困りごとを見つける
世の中の困りごとを解決するのが商売です。
ということは、
創業するでのあればまず始めに
「困りごと」を見つける必要があります。
創業者に必要な思考
県のビジネスプランコンテストに
参加しようとする人のご支援をしたことがあります。
多くの人は何かやりたいことがあり、
生業を作ろうと応募します。
「やりたいことがある」のは
とても素敵なことなのですが、
必ずしもそのまま商売に結びつくとは限りません。
なぜならその「やりたいこと」が
世の中の誰かの困りごとを解決するかどうか
十分に検証されていない場合が往々にしてあるからです。
例えば
商店街を昔のように賑やかにするために
○○という取り組みをする
というビジネスプランだったとします。
※この手の応募内容は本当に多い!
このビジネスプランは
誰のどんな困りごとを解消するのでしょうか。
「中心市街地を活性化する」
「商店街の賑わいを取り戻す」
「子育て世代が商店街を利用するようにする」
といった、
いかにも行政受けしそうな理念は思い浮かびますが、
残念ながら具体的な誰かの困りごとを
商売という手段で解消するものではないことがほとんど。
創業者に必要なのは
今の世の中の当たり前を当たり前として流さずに
隠れている、あるいは見過ごしている困りごとを可視化して、
商売という手段で解決する具体的な計画を示すことです。
三方良しを実現する士業事務所
ある税理士をご支援した事例です。
その税理士さんは
家業の空き瓶回収も手掛けていますが、
コロナ禍で飲食店からの回収量が減ってしまったそう。
また税理士事務所も開業したばかりで
これから顧問先を増やしていこうと考え、
私の所へ相談にいらしてくれました。
私が提案したのは
空き瓶回収と事務所の知名度アップを両立させつつ、
さらに社会貢献も実現する取り組みでした。
具体的にはお寺と連携し、
地域の方から空き瓶を回収します。
そして今までは空き瓶を持参した個人に支払っていた謝金を、
お寺へ1本あたり10円を寄付し、
社会貢献事業に使っていただくことにしました。
お寺での空き瓶回収の取り組みによって、
空き瓶回収業は「空き瓶回収量の増加」、
お寺は「地域(檀家)との関係性構築のための場作り」、
空き瓶回収に協力した地域の人は社会貢献への参加
という三方良しが実現しました。
そのうえ、税理士業は
「開業まもない税理士事務所を知ってもらうきっかけ」
もできました。
この事例では、
自分の売上アップだけを目指したのではなく
お寺の困りごとを解決することも両立し、
持続可能な取り組みとすることができました。
商売の基本は誰かの困りごとを解決すること
現代の社会では
目に見える「困りごと」がどんどん減っています。
スマホで検索すればわからないことは調べられますし、
ChatGPTを駆使すれば新しい漫画の構想も生み出してくれます。
※今朝のNHKのニュースで紹介されてました
これから創業しようとしたり、
新規事業に取り組もうとするのであれば、
世の中の可視化されていない困りごとを探り出し、
仕事を生み出していく能力が求められます。
戦後間もない時期のように、
物資を右から左に流せば
財をなすことができたような単純な時代ではないのです。
重要なのは思考する力を高めること。
当たり前を当たり前とせずに、
表面に表れていない「困りごと」を
見つけ出したり、生み出さなければいけません。
事業承継マッチングサイトを見ていると、
学習塾
居酒屋
エステ、ネイルサロン
といった事業が数多く売りに出されています。
何も考えずにこうした事業に手を出しても
もはや誰かの困りごとを解決することにはならないのでしょう。
商売の基本は誰かの困りごとを解決すること。
話題になっていることを手掛けたり、
儲かりそうなことを始めるのが商売ではありません。
漫然と日々を過ごさず、
適切なインプットとアウトプットを続け、
思考力を高めることが
創業や新規事業成功へのカギを握ります。
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