間もない時期は、物資が不足していたので、商品は作れば作るだけ売れる時代が続いていました。しかし、現在は家庭に物が溢れているので、単に商品のスペックや価格を訴求しただけでは消費者に選ばれることはなくなりました。

では現代の消費者に選ばれるためにはどうすれば良いのか。私は製品化に至る過程も見せることで、商品・サービスの魅力がより増すと思います。

どのようなコンセプトの商品なのか、なぜ製品化しようと考えたのか、どこの誰が製造しようとしているのか、どのような社会的価値を持つ商品なのか。これらの背景がわかるようにすれば、製品化する過程も含めて販売することが可能になります。

③製品の価値を共有できる顧客にのみ販売する

日本中、いや世界中の限りなく多くの人に販売したいという気持ちはよくわかりますが、現実的にはあり得ない話です。ネット販売さえ始めれば、日本中から注文が入ると勘違いしている事業者は多いですが、そうした事業者に限って売りっぱなしになっていて、既存客へのフォローは全くできていません。

逆に対象とする顧客を絞り込めば絞り込むほど、商品の世界観やコンセプトがくっきりと浮かび上がり、少数であっても価値を理解してくれる顧客に販売することが可能になります。そのためには顧客名簿の整備が必要です。日頃の地道な関係性構築を続け、生きた顧客名簿を整備することが売上アップの近道です。

Midjourneyのログイン画面

Midjourney、ChatGPTなど新しいものは必ず試すことにしています

今ならどう売るか

私がまた茶わんやに関わるならば、

・尖ったコンセプトの企画をし、Midjourneyなどでイメージ図を作成

・関係性の築くことができている顧客にのみ、限定数の生産を行うことを告知し、完全事前予約販売で注文を受け付ける

・イメージ図が製品に仕上がっていく過程を注文者にはこまめに情報発信

・別料金をいただいて生産現場見学ツアーなども開催

・値引きや送料負担などすることなく、しっかり利益を乗せて販売

といった方法に挑戦することでしょう。

かつての勝利の方程式が、いつまでも変わらずに通用することはありません。時代の流れの先を見据えて、商売の仕方も変化させていくのが当たり前の経営判断です。

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